第三章
「チェリア様、戻りました」
「あ、ちょうどいいところに帰ってきたわね。」
「御用でしょうか?」
国民への伝達を依頼した、騎士団長二人が執務室に帰宅を伝えに来る。
「収穫祭の警備について話があったのよ。」
「なにかあったのでしょうか?」
「収穫祭のときに、誰かが攻撃してくるって情報が入ったの。」
「それは何と不吉な・・・。」
「一般市民に危害を加えられたら大変だから、そこを重点的に警備してくれる?」
「分かりました。では、騎士団の配置表が完成し次第、お伝えします」
「ありがとう」
収穫祭は、西国に遥か昔から伝わる伝統行事で、その日だけは身分関係なく祭りを楽しむことができる一大行事だ。
毎年、異国の要人を招いて行われるが・・・
「今年は危険だから、要人の招待はなしにしようかしら・・・。」
「ですが、大臣が反対するかもしれません」
「裏切り者がいないと言いきれない分、容易にこの情報を伝えられないですよね・・・」
「でも、ばれたという事が伝われば、諦めるんじゃないかしら?」
「た、確かに・・・!さすがチェリア様!」
「ですが、その程度で諦めるでしょうか?」
「情報が簡単に漏れるんだから、そこまで重大性は無いはずよ。」
「た、たしかに・・・」
「じゃあとりあえず、大臣たちを集めてくれる?」
「「はいっ!」」
大臣たちに詳しく状況を伝え、要人の招待の是非を問うと、満場一致で要人を招待しないことが決定した。
全てが終わって会議場を出ると、辺りは真っ暗になっていた。
「大臣たちに無理させちゃったわ・・・。後で追加報酬を渡そう」
「・・・チェリア、終わったか?」
「あ、アヴィ。まだ居たの?」
「ああ。南国の軍隊の件の報告がまだだろ?」
「あっ、そうだった。どうだった?」
「駄々をこねていたが、脅したら渋々帰ったぞ。数人捕まえておいたから、それでなにか交渉してみたらどうだ?」
「・・・そうね。ありがとう」
「礼はそれだけか?国王自ら危険な場所に出向いたってのに」
「王が騎士を動かすのは当然のことでしょ?・・・まあ、ありがとう」
「ああ。・・・ところで、収穫祭襲撃の容疑者は見当付いたか?」
「・・・ええ。動機は確実とは言えないけど」
「具体的に、誰だ?」
「・・・その前に、防音結界を張ってもいい?」
「いいよ」
アヴィには、私と主要騎士だけ魔法が使える、とまで伝えてあるため、遠慮せず魔法を使う。
「犯人は・・・だけど、首謀者は・・・だと思ってる。色々怪しいところとかあったし。」
「さすが、俺のフィオナ。」
「・・・お褒めの言葉をありがとう」
「”俺の”も、肯定しちゃっていいの?」
「したくない訳じゃないし・・・」
アヴィのこと好きだから・・・
その先までは言わなかったけど、アヴィは推測したのか、笑顔になる。
「あーあ。外野で見てるだけじゃつまんないな。・・・ねえ、収穫祭の要人として招待してくれない?」
「・・・えっ?!」
【注:犯人と首謀者は秘密にしておきます!今までの(頑張って貼ったはずの)伏線、これからの言動から推測してください。】