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振られた翌日

作者: ひなの


「ごめん、別れよう。好きな人ができた。」


静かに別れを告げた朔の顔は自分の涙でぼやけてよく見えなかった。


私は「……わかった。」と頷くことしかできなかったし、朔の顔を見ると涙が溢れ出して大洪水を起こしそうだったので千円札だけ置いてコーヒーゼリーが美味しいんだよと彼が笑顔で教えてくれた喫茶店を出た。


恋多き男である朔に浮気されたことはあっても、結局は君しかいないと言われてずっと付き合ってきたからこそ、今回は彼が本気なんだと理解できて……。


嬉しいんだか、悲しんだかよくわかんない感情に飲み込まれた。



ーーーーーー


「あっ、朔におはようってLIME送らないと……ってもう、送らなくて良くなったんだった。」


昨日で全て枯れきったと思っていた涙はどうやら枯れていなかったらしい。


机の上には、呑み散らかした酎ハイの缶が無造作に置いてある。傷心中なのだ、無視だ無視。


「まだ、5時か。意外と空明るいなぁ。散歩でもするか!」


部屋に籠ってても何も変わらないと考えた私は散歩に行くことにする。頭が二日酔いの影響なのか、若干痛いが……散歩すれば治るだろう。


外に出れる状態に自分を整えた。

今日は川辺に行こう。


「酎ハイは私の心の安定剤だわ。やっぱり、手放せないから二日酔いは迎え酒で直そう!」


1人はしゃいでみたが、ただただ虚しかった。

彼がいたらこのノリにもいい具合になってくれるのになぁ。


ひっさしぶりに外を散歩してみると、澄んだ空気が私の淀み切って捻くれてる心によくしみた気がする。まぁ、片手に握りしててる相棒のサワーの方がしみるんだけど。


朝早いので、ジョギングしてる人か健康志向が高そうな老人しかいなかった。みんな私の相棒を見て二度見かましてるのはおもろかったな。


「やっぱ、川崎の川綺麗だなぁ。」


河川敷に腰を落ち着かせた。


「朔とピクニックしにここに来たなぁ。あ、思い出しちゃったじゃん……。」


視界に映る景色が歪み出した。

両目から涙がポロポロと溢れて止まらない。


「あれ?こういう時ってどうすればいいんだっけ?

わかんなくなっちゃったなぁ。朔、助けてよ。浮気は許すからぁ……。アンコールさせてよぉ。」


川と同じように涙も太陽の反射を受けて煌めき、まるでスパンコールのようだった。


私はこのスパンコールのような煌めきが朔の元まで届いて朔が追いかけてきてくれますように。と祈ることをやめられなかった。無謀だってわかってんのに。


側から見たらめっちゃ変な人だろうな。

片手に酎ハイ持ちながら泣いたんだもん。


「朔に愛されていたかったな。」


外に出て泣いたことで多少スッキリしたからその後は家に帰って寝た。






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