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プロローグ

少年と目があった。決して出会ってはいけないのに。でも、その瞬間、私の中で何かが弾けた。




 私はとある田舎町の山に住んでいる妖狐だ。人に化けたりするのが得意だが、特にそのチカラはあまり使わない。私は人と関わりたくないから。

 私の仲間たちは昔に私を置いてどこかへと行ってしまった。理由は私もわかっている。まず、化けなくても人間に酷似していること。それは、人間との混血であるからなのだけれど。それから、尻尾がひとつしかないこと。これも恐らく混血だからであろう。そんなわけで、私は肉親とも別れて田舎の山中に滞在しているということになる。

 昔(といっても300年くらい前だが)、私の姿をみたらしい人間が恐れをなして大きな社を作ってくれた。ありがたく住まわせてもらっている。人間に見られたとき私は裸だったのだが、人間がついでという感じで巫女服のようなものを社の中に置いていってくれた。最初は着方がわからなくて四苦八苦したが、すぐに慣れて快適に着こなせるようになっている。

 人間と関わりたくはないが、人間をみるのは好きだ。毎朝、猫に化けて人里におりたりしている。そこは田舎で、田んぼと畑しかない集落だったが、新緑の季節は田植えが終わっていて、とても綺麗だった。少しばかり歩くと、集落の終わりの人工的なトンネルがあった。そこをくぐり抜けると、分校がある。子供たちがものすごく少ない、いつ廃校になるか分からない小さな学校だ。さらに歩いていくと、中学校があるのだが、ものすごく遠い。子供も大変だなぁと思いながら中学校からは逆の方向へ歩く。

 坂道を登ると、チョロチョロと流れ出る湧水がある。たまに来ると人間が汲みに来ていることもあるのでけっこう有名なところなのかもしれない。私は喉が渇くわけでもないし、お腹が減るわけでもない。でも、この湧水を飲むと心が浄化されるような感じがして、よくわからないけどもとても清々しい。私はこの水が大好きだ。

 いつもの散歩道を回ったあとで、私はいつもの社に戻る。私は猫からいつもの妖狐の姿に戻ると、少し疲れたので寝ることにした。


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