エピローグ
ここは――どこだ?
見上げると、天井には煌びやかな照明がぶら下がり、周囲には整然と並んだ店舗の数々。まるでショッピングモールのようだ。だが、そんな平穏な景色は一瞬で破られた。
奥から、鬼のような形相をした兵士が駆けてきた。
「分隊長! 分隊長! 上空に……戦艦が!」
その言葉を聞いた瞬間、体が勝手に動き出した。理由も、目的も、考える暇はなかった。ただ、足が走り出す。私は出口を突き破るようにして、外の光の中へ飛び出した。
外の空は、不気味な静けさに包まれていた。
低く響く「ゴゴゴ」という音。それは空に浮かぶ、巨大な黒い筒状の物体から発せられていた。まるで静寂と恐怖を同時に奏でる音色だった。
「ゼンを呼べ!ゼンだ、急げ!」
――ゼン? 誰だ、それは?
脳裏に疑問が浮かぶも、すぐにサイレンの咆哮がかき消した。空に響く「ドンッ、ドンッ」という破裂音。打ち上げ花火かと錯覚するが、違う。それは大砲だった。放たれた砲弾が、あの巨大な物体に向かって飛んでいく。
衝撃音と共に、空中で物体が崩れ始めた。瓦礫が、まるで鉄屑の雨のように降り注ぐ。
だが、それは終わりではなかった。
バキバキという音。
物体の中心部――まるで砲身のような筒がひときわ鈍く光り、その奥から紫がかった閃光が漏れ出す。やがて、そこから真っ白な球体が現れた。音もなく、球体はゆっくりとこちらの真上へと滑ってくる。
――嫌な予感がする。
パンッ。
突如、爆ぜるような音が鼓膜を打ち、視界が揺れた。気がつけば、私は地面に倒れていた。
仰向けの視界に、浮かぶ人影が見える。
――空爆だ。
耳をつんざく悲鳴。絶望にまみれた叫び。逃げ惑う群衆の声が、瓦礫と煙の向こうから届く。
――死ぬ。やばい、死ぬ。死ぬ……死ぬ……
私は震える手でポケットに手を突っ込んだ。スマホか? こんな時に……なぜ?
指が勝手に画面を操作し、通話画面が開く。そこには、こう表示されていた。
『zen shori』
「……お前に託すことがある。お前は……フィ……」
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