【010】エルフ可愛いよエルフ
「色々聞きたいことがあるわ!」
エディナが腰に手を当て、ぺたんこの胸を反らしながら仁王立ちして言った。
うん。凄く可愛いですね。
……ってそうじゃ無い! いかん、エルフ初心者の俺にはエディナの姿は目の毒だ。耐性がなさすぎて、何をされても可愛く見えてしまう。
今の俺ならエルフの写真集とかが出ていたら、間違いなく衝動買いする自信がある。握手券が当たるCDとか売ってたら、何枚も買っちゃう自信もある。
くぅ、アイドルオタの皆さん。2ちゃんで叩いてごめんよ。俺も今なら豚野郎になってしまうかもしれないわ。むしろなりたいまであるわ。
「あのさあ、コロコロ表情変えて身悶えるのやめてくれない? 普通に気持ち悪いんだけど」
早速来ましたか。これがツンですよ皆さん。デレを知ってしまうとこのツンが心地よくなってくるから、タチが悪い。
ツンデレ。おそろしい子!
……こほん。駄目だ。ちょっと冷静になろう。エディナがまじで引き始めている。
「……いや、ごめん。ちょっと記憶が無くてね。俺も混乱してるんだ」
俺は一番妥当な手段に出た。
実際記憶なんてなくなっていない。むしろ生後二時間である俺が記憶なんてものを持っているわけがない。この世界の常識も、俺の体を前に使っていた人の情報も何もないのだ。
「記憶が無い?」
「そうだ。気が付いたら血だらけになって、倒れていたんだ。それで、森をさまよっていたら熊さんに襲われてね」
「それで突然飛び出してきたと……」
「そうなんだ!」
「じゃあ、さっきのは何? 記憶がないのにどうして扱えるの?」
「え? それはその、なんというか本能的な何かが教えてくれた? 的な」
「私のモンモンを犠牲にして、冷静に確認までして?」
「いや、感覚的過ぎて本当に使えるかわからなかったからさ」
「俺に考えがあるって、自信満々に言っておいて?」
エディナが顔を近づけて言った。
え? 何この子。めっちゃ疑ぐり深いんですけど。
なんか詰め寄られて、言い訳が苦しくなってきたぜ! でも、その可愛い顔が近づいてくると違う意味でドキドキしちゃう。
ぐっ、やばい。抱き締めたいっ! なりふり構わずペロペロしたいです! だが待て俺! クールになれ!エルフとお近付きになる機会なんてこの先あるかどうかもわからない。
この貴重な機会を台無しにしてはいけない!
俺は鼻息荒くエディナの肩に手を置くと、遠去ける様にグッと押して顔を反らす。
「待て待て! あんまり顔を近付けるなっ! 可愛い過ぎて萌え死ぬ」
「萌え? え? 可愛い!?」
エディナが急に顔を赤らめてモジモジし始めた。
だから、そういうのはやめろよお。
エルフ耐性ゼロなんだよお。
静かな森の中で距離をとり、俺とエディナは互いに別の理由でモジモジし合った。
なんだこれ、気持ちわるっ!
読んで頂きありがとう御座います。
短い!そして適当ですまん!