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リリーとスノー

ここに来て毎日の連続投稿ストップしてしまいました。しばらくはペースを落としての投稿になりそうです。ブックマーク、評価、メッセージ、誤字報告等も大変有難うございます。引き続きリリーの異世界浄化の物語をよろしくお願いします。

 翌朝……

「んん……ハッ!! あぁ……そうだった」

 両脇には丸まって眠るロジーと、私を優しく抱きしめ眠るスノー。

 そうでした。この街にいる間だけと限定して一緒に眠る約束をしてたんでした。

「毎朝目覚める度にハッとしなきゃいけないのかしら……」

 二人を起こさないように体を起こそうとするが、スノーに抱きしめられているせいで起き上がれない。


『リリー。もう起きたのか? もう少し寝ていればいいのに』

 そう言って、起き上がりかけた私をグイッと引き胸の中に閉じ込められた。

「スノー」

『少しだけ。もう少しだけでいいから』


 珍しい……いつもはこんなにスキンシップ取りたがらないのに……

 そんな事を思っていたら抱きしめていた腕を解き『おはようリリー』そう言って額に口付けを落とした。


 ーーーーー!!


「い、い、今、なにを!?」

 びっくりしておでこを押さえる。

『ん? 人の子はよくするだろう? 髪……頬……指……手首』

 口付けを落とす部位を一つ一つ言葉に出しながら口付けをしていくスノー……

『それに唇……』

「それはダメ……」

 慌てて唇を手で隠すと、手の甲に唇を落とされた。

『ふふふ、揶揄っただけだよ』

 むぅぅぅ……。

「どこで覚えてきたのよ……まったく……」

『家族と言われて、ついな。のぼせ上がったみたいだ』

 そんなやり取りをしているとロジーも目を覚まし、おはようの挨拶と共にギュッとハグされる。

 二人とも段々遠慮が無くなってきたわね。やりたい放題だわ……ロジーに関しては今更だけど、スノーにまで翻弄されるとは思ってもみなかった。


「ほら、早く起きましょ。今日は早めに露店に行って開店準備する予定だからゆっくりしてられないわ。二人とは現地で集合ね」

 そう言って起き上がり、朝の支度をする。朝からドキドキさせられ、のぼせたのは私の方だ。


 その後ミラと朝食を済ませ、露店へと向かう道すがら気になっていたことを聞いてみることにした。

「ねえミラ、この国ってさ、よくキスで挨拶してる人見かけるじゃない? それって、男女関係なく親しい人なら誰とでもするものなの?」

「……リリー? 何がどうなってその考えに至ったのかしら?」

「え?」

「え? じゃないわよ。挨拶でハグならよくするけど、友達同士でキスはしないからね。キスで挨拶するのは恋人同士だけ」

「うっ……じゃ、じゃあ家族は?」

「家族なら……あたしはよくお父さんとお母さんに頭にキスされるけど、それ以外はないかな……」

「おでことかは?」

「おでこって……頭にするのとは違う愛おしさの表れ……かな? 場所によって意味合いを持つキスもあるからね。分かりやすい所で言えば、騎士が主の手の甲にキスすれば【敬愛】とか、手首だと……【あなたが欲しい】とか?」


 ……私、どこにされたっけ? おでこ、頬、指、手首……手首!!

 スノーは揶揄っただけと言っていたけど、意味までは知らないわよね……


「リリー? 何で突然そんなこと聞くの? え? もしかして……」

「違う違う! 揶揄われただけだから!」

 つい咄嗟にそう答えてしまい、慌てて口を閉じたが後の祭り……

「え〜? 誰にぃ〜? どこにチューされちゃったのかなぁ〜?」

 ミラの顔が盛大にニヤニヤし始めている。

しまった……余計な事言うんじゃなかった……


 露店に着くまでの間根掘り葉掘り聞かれ、まるで尋問のようだった。さすがに、一緒に寝てるとは言わなかったが、しつこい尋問に負け、スノーに揶揄われてキスされた事を話してしまった……


「はぁ〜ご馳走様……羨ましいわ〜、やっぱりリリーは愛されてるのね〜」

「いやいやいや! ホントに揶揄われただけだってば……」

「何言ってんの。あんなかっこいい人だもの、全然アリでしょ? 幼かった二人が大人になって初めての再会……女らしく成長したリリーに彼はいつしか恋心が芽生え……ってね!」

「言ったでしょ? いとこだって」

「いとこ同士なんて珍しくもないじゃない。ちなみにうちのお父さんとお母さんもいとこ同士よ」


 ミラに教えて貰ったところ、この国ではいとこ同士で結婚する事に何も問題は無いらしく、人の少ない田舎だと珍しくもないそうだ。ただし、国が違えば考え方も違う。いとこ婚を禁じている国もあり、わざわざいとこ同士で結婚する為に、この国まで移り住む人達もいるのだとか。


「なるほどね〜。それでもね、残念ながらスノーとはそんな関係にならないから、ミラの妄想には答えられないわ。あ、別に嫌いな訳じゃないからね、一緒にいて安心感を与えてくれるスノーは大好きよ。もちろんロジーもね」

「な〜んだ……お似合いだと思ったんだけどな〜」

「ほらほら、そんな事言ってないで。今日も感謝祭頑張ろうね」


 二人で話をしながら歩けばあっという間に会場着いた。会場には私たちの他にも数名が、開店準備に追われていた。私たちの露店の左隣では既にジェフが準備を始めている。右隣にはこの土地で作られたワインの露店、その隣はココミルク専門店、その隣は織物などの生地を売る露店など様々立ち並んでいる。


この露店の中に穀物専門店があればね……絶対に探してみせるわ! そう意気込んで、私たちの露店【ハーバルアロマ ミュゼ】の開店準備をするのだった。


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