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アキハバラとは

 

「それで、秋葉原をどう思ってるんだ?」


 おっさん……いや、カズヤが聞いてくる。

 どう? 何を当たり前の事を。


「好きよ」

「……いや、それはもうわかってる」


 なら、なぜ聞いたし?


「勇者からどう聞いたのかわからないが、おま……カティアの思ってる秋葉原は、どう言うイメージなんだ? 作るって言っても、それがわからないと決められないだろ?」


 また、お前って言いかけたか? なんだ、人をお前呼ばわりするのは癖なのか? いかんぞ、言葉遣いは気を付けねば。


「実際に知ってるカズヤが居るのだから、別に私のイメージで作らなくても良いでしょ?」


 私は聖地¨アキハバラ¨は、聞いた事しか無いのだ。何故、劣化させる必要があるのかわからない。


「ん〜、俺にとって秋葉って、パソコンのジャンク品ってイメージ強いんだよな」


「パソ……? 違う言語を使わないでよ! 混ぜられても対応出来ないんだって」

「混ぜてねぇよ。やっぱり偏ってたか。知らない物を作られても嬉しくないだろ? 本物は500年後の楽しみに取っとくとして、とりあえずお前が欲しいものだけ作ってしまおうか」


 むむむ……なんだが、負けた気分になるな。

 ヘタレなおっさんの癖に、先程から微妙にドヤ顔なのも気に入らん。


 だが、今はこいつの助けが要るし、我慢するか。


「まずは、マンガかな。聖地アキハバラは、住民全員がマンガ好きって聞いたよ」

「そんなことは無いと思うが……他には?」


「¨びーえる¨や、¨ゆり¨とか言うのもあるって聞いた」

「そっちは辞めとけ。これ以上マニアックになられても付き合いきれない」

「むむむ……」


 やはり、こいつだけ知ってると言うのはやりにくい。

 そのうち、力づくで聞き出してやる。



「あとはメイドだね」

「……もう着てるじゃん」


「私だけが着ていても仕方が無いでしょ!」

「いや多分、他にも着てるから。リアルメイドが居ると思うぞ」


 リアルメイド? いや、メイドの仕事をしている者は、あちらの世界にも居たが、萌え萌えきゅん、なんてやらないわよ?


 何か違う気がするが……まぁ、そっか。居るのだから、おまじないを教え込めばいいかも知れない。



「他には無いのか?」

「そ、そんな訳が無いでしょ!」


 あとはなんだ……何があった? このままでは、聖地がメイドとまんがだけに、ランクダウンしてしまう気がする。何より私の聖地への想いを馬鹿にされた気がする!


「そうだ! コスプレだ! アキハバラの住民はコスプレをしてるんだ!」

「してねーよ!」


「な、なんだと……¨こみけ¨って言うお祭りだと、全員コスプレをするんじゃ……」

「コミケは秋葉原じゃねぇし、それに全員はしない。ったく誰だよ、適当に教えたの……」


 むむむ、なんだその呆れた様な顔は! 哀れむような目で私を見るんじゃない!


「あ、あとは、ピカピカなのよ」

「ピカピカ?」


「¨ねおん¨? で、ピカピカなの!」

「ネオンか……それは大変だな」


 ふふふ、やつと困ったな。

 私が何十年アキハバラを想い続けたと思っている。参ったか。


 ん? なんの勝負だっけ、これ?



「なんで、ドヤ顔なってるんだ?」

「な、なってないわよ」


 とりあえず私の聖地への想いは伝わっただろう。せいぜい困るがいい。



「しかし、ネオンとなると……電気からか? いや、電球? 発明されたのはいつだったかな」

「ん? 電気が要るの?」


 電気ってこれだよね?


 魔法を使って雷を作り、掌から放電させてみせた。

 おっとすまん。少し当たったようだ。


「痛いだろ! って言うか、もうそれがピカピカしてるからいいじゃないか」

「これは、¨ねおん¨じゃ無いでしょ! いや、それよりさっきから聞いてると、私が¨アキバグッツ¨に囲まれて居ればいいように聞こえるんだけど?」


「違うのか?」

「当たり前でしょ! 私だけがやっても、¨アキハバラ¨にはならないじゃない! それとも何? マンガがあってメイドが居て、ピカピカしていたら、お前の家は¨アキハバラ¨なの?」


「……お前って言うのは、ダメなんじゃ無かったのか?」

「私が使うのは良いの!」


 まったく、男のくせに細かい事を。


「わがままな……」


 ん? 何か文句でも?

 睨んだら目を逸らしやがった。


「つっても、秋葉原なんて、土地? 街の名前だしなぁ」

「だから、それを作ると言っているんだけど?」


 どうした? 口をパクパクさせても、もうパンは無いよ?


「ま、街を作る気か?!」

「だから、¨アキハバラ¨を作ると、さっきから言っているでしょ?」


 何を聞いていたんだ? ちゃんと人の話は聞けよ? 大人になったら困るぞ……いや、もう大人だな。大人なんだから、人の話はちゃんと聞け?



「そ、そ、それは駄目だろ! 歴史が変わってしまうぞ」


 歴史? 何言ってんだこいつ。


「人の世界で好き勝手やりまくった勇者が言うこと? 食文化に、活版印刷。 ¨くるま¨なんて言う魔法で動く馬車? みたいなのを作った奴も居たよ? あれは駄目だと父が言うから壊したけどね」


 便利だから1台こっそり貰ったけどね。


「お、おぅ……他のやつはすげぇんだな」


「感心する所じゃ無いわよ。私が言いたいのは、私らの世界に来て好き勝手やったんだから、私がこっちで好き勝手やっても文句言われる筋合いは無いって言いたいの」


 ふん、ざまぁみろ。

 黙ってしまったぞ。

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