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マイホームと魔法

「喉乾いちゃったな」

 しばらく本を読み続けたが、何か飲もうとキッチンへ向かう。

「お茶とかあるかな〜?」

 戸棚の中をゴソゴソ探してみると、陶器でできた木の蓋の付いた入れ物の中に紅茶の茶葉らしきものがあった。匂いをかいでみても紅茶っぽい。

「これでお茶してみよっ」

 次はお湯を沸かさないとね。ヤカンを手に取り水を入れようとするが、ここで問題発生。

「ん?お水ってどうやって出すのかな?」

 まさか、魔法で出さなきゃいけないのか?

 水が出るであろう部分はあるのだが、レバーがない。

 ハッ! そう言えばさっきの本棚に【お家の取扱説明書】あったよね⁉︎

 リビングに戻り説明書を読んでみると、水が出る部分には水の魔石がセットされており、手をかざすと水が出るらしい。


 魔石とは魔素が凝縮された宝石のようなもの。入手法は主にモンスターの体内から摘出できるらしい。あとは、自然と魔素の濃い場所には魔石が生まれるんだって。こちらは非常に貴重で滅多にお目にかかれないらしい。


 おぉ。まさかのセンサー付き蛇口ですか。ハイテク〜!

 説明書片手にキッチンに戻ると早速手をかざしヤカンに水を入れてみる。

 おぉぉ。出た。よし、次は火にかけてと。

 これまた使い方が分かりません。説明書〜!

 フムフム。これも、火の魔石がセットされているのね。この台の上にヤカンを置いて、魔石のセットされている部分に手をかざすとポゥっと台が光り、お湯を沸かし始めた。

 IHクッキングヒーターか! 便利だな。

 お湯を沸かすだけで30分近くかかってしまったが、ようやくお茶を入れることが出来た。

 お茶と戸棚にあったクッキーを持ってリビングに戻りティータイム。

 これから少しずつこの家に慣れていかないとね。

 

 次は何しようかな。そうだ、魔法の練習と、アイテムボックスの中にある花の種を蒔いてみよう。


 家の中では失敗して家が燃えちゃったとか言ってられないから外に出てみる。もちろん【魔法辞典初心者編】を片手に。


 本を読んでみるとイメージさえできていれば、手をかざして魔力を込めるだけで使えるらしい。そういえば、神様も手をかざして東屋出してたしね。きっと神様しか使えない特別な魔法だろうけど。


 そして、魔法を使える者にも得意不得意があり、使える魔法と使えない魔法があるみたい。


 魔力とは体中を巡っている魔素だ。本にはまずは体に巡る魔力を感じてみましょう。と書いてある。目を閉じ体の中の魔力を感じてみる。すると、暖かなものが体を駆け巡っているのが感じられた。

「これが魔力なのかな? 取り敢えず使ってみよう」


 まずは火の魔法から。人差し指を立ててライターの火をイメージし魔力を流す。すると、ポッとかわいい火が指先に灯った。

「わぁ! ほんとに出来た! 指熱くないんだね」

 指先の火を「フッ」と息をかけて消す。

「意外と簡単なのね。次はもう少し大きい火を出してみよう」

 今度は手のひらを上に向けて手のひらサイズの火を出そうと魔力を込める。すると、突然大きな火柱が手のひらから吹き上がった。

「キャーーーー! 消えて消えて‼︎」

 消えろと念じると火は、いや炎は一瞬にして消えた。バクバクと心臓の音が聞こえて手が震える。

「し、失敗、失敗。難しいのね。はぁ~ビックリしたぁ」

 あ、なんか焦げ臭いと思ったら前髪がチリチリになってる。火の魔法は要注意だね。極力使わないようにしよう。家の中で使わなくてほんと良かった。


 そのあとも、水、土、風、雷の魔法を使ってみた結果。どうやら水と土の魔法が一番安定して使えることが分かった。次いで風の魔法。雷の魔法は聞かないでほしい。まだ体がピリピリしてる。火と雷の魔法はしばらく封印決定ね。

 あとは、光と闇だけど魔法のイメージが出てこないからこれは後々でいいかな。


 気が付けば太陽はだいぶ低くなり、あたりはオレンジ色の景色に染まり始めていた。


「今日はここまでね。今日は早めにお風呂に入って寝よう」


 私の第二の人生はこうして始まったのであった。


 魔法の練習を終え家に戻りお風呂の準備を始める。お風呂にも魔石が利用されていて、火の魔石と水の魔石がセットされていた。

「ここにも魔石。きっとこの世界では化学の代わりに魔石文明が発展しているのね」

 室内の明かりも魔石が利用されていて、柔らかな光で家の中を満たしてくれている。


 ゆっくりと湯船につかり今日の疲れを癒す。


 お風呂から上がれば、夕食の準備。神様が用意してくれたのであろう食材の中から簡単な料理を作り、少し寂しい一人での夕食を終わらせ眠りについた。


 朝、窓からの光で目を覚ます。

「ん〜! よく寝た〜!」

 眠気も残らずスッキリと目覚めることが出来た。


 さて、今日の午前中は花の種を植えて、午後からは周辺の散策に行きますか。

 今日の日程を考えながら朝食を済ませて外へ出る。


「まずは植える場所よね。どこがいいかな?」

 ざっと見回して日当たりの良さそうな場所を探し、玄関前の階段付近に目をやる。

「まずは家の周りからかな」

 階段の前の左右に花壇を作り、家に入る時に花に迎えられるようなイメージしてみた。

「うん。なかなかいいかもね」

 そして、ある程度の目安として木の棒で地面に線引きをした。


「さて、ここで土魔法の出番です。魔法で一気に耕しちゃいましょう」

 手のひらを地面に向け、しっかりと土を耕すイメージをして魔力を巡らせ放つ。すると、地面がモコモコ動き始め空気を含ませながらフカフカの地面が完成。

「なかなかいいじゃない。あとは花壇なんだからレンガとかで囲いたいけど、そんなものないよね? どうしようかしら? 魔法で作っちゃう?」

 上手くできればその辺の土を魔法で圧縮すればなんちゃってレンガは出来そうだけど。


 考えながらふと森の方へ目をやった

「幅15センチくらいの薪に出来るような枝とか落ちてないかな?」

 丸いを輪切りにし並べれば自然な花壇が出来るだろう。


 あまり奥まで行かずに、手前の方で探せば大丈夫だよね。森に入り、家が見える範囲で探してみる。すると、何本かいいサイズの枝を見つけることができた。


「この枝を花壇用にカットしましょう」

 気分はDIYテレビ番組だ。

 風魔法で枝をカットしていく。どんな太い枝でも魔法を使えば難なくカット出来る。

 カットした枝は花壇の縁に綺麗に並べて、高さはあえてバラバラにしてみた。


「花壇の完成〜♪」

 我ながら納得の出来栄えである。


 いよいよ花を植えていくわけだけど、まずはどんな花を植えたらいいかな?季節的な事も考えて植えなければならないが、ここは異世界。どうなるか分からないが、色々植えてみようと思う。


「まずは妥当にチューリップとかかな? 球根は10月とか11月に植えて冬を越し春に開花するんだけど、こっちの気候が分からないからなぁ。試験的に植えてみるのもアリかな?」


 アイテムボックスを初めて使う時が来た。【魔法辞典初心者編】で読んだとおりに空間を開くイメージで空間に手を突っ込んでみる。

「えっと、花の種花の種……」

 欲しい花の種をイメージし、どんどん取り出す。


 結果、右側の花壇には球根類を、左側の花壇には種を植えてみた。


 右側にチューリップ、ムスカリ、ヒヤシンス、クロッカス、スノードロップ。

 左側にパンジー、カンパニュラ、マリーゴールド、スイートピー、ひまわり。


 季節感関係なく植えてみたけど、どうなるかな?


 最後に水魔法で、土に水をかけて今日の作業は終了。と思ったが、育成意欲が湧いてきてどうにもとまらない。


 薔薇いっぱいのローズガーデンも作りたいし、ハーブ畑も作りたいし、藤の花で藤棚作りたい。

 ウズウズウズウズ……

「まだ午前中だし、まだまだいける! 午後からの周辺探索を明日に回して今日は1日庭づくりに変更!」


 楽しくなってきた〜。



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