February 11th — Karumi 花車(カルミ ハナグルマ)
「かぁーさぁーん!」
「どうしたの、朝からそんな大きい声出して」
今は朝とか、声がでかいとか、そんなのどうでもいい。急がなきゃ。
「俺の制服ないんだけど…探すの手伝って!お願い!!」
「はぁ、何を言っているの? ほんっとにバカなのね」
母さんは呆れたような声でそう俺に言った。
「…?」
「制服は学校で配られるの!! この話何回目なのよ…」
俺はバカらしい。まぁ否定はできないよな、母さん何度も伝えてくれてありがとう。感謝の気持ちは出来る限り相手に伝えたほうがいい。だから今日も素直に伝える。
「ありがとう母さん!!」
そう言って俺は自分の部屋に戻った。まだまだやることが残っている。たしか……あ! そうだ! 急に記憶が蘇ってきた。いつもはほったらかして母さんに任せるけど、新しい生活が始まるから普段やらないことをやってみよう。
……そう、俺は朝食当番だ!
「ふん♩ ふふ〜ん♩」
何だか気分がいい。やるべきことをやるって気持ちいいな。今後生かそ。
「変な鼻歌」
そう話しかけてきたのは次男のRsamだ。
「アーザムおはよう!! 今日は早いね!!!」
久々に朝早く起きてきたから俺はそう声をかけた。
「声でかい。うるさい。うざい。」
……"声でかい"と"うるさい"はまだわかるけど、"うざい"は違くない? てかそもそも"声でかい"と"うるさい"って同じじゃない?
普段ならしょげるところも今日なら何とか持ち堪えられる。だって今日は魔法学校の入学式なんだ。どんな生活が待っているんだろう、俺はものすごくワクワクしている。
「……なんか焦げ臭くない?」
あ、やべっ。母さん気づいちゃったかも。
「俺は朝食いらない。」
あ、なんかアーザムも勘付いてるかも。
まぁいっか。
「みんなごめん……」
俺は素直に謝ることにした。
「何これ…」
だよね。
「げっ…」
俺もそう思う。
「あははっ」
母さんが信じられないくらい笑ってる。久しぶりに大笑いしている姿を見てなんだか心なし安心した。アーザムもきっとそう思っていると思う。
「あんた料理下手だもんね、そっかそっか」
食べる気が失せるほどひどく焦げたオムレツを見ながら母さんはそう言った。食べるか食べないかは別として、俺の思いは何となく伝わったような気がした。
その後は母さんが作り直したオムレツを3人で食べた。
……俺が作りたかった味。マジで何を間違えたのかわからん。そんなことを考えながら家を出た。
一月が始まった。