迷子ごっこ
本編でだいぶ説明不足になってしまったんで後書きにて補足説明があります。。。
今回はなんか読んで穏やかになれるような話を書きました!
発想とか面白さは二の次で、和んでいただければ幸いです。
少女は見知らぬ土地に来ていた。
しかし、そんなことは少女にとって微々たる問題であった。
少女の趣味は迷子になることだ。土地が違うと世界も違うように思われる。
知らない場所で迷子になり、不安と焦燥に駆られたいという衝動を持っているのだ。
少し異常な趣味ではあるが。
「また迷ってしまった」
そんな独り言ももう何百回も口にした口癖であって。むしろこの口癖に愛着さえ持っていた。
「今日も私は迷うのだー」
なんて口にしたところで、はっきりするのは 自身の確定している未来だけ。少女は上目遣いで綺麗に揃えられた前髪を眺めつつ口をへの字に曲げる。
少女はとぼとぼ歩く。木々が少女を覆い囲むように生えている。
今少女の目の前にあるのは獣道と遠くない未来に起こる不安だけだ。
これまで大分ゆっくりと歩いてきた。手に持った花束が枯れるのも時間の問題だ。
早く行かなきゃ。
目的地も分からぬまま少女は呟く。
ただ、少女はこれからの展開は知っていた。
「おお、あれは人のお家。あそこに行ってみよう」
少女は一軒の民家を見つけた。赤い屋根に煙突のついた小さな家だ。
少女は駆け出す。といっても少女の脚力など高が知れているので走る音として用いる擬音は「とてとて」辺りが精一杯だが。
少女はその扉を開ける。少女の背丈では少しドアノブを握るのが辛かったが、背伸びをすることでその問題を解消する。
「こんにちはーだれかいないですかー」
人の家に入るときは礼儀が必要だ。それくらい少女でも知っている。少女は品行方正なれでぃーなのだ。
少女がふと目をやると、ベッドで誰かが寝息を立てていた。
これをみて少女は確信する。ここは「あの」世界なのだと。
そして少女は高らかに宣言する。
「迷子ごっこ、おーしまい!」
目を覚ますと、少女は自分の部屋にいた。
目の前には一冊の絵本が置かれている。今回の迷子になった世界だ。
「やっぱり狼に食べられるのはまっぴらよ」
大人ぶった口調で少女は立ち上がり、その本を大切そうに本棚にしまったのだった。
迷子になることが趣味の少女は「違う世界」に迷子になりに行っていた話。
今回は童話「赤ずきん」の世界に。
なんも考えなかったから低クオリティの作品になっちゃったけど本来書きたいような話が書けて良かったです。* ゜ + 。・゜・。・ヽ(*´∀`)ノ