第二章
〈 作者も混乱中の登場人物一覧 〉
西国 → チェリア、主人公
南国 → シャオリ、何かをたくらんでいる・・・
東国 → カイル、好戦的
北国 → アヴィ、チェリアとラブラブ?
ちょっと長かったかも〜〜
2025/8/17に一部加筆修正
「チェリア様、お早いお帰りですね」
「リラ、すぐにみんなを集めてくれる?」
「か、かしこまりましたっ!」
メイドのリラが出迎えてくれるが、西国の騎士団を集めるよう頼む。
ラフな服装に着替えて大広間に向かうと、僅かな時間の中で大半の関係者が集まった。
「みんな、緊急事態よ。東国の王のカイルと、南国の王のシャオリに、私が魔力持ちなのを知られたわ。」
「えっ?!」「カイル殿に何かされたのですか!!」「一気に二人に知られるなんて!」
「みんなも魔力を持っている、ってことはまだ知られてないけど、気をつけないといけないわ。団長の三人は、国民にすぐに伝達して」
「「「かしこまりました。」」」
西国の騎士団の統括をする団長三人に国民への伝達を頼み、他の騎士達にも注意を促し、解散する。
「はあ・・・。もうすぐ収穫祭なのに、なんでこんなタイミングで・・・。」
「チェリア様〜!北国のアヴィ様からお手紙ですっ」
「わざわざありがとう、リラ」
「いえいえっ」
真っ赤な薔薇の花が書かれた手のひらサイズの封筒を開けると、手紙が出てくる。
《チェリア、元気か。こちらは相変わらず寒くて・・・》
「大した内容ではなさそう・・・」
適当に返事をしておこう、と大まかに読んでいると、最後に大事な事が書かれていた。
《収穫祭を狙って、誰かがチェリアの国を攻撃してくる。こちらで”誰か”は把握しているが、このまま教えたらつまらないだろ?俺を楽しませてくれれば教えてあげよう。to.愛するチェリア from.北のアヴィ》
「あぁぁぁ〜っ、もうやだ〜っ」
「チェリア様〜っ!」
アヴィの手紙で、口から魂が出そうになっていると、騎士がこちらに走ってくる。
「どうしたの?」
「国境に東国の軍がいます!」
カイルが来た・・・んじゃなくて、軍が居る?
軍なの?カイルじゃなくて?
「そんな・・・。攻撃できないのにどうしよう・・・」
「・・・呼んだ?」
「・・・えっ?」
最悪が重なって重なりまくって、痛むこめかみを揉みながらどうするか考えていると、後ろから目元を遮られる。
「手紙読んでくれたんだね」
「アヴィ、手を離してくれない?」
「冷たいなぁ〜。悲しいじゃん」
「あなたとはかなり前に別れたし、もう他人として接しようと言ったわよ。」
「・・・ねえ、こんなに色々重なるの偶然だと思う?」
私の視界を遮ったのは、北国のアヴィ。
転移で王城に来たみたいだ。
「どうせ誰かさんが仕組んだんでしょ?」
「流石、俺のチェリアは賢いな。・・・やっぱり君が欲しいよ、チェリア」
後ろから抱きしめられて耳元で囁かれる。
「気持ち悪いこと言わないでよ・・・」
「ほんと冷たい。愛し合ってたと思えないよ」
「ええ。どうしてあなたが好きだったのか、今も感じるものがあるのか、全く分からないわ」
「まだ俺の事を忘れないでいてくれるなんて・・・嬉しいよ」
アヴィのことは好きだった。
今は、執着と重い愛が怖くて距離を取っているけど・・・
「・・・そうかもね。」
本当は、アヴィを見たときに安心感を感じた。
彼が何かしてくれると言った訳では無いのに。
重い愛が怖いとか言ってるけど、きっとそれは、アヴィが居ないと寂しいと思ってしまうほど、彼に惹かれていることに気づきたくなかったから作りだした、偽りの感情だろう。
「・・・ふっ。やっぱりチェリアは面白い。カイルは何とかするから、チェリアは収穫祭の準備でもしておきな」
「あ、ありがとう!」
私は、アヴィが好きだ。
執着が凄くて、たまに不思議なところがあるけど・・・
「・・・だから私はアヴィしかいないのね」
アヴィに東国の軍隊を頼んだ分、収穫祭の襲撃について対策を練らないと。