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ループする人生
ああ、これで二十一回目の人生だ。
私は呟いた。そのため息は二十一回目の世界に虚しく消えていった。
私は無限ループの人生を歩んでいる。この世界はどこまで走っても終わりが見えず、私はその度に挫折していくのだ。
今まで潰してきた命は数知れず、そして私が命を落とした数も数知れない。きっとこれからもそうやって生きて行くのだろう。
不意に視界が高くなる。道端に落ちていた麻薬を食べたせいだろう。稀に自分の手から炎が出る時があり、自分は人間では無いのかと思い恐怖心に駆られる。このまま生きてて良いのだろうか。そんな思いすら頭をよぎる。
しかし、そんな私にも愛する人がいる。
桃の様に甘い香りがするお姫様なのだが、そのお姫様が何者かに連れ去られているらしい。
それを助けたらこんな無限ループの人生におさらばできる。そんな淡い期待を抱き。
私はまた、深淵に落ちていくのであった。
落ちる時に聞こえたお決まりの音楽は、私に二十二回目の人生を歩ませるエピローグであった。
赤い服の配管工の話かな。