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1 悪役令嬢転生


 


 それは、私が王妃教育のために王宮に向かう途中、学園内の渡り廊下を通っている時のことでした。


 聞きなれた声が聞こえたような気がして、私は、そっと外を見ました。


 すると、、、我が婚約者、オランド殿下が、草むらに座り込んで、見知らぬ女を膝にのせて抱きしめておりました。女は、生まれた時のままの姿です。服が脇に置いてありました。


「そなた、良い香りがするな。」

「えーーー、恥ずかしいですぅ。」

「ふふ、今さら、そんなかわいいことを言って抵抗しても無駄だよ?今の自分の格好を見てごらん。」

女は恥ずかしそうに殿下を見て、何か言っておりました。


 一方、私は彼らのただならぬ雰囲気に、呆然としておりました。


 その時、私は突然思い出したのです。『あっれ、これ、『きらベル』のイベントじゃん。』

 そして、私は、流れ込んでくる大量の記憶に、意識を失い倒れました。




 『きらベル』というのは、『煌めく 聖ベルナルド学園』という小説です。ふんわり中世西洋風の世界観にかわいらしいイラスト、ポエム感あふれるストーリーで、そこそこ人気があったみたいです。


 ちなみに私は、これを前世のお友達に借りて読んで、爆笑しました。

『いや、あれ、ありえねえでしょ。貴族に引き取られて学校に通いだしたヒロインがドジっ子で、同級生の王子からおもしろがられてちょっかい出されて、本当の俺の姿を見せることができるのはお前だけとか言われて。ヒロインは、王子との仲を妬んだ悪役令嬢にいじめられて、1回だけ町であった初恋の怪盗を心のよりどころにして耐えていたら、王子が怪盗だったと明かしたついでに悪役令嬢を断罪、婚約破棄して、少女にプロポーズとか、盛りすぎ盛りすぎ。』

 いけませんわ、私ったら。前世の言葉遣いはとても淑女とは思えませんわね。思うだけならまだいいけど、うっかり口に出さないよう注意しなくっちゃ。



 私は、前世、読書を唯一の趣味とする、多少口は悪いが自称とてもおとなしい乙女な高校生でございました。

 前世の記憶はあいまいな上、途中で途切れておりますけれど、死亡後、よくあるネット小説のように異世界の悪役令嬢に転生したみたいです。

 

 私は、今、ドロス辺境伯の長女、リイン・ドロス、14歳、王子オランド殿下の婚約者です。

 現在、聖ベルナルド学園に通っています。

 白い髪、白い肌、黒い瞳、ピンク色の唇です。

 『きらベル』の悪役令嬢の設定とぴったり一致しています。


 私が『きらベル』に登場する悪役令嬢だとすると、今後、私はヒロインをいじめ、卒業パーティでオランド殿下から婚約破棄されて国外追放を言い渡されることになっております。どうしましょう。


 ただ、私のいる世界と、『きらベル』の小説の世界とでは、思ってもみなかった違いと申しますか、小説にはっきり書いていなかった世界設定がありました。



 この異世界の人類は、犬系獣人だったのです。


 次回、犬系獣人の神話回。

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