【001】プロローグ①
真面目に書いてる方が振るわないので、気晴らしに書いてます。
一話を短く毎日更新を目安に気負いしないでテキトーな感じで書いていく物語です。
突然視界を眩い光が覆った。
耳をつんざくようなクラクションの音が響き渡ったあと、ドンという衝撃と共に俺はあっさりと意識を手放した。
何が起きたのかわからない。
けれど、肉がひしゃげる嫌な音が、俺の耳元にいつまでも残っていた。
気が付けば、そこは揺蕩う水面のような場所だった。
ふわふわと浮いているような感覚。いや、なんだか実際に浮いているような気がする。
というより、体が動かない。ついでに言うと目も開かないし、耳も聞こえない。
どうなっているんだ?
状況を確認しようとしてもがいてみる。
だがダメだ。何も変わらない。
俺はわずか数秒間の内に、目まぐるしく思考を働かせて結論を導き出した。
なるほど、わからん。
寝るか。
そう思って浮き上がった意識をあっさりと手放そうとすると、頭の中に声が響いてきた。
『ちょっと! 折角意識を呼び戻せたのに、あっさり浄化されようとしないでよね!』
耳につく高い声が響き渡り、俺を不愉快にさせた。
折角寝ようとしているというのに、なんなんだコイツは。迷惑な。
『迷惑とか言わないでよね。これでも一応神をやってるんだから』
はは。神だって? 俺の知ってる神はもっと髭モジャで、偉そうな爺さんの姿をしてるんだ。お前のようなロリじゃない。
『私の姿も見えないくせに、勝手な想像でモノを言わないくれるかしら?』
ロリが何か言っている。
俺ぐらいになれば、相手の声を聞いただけで容姿を連想するなんてわけないというのに。
そもそも、この声質でじじいでした。なんて言われたら卒倒する自信がある。
『いや、じじいではないけど……』
ほれみろ。やはりお前は神じゃない。ただのロリじゃないか。
『ロリかどうかはわかんないでしょ!』
ん? 違うのか?
『…………』
うむ。やはりロリであったようだ。自覚があるようで結構。さて、寝るとするか。
『だから、私の話を聞きなさい!』
全くうるさい奴だな。一体なんだって言うんだ。
『あなた自分の状況がわかっているの?』
いや全く。
『そもそも、声を上げていないのに私と会話ができていることを、不思議に思わないのかしら?』
む。言われてみれば。
今の俺は体が全く動かせていない。当然声すらも上げていないはずなのに、ロリとの会話が成立している。
ということは、このロリは本当に神? 馬鹿な! なら俺は神に対して、あんなことやこんなことを想像してはぁはぁ言っていたというのか!
やばい。ふざけたことを考えていたら、本当に妄想が止まらなくなって来た。
幼気な少女のあられもない姿。そんなイメージが俺の脳内に溢れて濁流のように押し寄せる。
『キャー! ちょ、あんたやめなさい!』
俺の紳士的な想像を覗き見て、ロリが奇声を上げ始めた。どうやら俺の想像力は神にも通用するものらしい。
『わかりました。私はもう怒りましたよ。折角あなたに異世界転生してハーレムうはうはな人生をプレゼントしてあげようと思ったのに。非常に残念です』
なに? ってことは俺はもう死んでいるとか、そんな感じなのか?
しかも異世界転生でハーレムうはうはだと!
すまん。ロリよ。俺が悪かった、許してくれ。ワンチャン愛してる!
『ワンチャンってなによ! 私は犬かなにかってことかしら?』
えー。さすがにそのボケは寒いんですけど。
『……わかりました。もう怒ったので、さっさと異世界に旅立ちなさい』
わーわー! ごめんよロリ! 俺が悪かったからそんな無体なこと言わないでおくれー。
『まずそのロリって呼び方をやめろ!』
はい、神さま。俺はあなたの忠実な犬です。ワンチャンです!
『殺すぞ貴様!』
読んで頂きありがとう御座います。
本日二時間毎に五話まで予約投稿してます。宜しければ読んでやってください。