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第二十四話

 私は、いろんなことを一生懸命考えることにした。ケンタのことも河童のことも魔女のことも。全てについてしっかりと考える。

 ケンタはずっとどんな気持ちだったのか? なんで今、このタイミングで思いを伝えて来たのか? 河童はなんでこの川にいるのか? 尻子玉って、河童にとってどんなものなのだろうか? そう言えば、あの雨の日、河童は「一人になりたいのならどっか別の所に行け」と言っていたけれど、「ここにいるな」とは言ってなかったな。やっぱり、河童はやさしい奴なのかもしれない。魔女はどうして、尻子玉が欲しいんだろう? いろんなものを失って、なんで生き続けているのだろう? 魔女の望みはいったいなんだろう?

 こんなふうに、たくさんのことを考えた。


 気が付くと、一日が終わっていた。考えるということは、とても時間と根気のいる作業だ。いつもの私だったら、とにかく行動していた時間を、私はここでただじっとしていただけ。傍から見たら、ただ怠けてボーっとしていただけに見えたかもしれない。それでも、私は一生懸命考えていたの。この心の葛藤が他の人に見えずに、表面だけを評価されたら……それはすごく残念なことだと思った。そして、私は今まで、この心の偉大な葛藤を知らずに、他の人を評価してきた。行動しない奴らを見下していた。ほんと、私は最低だったと、改めて気付かされた。行動していないように見えた彼ら彼女らは、必死に考えていたんだ。

 必死に戦っていたんだ、見えない心の中で。


 私は夜になってもウダウダウダウダといろんなことを考えた。しかし、困ったことに、考えは同じところで堂々巡りしてしまう。そう、考えるということは、ある一定のところで止まってしまう。そこから先に進むためには“知る”必要がある。考えをより発展させるためには、いろんなことを一生懸命“学ぶ”必要があるんだ。

 そのことに、私は初めて気が付いた。今までの私は、本当に無知だった。もっともっともっと、いろんなことを知るべきだった。いろんなことを知ってから、行動するべきだった。

 私はカナミの言っていたことを思い出した。私はやっぱり、逃げていたんだ。知ることから、考えることから、逃げていたんだ。自分で勝手に決めつけた最短距離を走って逃げていたんだ。

 もう、逃げない。私は学ぶ、勉強する、一生懸命悩む、そして、本当の最善を見つけだし、最高の結果を、この手に、絶対に、手に入れて見せる!

 雨上がりの星空はキレイだった。決意の夜。私は星に誓った。

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