まさかの満開
午後からは庭の一角を使い、ローズガーデン作り。
バラは種類も豊富で、さらに切花用の薔薇とローズガーデン用の薔薇でも違いがある。
と、そこでふと思い出したが薔薇って挿し木や接ぎ木で増やすんだけど、私薔薇の苗持ってない。
「なんてこった〜‼︎ ローズガーデン計画早くも破綻か‼︎」
ガクリと項垂れてみたが、ないものはしょうがないよね。一応薔薇にも種は存在するんだけど、一般的ではないのよね。
この世界で薔薇咲いてたらいいな。なんて思いながら、アイテムボックスをガサゴソしていたら、なんか気になる種を発見。取り出してみると、【ローズガーデンの種セット】の文字が。
「は?」
嘘でしょ? まさかね? そこまで都合よくないよね〜。なんて思ったが、淡い期待を込めてまずは浅いトレイに土を入れて蒔いてみた。これで芽が出れば植えてみようかな。どんなのが咲くか分かんないけど。
取り敢えず、ローズガーデンは保留で。
次はハーブ園。大学時代、ハーブティーにハマり【ハーブコーディネーター】の資格まで取ったのだ。ここで使わずいつ使うのだ。
こちらは広く土を耕し、ハーブの種類ごとに区分けして種を蒔くことにした。
ハーブティーにもスパイスにも使えるから楽しみだ。
ラベンダー、カモミール、ペパーミント、スペアミント、ローズマリー、バジル、イタリアンパセリ、タイム、セージ、チャイブ、ナスタチウム、ヒソップ、エルダーフラワー、ワイルドストロベリー、ステビア。とにかくいろんな種類を植えてみた。
「元気に大きくなってね」
思いを込めて水魔法で水やりをして完了。
一気に植えたせいでどっと疲れてしまった。一旦家に戻って休もう。固まった腰を伸ばしてストレッチし、家に戻ってソファーで休憩。余程疲れていたのかそのままソファーで眠ってしまった。
そして、気が付くとまさかの朝。
「ハッ!」
寝てた。何時間寝たんだってくらい寝てた。欠伸をするとシャワーをしにバスルームへ。
「はぁ。スッキリした。寝落ちするくらいまで頑張っちゃダメよね。今日は家の周辺の探索だけにして、残りのガーデン計画はゆっくり進めるとしよう」
朝ごはんを食べ、食料庫を覗くと残りもわずかとなってきた。そろそろ近くの村にでも行って食料を買わないとね。お金どうしよう。売れるものがあればいいけど。周辺探索で何か見つかれば売りに行ってもいいよね。
身支度を整え、外に出る。するとそこには昨日とは全く違う景色が。
「はぇ?」
ビックリしすぎて変な声出た。だってしょうがないじゃない。花壇の花が咲いてるんだもん。
慌てて花壇に駆け寄り確認してみる。
「みんな咲いてる。そして心なしかキラキラしてない?」
昨日花壇に植えた花は、球根も種もみんな綺麗に咲いていたのだ。
なんでだろう。ここが異世界だから? まさか、昨日寝落ちしてから何ヶ月も経ってる……な訳ないか。
「あぁ。綺麗。それにいい香り。いろんな花の香りがする〜」
ふと、ここで神様から貰った鑑定スキルを試してみることにした。
チューリップに目線を合わせ、鑑定!
【異世界の花】
異世界ではチューリップと呼ばれる花。
花言葉は「思いやり」など。また色によって花言葉が変わる。
ストレリチアには今までないので新種扱い。
ひまわりに目線を合わせ、鑑定!
【異世界の花】
異世界ではひまわりと呼ばれる花。
花言葉は「あこがれ」「あなただけを見つめる」など。また色によって、大きさによっても花言葉が変わる。
ストレリチアには今までないので新種扱い。
種の中身は美味しく食べれます。
「う〜ん。新種か。そりゃそうだよね。しばらくは様子見がてら私の観賞用に愛でておこう。気が向いたら切花にして売りに行ってもいいかもね」
バラの方も確認に行くと、トレイから小さな芽が出ていた。こちらは花壇のように花が咲いてるわけでもなくまだ芽の状態。
ハーブの方を見に行くと、豊かな香りを放ちながら立派に育ったハーブ達が風に揺れていた。
「うわ〜! いい香り‼︎」
ラベンダーが風に揺れる度に強い香りが辺りに放たれる。
「今日の探索は一旦保留にしてちょっと整理しよう」
何だか頭がパンクしそうなので、ラベンダーとカモミールとミントとステビアを刈り取り家の中に戻るのであった。
家に戻り、ハーブを机の上に置く。
「取り敢えず鑑定してみよう」
【異世界のハーブ】
異世界でラベンダーと呼ばれるハーブ。
花言葉は「沈黙」「私に答えてください」「期待」「不信感」「疑惑」など。
効能 リラックス効果があり、痛みを和らげる効果を持つ。香りを嗅ぐことで魔力回復スピードが劇的に上がる。
【異世界のハーブ】
異世界でカモミールと呼ばれるハーブ。
花言葉は「逆境に耐える」「苦難の中の力」など。
効能 リラックス効果があり、不眠を解消し、安眠に繋がる。体に取り込むことで眠りを誘い、目覚めると体力を回復し、体の不調を取り除く。
【異世界のハーブ】
異世界でスペアミントと呼ばれるハーブ。
花言葉は「温厚」「暖かい心」「思いやり」など。
効能 殺菌効果を持つ。など。マイルドで甘みのある爽やかな香りを放つ。異世界特有の感染症などに効果を発揮する。
【異世界のハーブ】
異世界ではペパーミントと呼ばれるハーブ。
花言葉は「真心」「美徳」「誠実な愛」など。
効能 脳の鎮静化。など。ミントの中でも強い尖った香りで、魔獣系のモンスターが嫌いな香りを放つ。モンスター避けとして期待できる。
【異世界のハーブ】
異世界ではステビアと呼ばれるハーブ。
花言葉は「清潔」「生きる」など。
効能 ダイエットに最適です。砂糖の300倍の甘さがある。人を幸せにしてくれる。
「ほぇ〜。地球にいた頃と同じような効能もあるけど、こっち特有の効能もあるのね。体力回復とか、魔力回復とか」
これ加工して売れないかな? 例えばラベンダーなんかは花茎ごと刈り取ってまとめて束にして逆さに吊るしておけば、サシェやポプリに使えるし、ペパーミントも乾燥させてサシェにすれば旅の途中のモンスター避けにできる。ステビアはシロップにしておけば色々使えそうね。
こっちの人にしてみれば怪しいものかもしれないから、森で見つけた物に試供品として付け好評なら販売するのもいいかもね。
今日は色々なハーブを使って、ハーブティー、サシェ、ステビアシロップを作ってみよう。
まずはハーブの乾燥から。ここで、種類ごと並べたハーブに手をかざし、魔法を使って乾燥させてみる。
「要は、水分が無くなればいいんだから……火魔法かしら? それとも水魔法で水分を奪う? 火魔法は危ないよね……」
前回の失敗を思い出し、苦笑いする。ここは水分を奪うイメージで乾燥させてみよう。
集中して手をかざし、見る見るうちにカラカラに乾燥していく。大成功だ。
今回作ったハーブグッズ
・カモミールの安眠ハーブティー
・風邪に効くスペアミントのうがい薬
・ラベンダーの魔力回復ポプリ
・ペパーミントの魔獣避けサシェ
・ステビアシロップは丸一日置いて煮詰めるだけにしておいた
簡単なところでこんなものかな?
さて、後は森で何か見つかるといいけど、鑑定スキルを使いながら何か見つけてこよう。