閑話 アズレア王国編
「無事に合流出来てこうして王都に帰って来れて良かったですね、隊長」
そう、クラウスとフレドリックはリリーの家を出発し、五日目にして調査隊と合流することが出来た。
リリーの家から街まで二日、馬に乗り三日間走り、五日目の昼前にようやく合流することが出来た。
「ああ、それも全てリリーのお陰だな」
「いや〜、でも合流した時のみんなの顔、凄かったですよね〜!」
二人が合流した時、調査隊は衝撃に見舞われた。モンスター三体に同時に襲われ、戦いのさなかクラウスはフレドリックを庇い、右腕を負傷しながらフレドリック共々崖から転落。死んだと思われていた二人が生きていたのだから。
そして、その傷跡。四本の爪で腕が引き裂かれたことは他の隊の皆も見ていた。それが、傷跡だけを残し綺麗に治っていたのだから。
「どうやって生き延びたのか聞かれた時俺、どう答えるか考えてたら、隊長が「女神に助けられた」なんて言うから、皆に隊長がおかしくなったと思われたじゃないですか」
「仕方がないだろう。リリーの事を素直に話せば大事になる。見たことも聞いたことも無い効果の薬学を熟知し、そしてあの強大な魔力。お前の話と合わせ、確認できたのは、最低でも火魔法、水魔法、風魔法、治癒魔法を使えるはずだ。恐らくそれだけではないと思われる。そんな事を知られてみろ、大騒ぎになるぞ」
「ですよねー。でも……王太子殿下には何と説明するつもりですか?」
「そこはどうとでもなる。正直に話し、秘匿してもらうのが最善だな。後で報告しておく」
アズレア王国騎士団には第一から第五までの部隊がある。そして、その中から特別優秀な者達が王太子直属の特務部隊に選抜され、暴走モンスターの討伐、魔素の調査、その他の様々な特殊調査に当たっている。
そして、その特務部隊隊長クラウス。
これから彼は今回の遠征、調査の報告を王太子殿下に伝えるため王太子殿下の執務室へ向かうのだった。