カナタの宝
「じゃあここの探検したい」
狩りはひとまずあきらめたカナタだけど冒険はしたい。
「では案内しますね」
ミチタネが先頭になって部屋を出る。渡り廊下に足をふみ出す。
「こちらは学院自慢の空中歩廊です。天界にもございますか」
空中と言うほどの高さはないけど、落ちたら痛そうなくらいは地面が遠い。
しかも柵は腰までしかない。
(安全は無視かよ)
それでも見晴らしは良いのと渡るのがちょっとドキドキするのは、カナタにも
気にいる。
「こちら側が本殿でございます」
階段を下りるとさっきまでいた建物の正面だ。中々かっこいい。
虹色に光る魚が泳ぐ池もあったし家みたいな形の門もある。
門の外側には塀があった。獣や魔物をさけるためらしい。
「学校の外も見たいな」
「それは学院の許可が必要かと」
塀の向こうは空しか見えない。カナタはちょっと残念になった。
「早く冒険したいな。ゲームみたいじゃん」
「げえむって何かしら」
えーっと説明しかけてカナタは迷う。
この世界にはテレビやスマホはあるのだろうか。
「対戦する遊びはある?」
「ああ囲碁や将棋のことですね」
カナタが思い描くゲームとはかなり違う。
「あ、そうだ」
カナタはポケットに手を突っこんだ。
バトルスターズのデッキが入れっぱなのだ。
「こんなキャラで戦うやつはある? これは紙のだけど画面に‥映像を映すのも
あって」
何とかゲームの説明をしたら、二人は息を飲んだ。
「何て細かくて美しい絵!」
「このような名品見たことがございません」
一気にほめられてカナタは得意になる。
「これはキラカードのアマテラス。属性は太陽で単体攻撃が最強。コンボでの
最強はこっちのオリオンとシリウスでどっちもレアなんだ。当てるまで時間が
かかったな」
カードをめくるたびヒナゲシとミチタネは感心する。
「夏と冬とか季節が隣り合わない星座は一緒に出せないから、デッキ構成とか
悩んだんだぜ。じゃまな考えカードはブラックホールに送るしかないし」
カナタはバトスタの説明だったらいくらでもできる。
だけど二人は全然聞いていない。
ひたすらカードを見ていた。
「こんな宝をお持ちだなんて、カナタは天界でも特別な方なのね」
(オレこの世界ならマジで神なんじゃね)
このエピソードを書くためにカードゲームのルールから
考えました。