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僕の騎士道物語 孤独の主と友誼の騎士  作者: 優希ろろな
いざ、フォルトゥナ学園!
117/119

ざっくりとした説明

 アドレナリンが出ているのか、いつの間にか足腰の痛みも震えも消えて、普通に歩けるようになっていた。緊張していて、心臓だけはバクバク動いているけど。いやいや、緊急事態だし、とにかく集中、集中!

 塊は標的を探しているのか、ゆっくりと若干顔を動かしつつ前に進んでいる。耳で音を判断して、そこで標的を見つけて瞬時にビームを発射しているんだろうか。その構造がよくわからない。

 俺はアディに向かって小さく声をかけた。


「アディ、アイツに弱点はないのか? どんな情報でもいいんだけどさ。とりあえずどこを狙えばいいのか教えてくれると助かる」

「弱点か……」


 アディはじっと塊のことを探るように睨みつける。塊はその視線に勘づいたのかどうかはわからないけど、さらに用心深くキョロキョロと辺りを見渡し始めた。

 ……わかるのか? 自分が見られていることが。まさか、そんなことある? ホント、どんな作りになってるんだよ。誰かの視線なんて、なかなか気づけないよ?


「こいつの視界は狭い。動きも鈍い。それだけで十分だろう」


 その説明がざっくりとしすぎていて、頬が引き攣ってしまった。

 説明不十分。たぶん、もしかしたらアディも知らないのかもしれない。


「……了解。アディも、あまりここにある物だけは破壊しないように気をつけてくれよな」

「善処しよう」


 本当に俺が言ったことをわかってくれているのか不安だけど、善処しようってことは一応頭の片隅にだけは入れてくれたのかもしれない。

 塊の後ろに回り込んで、お互いに目で合図する。そろりと左右から近づいていって、俺はトレーを、アディが鞘を振り上げた瞬間に。塊がアディのほうを振り向いた。


「!!」


 秒でビームが発射され、アディが避けようと体を逸らすも、塊も跳ねて飛びついていく。

 ひぃっ! まずい、まずい、まずい……! まさかあんな俊敏に動くだなんて、誰が想像していたでしょうか! 堪らず俺は叫んだ。


「アディ!!」


 鞘を振り払ってなんとか塊を遠ざけようとするも、コイツ、鞘に飛びつきやがった! アディの頭を目掛けて光が走ろうとする。こらこら、俺の目の前でそんなことさせるかってんだ!

 トレーを持って、構える。


「意外とすばしっこく動けるじゃないか、この泥人形! でも、そうはさせないぞ! 俺が許すか!」


 トレーを力いっぱい縦に投げつけて、それが見事頭に命中した。

 どうだ、けっこう痛いだろう! その小さな頭の中身もぐわんぐわんと揺れてるんじゃないか? これでしばらくは動けない、はずだ!


「よし、当たった!」


 だけどヤツは怯むどころか、今度はゆっくりと俺のほうを振り返った。あ、これはマズイかも、と思った時にはすでに目が合っていて(実際目はどこにあるかわからないんだけど、たぶんコイツは俺を見ている)。


「……ひっ」


 やってやったとばかりに、俺に向かって目からビームが発射されてしまった。こっちを振り返った瞬間にびびった俺は上手いことひっくり返っていたので、穴があくことはなかったけれど、あまりにも驚きすぎて泣きたくなっていた。

 死ぬかと思った。心臓が止まるかと思った。


「なっ、さけなぁ……! せめてもうちょっとカッコよく避けれないかなぁ、俺! でも、生きてて良かった! 無事で良かった!」


 アディが塊がこっちを向いてる隙をついて、鞘ごと床に叩きつける。物凄い音がして、さすがにくっついていた鞘から離れていってくれた。

 これなら塊も砕けるんじゃないかと息を呑んだけど、そいつは何事もなかったかのように、のっそりと体を起こしていく。

 強固。頑丈すぎる。その体は泥なんかじゃなく、鉄か鉛で出来ているんじゃないか!?


「!!」

「かた……っ! かったぁ! アディの代わりに俺が代弁してみたけど、意外と硬くないか、コイツ!!」

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