January 12th — Laila Alyssum(ライラ アリッサム)
私は朝が好きだ。
特に好きなのは朝起きる瞬間だ。
眠っている世界には色がない。色が無いというか目を瞑っているからうまく見えないし、記憶も曖昧。そんな世界で数時間眠っていれば、私の場合感性が100倍になって帰ってくる。その100倍になって帰ってきた感性のおかげで、目を開いた時、つまり目が覚めた時はこの世界はどの瞬間よりも色が鮮明に載って見える。
つまり、色が載る瞬間が好きだ。たまらなく大好きだ。急に目の前にぶわっと広がるこの世界の形、色、音、匂い、空気はマジで最高。睡眠という有意義な時間を与えてくれた神に感謝している。
今の私には課題がある。
このひどくパツパツに腫れた顔をどうにかしなくちゃならない。
「……今日入学式なのに、どうしよう」
ぐるぐる回る頭が鬱陶しい。
夜は1日を記憶や思い出として振り返り、時には明日を見つけようとする(未来を予想する)時間だと私は思う。
昨日の私は1日を振り返ることはなく、ただ明日を見つけようとしていた。
真剣に探した。
答えの無いものを見つけ出す喜びや面白味すら忘れてしまうほど懸命に探していた。
でも見つからなかった。今の自分が出せる答えがなかった。ひとりぼっちのこの家で過ごす最後の夜が不安だった。改めて孤独の恐怖感、その恐怖感で死ねる生き物の脆さを知る夜だった。私はまだ自分を上手く扱えていない。そして自分を知らない。だから涙が溢れたんだ。
そういう事も相まって、年が明けたついでに今年の目標を立てる事にした。「自分をもっと知りたい」と感じることが多い私は、人と関わる事を大切にしようと心に深く刻んだ。
……そういえばこの顔どうしよう、
色々考えたが、まぁこの顔は時間と運に任せることにした。とりあえず支度をする。
近くの川で顔を洗おうとしたが、今日は一段と水が冷たい。しかも薄着で外に出てきてしまった。最悪だ。
「こんなに寒い中顔なんて洗えないよ…」
と、ブツブツ文句を言っている私だが、新しい環境に慣れるために根気をつけたい。本当は布を水で濡らして顔を拭きたい。
「はっ」と声を発し、勢いをつけた後、私は顔に水をかけた。頑張った。それから、朝食と言うには乏しいが暖かいミルクを飲み、靴を履き家を出た。
一月が始まった。