その先は
適当に書いてますね、えぇ矛盾起きてますねこれは
だけど、それをミノリに伝えるわけにはいかない。
ミノリは優しい子だ。俺が帰れないと知ったら、とても悲しんでくれるだろう。
だからこそ、伝えることができない。
俺はそんなことを思いながら、ただ黙って手を握っていることしかできなかった……
しばらくして落ち着いたのか、ミノリが口を開く。
そして、彼女は言った。ごめんなさいと。どうして謝るのか聞いてみると、彼女はこう答える。自分が不甲斐ないせいで、あなたに迷惑をかけてしまいましたと。
ミノリが言うには、幻影のファントムの力が強くて、自分だけでは抑えきれなかったというのだ。
そこで俺は思い出す。ミノリが幻影のファントムと戦っていた時のこと。確かに、あの時ミノリは苦しそうだった。あれは、幻影のファントムに支配されかけていたからか。
そこで、俺はあることに気づく。
もしかして、俺もあの時同じようになっていたのではと。
俺はミノリの手を離すと、自分の両手を見つめる。
やはりそうだ。俺の手はまるで血が通っていないかのように真っ白になっていた。
俺は自分の手を見ながら、考える。
もしかしたら、俺も幻影のファントムに取り憑かれていたのかもしれない。
だとしたら、今のミノリと同じ状況だったということだ。
俺は思わずゾッとした。
俺の意識があるうちに、何とかなったので本当に良かった。
もしも、あのまま俺の意識が完全に乗っ取られてしまっていたらと考えると、恐ろしい限りである。
だが、今はもう大丈夫だろう。
何故なら、俺の心の中にはもう一人の俺がいるからだ。
そのおかげで、俺はまだ正気を保つことができているのだろう。
俺が考え込んでいると、突然ミノリが咳込む。
慌てて駆け寄ると、彼女は辛そうな表情を浮かべながら、こちらを見上げてくる。