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【100】マイルーム

 ツクヨミとスズネちゃんの忍者対決が終わったあと、俺はレインを保健室に捨ててさっさと学園を後にした。


 明日から通うのに準備が何も出来ていないのである。


 と言っても、持って行く物といえば筆記用具ぐらいなもので、カードも取り揃える必要はないみたい。


 まあ、カードって高いからね。普通の学生が気軽に買い揃えられるものでもないし。


 取り敢えずペンと日記帳しか持っていない俺は、文房具屋さんでノート数冊とペンとペン入れを購入し、雑貨屋さんで学園用の鞄を購入して準備を完了した。


 あとは、この街で過ごす為の宿を借りなきゃいけないんだけど……。


「へー、庶民はこういうところで買物するのね」


 何故だかレインが俺に付いて来ていた。


 保健室に捨てて来たんだから、大人しく病人の振りでもしてれば良いのに、わざわざ早退までして俺に付いて来ているのだ。


 せっかく学園まで連れて行ってあげたのに、何がしたいのこの子?


「なあ、何でついて来るんだよ?」


「何でって、ブルが色々と隠し事をしているからよ」


「それって理由にならないと思うんだけど?」


「なら、洗いざらい話しなさいよ」


 何でだよ! レインは俺のかーちゃんかっての!


 しかも突然、あなたからブルに呼び名が昇格してるし! どんな心境の変化だよ。


「洗ってもなんにも出て来ないんだけど……というか、早く宿を探してご飯にしなきゃいけないから、付いて回られると迷惑なんだけど?」


「私に向かってそんな口を聞くなんて、偉くなったものね」


 だからかーちゃんかよ!


「宿を探してるなら良いところがあるわよ?」


「どこそこ?」


「学園から徒歩十分。各部屋にバス、トイレ別で豪華な食事も付いて来て、日割りだと一泊【2万】イェンね」


 あなたは不動産屋か何かですか?


 風呂とトイレが各部屋に付いてるってのは確かに惹かれるけど、月【60万】イェンはちょっと高い気がするな。


 キャロット街で三人部屋を借りてた時でも、日に【8千】イェンだった。まあ、食事も簡単な朝食だけだったし、物価も街によって違うだろうから、一概に高すぎるとも言えないんだけど。


「三人部屋だといくらになるの?」


「三人部屋は無いわ。部屋は広いから、三人ぐらいなら宿も文句は言わないでしょうけど……なに? 従者と同衾するつもりなの?」


「同衾をどういう意味で使ってるのか知らないけど、今までは同じ部屋で寝起きしてたよ。部屋を分けると色々面倒だったし」


「ふーん、まあなんでも良いけど。取り敢えず、そこの宿にしなさいよ」


 なんなの? なんでそんなにそこを推すんだ?


 まじで不動産屋の回し者か?


「行ってから決めようかな」


 特に断る理由も浮かばなかったので、俺は一先ずどんな感じか見に行くことにした。



 おお、結構綺麗じゃん。


 レインの紹介してくれた宿は、小洒落た外装でしっかりと手入れをされた庭が付いている高級感のある宿だった。


 これで日に【2万】イェンは安いかもしれない。


 月に【60万】イェンで年間でも【720万】イェン。四年学園に通うとしても【2880万】イェンである。


 普通に考えたらとんでもない額だけど、俺の所持金は【2億4千万】ほどあるので、全く問題ない。


 というか、ぶっちゃけツクヨミやセンの食費の方がかかるから、このクオリティだったらここで決めちゃっても良いかもしれない。


「結構いい感じだね」


「でしょう! 内装も凝ってるから、気にいると思うわ」


 レインに促されて宿の中を拝見。


 空き部屋も見せて貰ったけど、いい感じだった。


 うん、別のところを探すのも面倒臭いから、ここにしよう。


 決めてしまえば、あとは早い。


 受付のお姉さんのところへ行って手続きを済ませる。


「ご宿泊の期間はどのくらいを予定されてますか?」


「四年で」


「はい、四年で、え? ……四年ですか?」


「はい、四年でお願いします!」


「月更新とかではなく?」


「はい、四年で!」


「か、畏まりました」


 ギョッと目を剥いたお姉さんだったが、さすが高級宿の受付である。直ぐに取り繕った笑顔を向けると、手続きを再開してくれた。


「月更新の契約ですと、月々【50万】イェンに割り引いていますので、四年間で【2400万】イェンとなります。お食事代も込みとなっていますので、朝と夜に食堂をご利用頂けます。毎食ご用意する形となりますので、ご利用頂けない場合でも、その分のご返金は致してませんのでご了承ください」


「はい、大丈夫です」


 俺がカードをピッと出して一括で支払いを済ませると、お姉さんは再びギョッとしていた。


 後ろで見ていたレインも、怪しんだ視線を送ってくる。こっちみんな!


 ともあれ、俺は今日から四年間を過ごすマイルームを手に入れたのだった。部屋番号は【305】号室である。


「あ、私の部屋は【307】号室だから、朝はちゃんと起こしに来てね」


 レインがしれっとそんな事を言った。


 待て、今なんと言った?

お読みくださりありがとうございます。


100話おめでとうー!

パカーン!

どんどんどんパフパフ!


マリアンたんの方で100話目に一人で祝ってたら、スーパー優しい方がコメントくれたの!


・ω・)ジー

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