私の好きになった人はお金持ちでした。
こんちわー。私の名前は宮司香織。中三。私のお父さんは、大手証券会社『大和証券グループ』の社長なんだ。私は正一お父さんの一人娘。私達が住んでいるところは、超一流住宅街の中。ここに住んでいる人たちは、みんな、大手の社長さんや会長さん、財閥の人たちも住んでいるの。私の幼馴染は、隣に住んでいる笑美。本名は神田笑美。お母さんが大手家電メーカーの会長さん。私のお父さんと笑美のお父さんはものすごく仲のいい親友なの。だから、私と笑美も家族みたいなもん。でも、私のお父さんと好きになった人のお父さんも仲がいいんだ。
そんな私が好きになった人はね、隣の家の伊集音佳純君。佳純君は伊集音財閥の御曹子でクールなんだ。私たちが通っている、『星凛学園中等部。』に通っているの。学年は同じだけど、クラスは全然違うの。中三のクラスは、全部で十二クラスあって、私と笑美は五クラス目の、三年E組、佳純君は、十クラス目の三年J組。すっごい離れてるでしょ。でも、私と笑美と佳純君は、小っさい頃、一緒に遊んだ仲なんだ。佳純くんちの広ーい庭で、三人で遊んだの。今でも雪とか降ると、三人で遊んだりするんだ。でも笑美は佳純君に興味があまりなさそうだけど。とはいっても、笑美には好きな人がいるから。笑美の隣の席の、康司彰。
私が佳純君のことを好きになったわけは、すごーく優しくて、カッコいいから。私より背が高いけど。学園の噂だと、佳純君も私のことが好きらしいの。今度の学園祭で、私、笑美、佳純君が入っている演劇部は劇『ロミオとジュリエット』をすることになったの。あした、役を決めることになったんだ。
次の日、
「香織ー。学園へいこー。」
「あ、まって。」
「おくれてゴメン。」
「ねえ、香織。」
「ん?何?笑美。」
「きのう、雪降ったよね。佳純くんちで遊ぼうよ。」
「いーね。じゃあ、休み時間にJ組にいこー。」
「えー、それは無理だよ。」
「えっ、なんで?あっそうか。休み時間は役決めか。じゃあさ、その時に言えば良いんじゃん。」
「それ、ありー。」
「ハハハ」
役決めの時間、
「これから、役決めをする。立候補でも推薦でもいいぞ。」久司先生は、黒板に役をパパッと書いた。
「まず、ロミオ役からだ。誰かいないか?」
「はい。ロミオ役は、伊集音君を推薦します。」
「伊集音でいいか?みんな。」
「はーい。」こうして、ロミオ役は佳純君に決まった。
「ジュリエット役は誰がいいと思うか?」笑美が手を挙げた。
「はい。香織がいいと思います。」
「そうか、宮司か。先生は問題ないと思うが。みんなはどうだ?」
「いぎなしー。」
「賛成。」私はビックリした。笑美が推薦したっていうのもあるけど、ヒロイン役になったっていうのがびっくりした。劇『ロミオとジュリエット』ってキスシーンもあるんだよ。私は顔を真っ赤にした。ふと佳純君を見ると、なんと佳純君は、こっちを向いて小さくほほ笑んだ。クールで優しいその笑顔は、私のハートを『キュン』と射抜いた。私は佳純君のことが好き。気持ちを伝えたい。でもフラれたらどうしよう。私の気持ちがわかった笑美は、私の肩を『ポン』とたたいて、
「大丈夫。」と、一言だけ言った。その一言が私を芯から支えてくれたよ。笑美、ありがとう。
それから私たちは、毎日、毎日、つらい練習を乗り越え、とうとう
学園祭当日、
「これから、演劇部による、劇『ロミオとジュリエット』をお見せいたしましょう。」劇は順調に進み、とうとうラストのキスシーンに来た。この時点で私のドキドキはMAX!そして最後に、「キャーキャー。」といった歓声のもと、私と佳純君はキスをした。その時、耳にささやかれた。それは、
「学園祭終わったら、家来て。」私が答えようとしたら、ドッとおきた歓声でかき消された。
劇が終わり、裏幕で、
「佳純君、笑美は?」
「神田は、彰と話してるよ。」
「えっ」ふと後ろを見ると、楽しそうに話す、笑美と彰の姿が。
「うち、きてね。」そう言って佳純君は立ち去って行った。私は制服を着替えて、佳純君の家のインターホンを押した。すると、
「ようこそ。」
「いらっしゃいませ。」そこには、両脇にたくさんの召使いと、真ん中に佳純君の姿が。
「こっちきて。」手を取られるままに、きれいな部屋へと案内された。そこで、ドレスアップとメイクをしてもらった。メイクには慣れてたけど、こんなにきれいなメイクは見たことがなかった。そこへ佳純君がきて、
「香織、似合ってるね。これから行く場所にぴったりだ。」廊下を歩いて、奥にある、きれいなドアを開けると、そこにはすごーくきれいなフラワーガーデンがあった。二人で並んでおしゃべりしながら花を見てると、すごく楽しかった。するといきなり、佳純君が立ち止って、
「ここを、大好きな人と歩くのが夢だったんだ。」
「えっ」
「おれは、香織のことが好きだ。おれと付き合ってくれ。御曹子の地位とかそんなものどうでもいい。おれと付き合ってくれ。」
「佳純君、私もっ。」すると佳純君は、黙って私をハグした。私と佳純君の目にはうれし涙がキラキラ光っていたんだ。
これから、財閥の御曹子との夢のような恋が始まります。 (お・わ・り)