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幻影のファントム  作者: AIのべりすと
7/9

失敗

お?おぅ

結論から言うと失敗であった。

ゴブリンキングはどうなったのか?俺はそのことを尋ねると、エクリアは俯きながら答えてくれる。

残念ながら、ゴブリンキングを倒すことはできなかったようだ。俺が気を失っている間に逃げたらしく、今も行方は分かっていないとのこと。

エクリアは悔し気に唇を噛み締めると、拳を強く握りしめた。

私はもっと強くならないといけないみたいです、と呟く。

それを聞いた俺は、どうしてそこまで強さを求めるのか尋ねた。

すると、彼女は少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら、口を開く。

私の両親は冒険者でした。そして、父はこの村の村長でもあったんです。

だからでしょうか、幼い頃から両親の仕事について行くことが多かったのです。その時によく魔物に襲われたりして、父が母を助けていました。その姿に憧れたんですよね。

もちろん、私が戦えるようになる必要はありませんでした。でも、両親がいなくなった後、一人で生きていくためには力が必要でした。それで色々調べてみた結果、冒険者になる方法が一番良いと思い至ったわけなんです。

そういえば言ってなかったですね。

実は、私は貴族の娘でもあるんですよ。と言っても、あまりいい扱いを受けているわけではないですけどね。

エクリアは照れ臭そうに笑いながら、最後にこう付け加えた。

俺は彼女の話を聞いて、どこか共感できる部分があるなと感じた。

俺にも似たような経験があったからだ。

俺は幼い頃に父を亡くしており、それからずっと母一人子一人の暮らしをしていたのだ。

母は毎日仕事に出掛け、朝早くから夜遅くまで働いており、いつも疲れ切った表情を浮かべていた。


幼い俺はそれが心配だったが、何もできない自分が歯痒かったのを覚えている。……だからこそ、エクリアの話を聞き、自分も頑張ろうと思えた。

俺は彼女に対して、一緒に強くなるぞと言う。

すると、彼女は嬉しそうな笑みを浮かべ、はい、と答えた。

それから、俺たちはこの先どうやって鍛えるかを話し合うことにした。

まず、最初に思いついたのが、魔法を使ってみることだ。

俺は早速、エクリアに教えてくれと頼む。

すると、彼女は少し考えた後に分かりましたと答えてくれた。

そこで、まず初めに魔力を感じるところから始めることになったのだが……これが中々上手くいかない。

何かコツのようなものはないのかと聞くと、エクリアはあるという答えが返ってきた。……それは意外だった。てっきり、無いものだと思っていたが、どうやら違うらしい。


詳しく説明してもらうと、体内にある魔素を感じ取ることで、魔力を感じられるそうだ。

しかし、これには個人差があるようで、俺は全く感じられなかった。

それを見たエクリアは申し訳なさそうに謝ってくる。

どうやら、俺が鈍いだけみたいだ。

だが、俺は特に気落ちすることもなく大丈夫だと答える。

そして、すぐに次のことを考え始めた。

次は身体強化である。

これは、その名の通り身体能力を強化するもので、魔力を使うことによって発動させる。

最初は難しいだろうと言われたが、俺は何とかやってみると言った。

正直、全く自信は無かった。


だが、やる前から諦めるのは良くない。

俺は深呼吸をして心を落ち着かせると、体の中にある魔力を探すように意識し始めた。

だが、なかなか見つからない。

俺は焦ってしまいそうになる気持ちを必死に抑え込むと、もう一度集中し始める。……すると、ほんの僅かではあるが、感じることができた。

それを逃さないように、更に深く探っていく。すると、身体の奥底に温かいものを感じた。……これだろうか? 俺はその温かさを確かめるために、ゆっくりと手を伸ばしていった。すると、突然、視界が大きく揺れ動く。

「うわぁ!?」

俺は思わず叫んでしまった。

何が起こったのか分からず、辺りを見回すとエクリアの姿が見える。

彼女は驚いた様子で、俺のことを見ていた。

「あ、あの、いきなり大きな声を出して、どうかしましたか?」

「え?……ああ、ごめんなさい。ちょっと、驚いてしまいまして……」

「いえ、別にいいんですけど……。それよりも体調の方は大丈夫なんですか?」

「はい、問題ありませんよ。」 

エクリアはホッとしたような表情を見せると、再び視線を戻した。……今の出来事は何だったんだろうか?

俺は首を傾げながらも、さっきと同じことを試してみる。

そして、また同じように大きく体が揺れ動いた。

今度は倒れないように踏ん張ると、先程よりもはっきりとした感覚がある。

間違いない、これが魔力なのだと確信した。

これでようやくスタートラインに立ったことになる。

ここからは一気に加速していくしかない。

俺はそう考えると、早速身体強化を発動させた。

魔力を使うというのは不思議な気分で、まるで自分のものではないかのような違和感を覚える。

だが、同時に力が溢れてくるのも感じていた。

俺は軽くジャンプしてみたりしながら、どの程度の力が出ているのか確かめていく。

予想以上に動けることに驚きつつ、俺はさらに魔力を高めていき、限界まで引き上げてみた。……よし!このくらいならいけるはずだ。

そう思いながら、目の前にあった木に向かって拳を振り下ろす。……すると、メキィッという音と共に、あっさりとへし折れてしまった。

俺は唖然としてしまう。

エクリアも信じられないといった表情を浮かべていた。

まさか、ここまでとは思わなかった。

俺は、身体強化を解除した後で、エクリアに礼を言う。

すると、彼女は照れたように頬を掻いた後、笑顔を浮かべながら、気にしないでくださいと答えた。



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