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薬草園

薬草の範囲と香草の範囲がかぶってて分類が作者の独断になってます。

分類という手法でまとめた学者さんの誕生前なのでその辺はご勘弁ください。

石のアーチをくぐった時点でコリーダが話しかけてきた。

「ここから先は神官様達の領域になります。」

神官の領域?

「建物別で管理が巫女にあるのか、神官にあるのか決まっています。薬室は神官の領域に、薬草園は巫女の領域にありますので薬の持ち出しには神官様の許可がいります。」

意外に大事になりそうで不安が顔にでたのかもしれない。

あわててコリーダが付け足した。

「もちろんアーシア様がご所望になられるものは最優先で渡すように巫女長から連絡がいってますのでご心配はありません。」

「それならいいけど、料理に使うだけだから、貴重なものの時は言ってよ。」

「料理に薬ですか?」

医食同源は中国の考え方か、ハーブはともかくスパイスで味付けするなんて贅沢すぎるのかもしれない。

アーチをくぐるとすぐにアイオス神官長がやってきた。

「アーシア様、こちらです。」

・・・気のせいかな、みんなやけに丁寧な気がする。

ほかにも巫女なんて一杯いるだろうに?

巫女長のお達しのおかげだろうとは思うが、ここまで持ち上げられた感じだと落ち着かないことこの上ない。

アーチから少し石畳の廊下を歩くと地下に降りる階段があった。

「薬室は地下にあります。」

アイオス神官長がガイドのような口調で説明してくれる。


地下室のドアは木製でやっぱり引き戸だった。

中にはいると10畳くらいの大きさの部屋にたくさんの薬の臭いが充満していた。

薬草だけでなく動物性のもの(熊の胆や抹香もあった。)

鉱物性のもの(硫黄や鉛化合物・・・毒じゃないのかな?)

松明の明かりで照らされた各棚には、たくさんの種類があり、それぞれ釉をかけられた壷に革と蝋で密封された上で木製の札をつけられ保管されていた。


「ご要望の薬草ですとこちらの棚になります。」

アイオス神官長はそういいながら正面の壁一面の棚を示した。

棚に近づき札をみながらコリーダに話しかける。

「生があればそっちを優先して使うから、薬草園にある種類の時は教えてもらえるかな?」

「・・・あの・・・」

コリーダはちょっと口ごもったが意を決したように話しかけてきた。

「まことに申し訳ないのですが、私に対しては命令口調でお願いします。他の方々への質問かどうかが判断できません。」

「え・・・?」

ああ、日本人の地がでたか。

言葉使いなんて、気にしてなかった。

「わかった、コリーダ、薬草園にあるものはおしえろ。」

「はい了解しました。」

なんかうれしそうだな?

命令口調のほうがうれしそうってのも不思議な気はするがまあおいておこう。


棚からまず探したのは胡椒だ。

ところが胡椒の種類がたくさんある。

胡椒、長胡椒、根の胡椒、葉の胡椒?

・・・どうも辛いものはみんな胡椒に分類してる感じだ。

考えてみれば、アリストテレスもブリニウスも未来の人だまだ博物学自体ができてない。


「胡椒と長胡椒はどう違う、コリーダ?」

「胡椒はギリシアでは取れず東方から求めたものです。長胡椒はギリシアでも栽培可能な胡椒です。」

ギリシアで栽培可能?

「長胡椒と根の胡椒は薬草園にもあります。」

コリーダの説明が入った。

それなら実物見て判断すればいいか。


コリーダと相談の結果、長胡椒は保存品ももらうことにした。あとは胡椒、カルダモン、キャラウェイ、セージ、タラゴン、フェマグリーク、フェンネルぐらいあればいいだろう。

木札には名前のほかに効能も書いてあるけど・・・ほんとかね?タラゴンなんて蛇や狂犬に噛まれたときの毒消しって書いてあるけど・・・効かないよな、普通に考えて。


それぞれ少しずつ分けてもらい、神官長にお礼をいって、ついでに薬研を借りて部屋を出る。

なんか、神官長が10ドラクマ・・って呟いてた気もするが・・・忘れよう。無問題モーマンタイ


薬桑園に行くと沢山の花々が植えてあり、まるで花壇だった。

たしかに葉っぱだけ使うわけもないし、花が咲かなきゃ実もできない。

そういえば季節を聞き忘れてたが、みた感じ夏っぽいし、後回しだ。


とりあえず薬草を探す。

ギリシア料理の名物ハーブのサラダも実習で学んだので普通の日本人よりは見分けがきく。

というか名札がさしてあって名前は分かるんだけどね。

アニス、長胡椒ヒハツ、根の胡椒ショウガ、チャービル、ディル、フェヌグリーク、ホースラディッシュ、マショラム、適当に育ってる株から摘んでいく。


「さて、これくらいか。」

必要そうなハーブを摘み終えると蔦で編んだバスケットに入れる。

さて、メニューを考えないとな。






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