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リーヴァル調査会社  作者: ヤシの実
相談者1人目 不審な獣人
4/17

4話

 男は珍しく息切れするくらい急いで走って来た。

 アイヴィス探偵事務所の前で“ぜぇぜぇ”言いながら村田を呼ぶ。


「お久しぶりです。河野様。中へどうぞ」


 以前と同じ部屋を案内され中に入る。

 男は先に席に座り、村田も後に座る。


「お時間がかかり大変申し訳ございません。では早速ですが調査結果をお伝えします。」


 河野は恐る恐る内容に耳を傾ける。


「まずメール送信者の正体なのですが…申し訳ありません。以前お借りしたUSBのIPアドレス情報を元に場所を特定したのですが中で誰がどのパソコンを利用して送ったかまでは確認できませんでした。場所はネットカフェなのですが中の監視カメラを拝見させていただくには警察の方に相談して事件性の高い内容で無いと拝見できない可能性がありまして…ちょっとここから先は我々の方では対応が難しいのが現状の理由としてあります。それかもしくはご自身で弁護士に相談する必要があります」


 河野は、場所は特定できたが結局相手が分からないと言うことに絶望した。

 警察か弁護士に相談するにも家族に連絡が行き、険悪な関係になるのは間違いない。

 調査員の村田は次の案件について話す。


「次に奥さまの1枚目の写真に写っていた隣の男性の正体です。1件目の調査中に教えていただいた奥さまの職場の男性バイトはSNSから張り込みまで調査を行いました。結果はこちらも大変申し訳ございませんが確認できませんでした。本当に申し訳ございません」


 河野は2件とも最終的に調査結果が根本的に分からず仕舞いになり、無念の気持ちで一杯である。

 “そんな…“と心の中で呟くも村田に対しては落ち込みながら話す。


「わかりました。急遽、調査していただきありがとうございます。あとはこちらで警察等に相談します」

「本当に申し訳ございません。ではこの流れで申し訳ありませんが当初ご説明した着手金の方を頂戴いたします」


 河野は何とも言えない気持ちでクレジットで支払った。

 追加案件も合わせて20万円である。

 調査失敗で割に合わない金額だが自分で決めたことだ。

 猶予は3日間。

 ここでクヨクヨしているワケにはいかない。

 アイヴィス探偵事務所に頭を下げ場所を移す。



ーーーー



 公園でひとりの獣人は悩む。

 先ほど仲村PMに言った“フェリクスに相談する“件だ。

 自分で言ったことに嘘は付きたくない。

 相手は元犯罪者。

 今さら自分の都合で突然連絡するのも気が引ける。

 だがこのままだと今まで築き上げてきた家庭が徐々に崩れてしまう。

 時間が無い彼は迷いを払拭しフェリクスに連絡する。


「はい」

「フェリクスか?河野だ。覚えてるか?」

「ん?あぁ河野か。急にどうした?久しぶりだな」


 久々の連絡相手は何事も無かったかのように普通に返事した。

 河野は何とも言えない気持ちになる。


「…実は頼みがある」

「は?なんだ急に?どうした?」

「実は最近社内に迷惑メールが着て…その内容に僕の妻が写っていたんだ…なぜ僕に嫌がらせするのか、誰が犯人なのか特定してほしい」


 その相手は面倒くさそうに他に任せようと事を流そうとする。


「それは公的にお巡りか弁護士に相談すれば良いんじゃないか?」

「いや公的だと家族に連絡が行ってマズイ事になる。妻が不倫してる可能性がある。男と一緒にいる写真があるんだ」

「それがどうした」

「今まで築いてきた家族関係が悪化するのを防ぎたいんだ。幼い娘も1人いる」

「…わかった。チョコ3個だ」


フェリクスは薬物の隠語を使い、薬物を依頼料として要求する。


「助かる。手に入れたら連絡する」


 河野は家族を養うようになってから裏社会の人間とは縁を切っていたが今回に限って再び関係を持つとは予想だにして無かった。


 彼は闇に誘惑され自ら身体を浸かって行く……


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