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コリントスとデルフォイ

分岐して完全書下ろしになりました。

マリアってユダヤ系の名前なんですが・・・本名は別です。芸名みたいなもので考えてます。

イメージはマグダラのマリアのほうです。


「デルフォイとコリントスの関係ですか?」

鸚鵡返しのボクの返答に彼女は少し顔をしかめた。

「まずはコリントスの立ち位置について説明しておきましょう。」

彼女はもう少し詳しく説明する必要を感じたらしい。

コリントスについて手早く説明を始めた。


挿絵(By みてみん)


コリントスは海を挟んで向かい岸にある通商都市だ。

この時代の海路は基本的に陸沿いをすすみ、夜は接岸して地上で火を熾し食事を作り野営する。


遠洋航行できるようになるには船の進路を確定できる方法(羅針盤)が無いと無理だった。

天測だと曇りや嵐でどちらに向かっているかがわからなくなり、漂流すればうん任せの航海になる。

このため、岸から離れないように、天気が悪くなりそうなときは直ぐ陸に逃げ込めるような航路設定になっていた。


そしてコリントスだが地峡と呼ばれるように南北の海の間は5km程度しか離れていない。

そして前述の理由から地中海を航行する、すべての船はコリントスの前を必ず通る。

(北か南かは別になるが)


急ぎの時にペロポネソス半島を周回せずにコリントスで陸揚げして陸送して、北で別の船に積むということもある。


コリントスは古代ギリシアの物流の心臓部分である。


コリントスは商業都市の他にも4大祭りの一つイストミア大祭が行われる聖地でもある、オリンピアードの2年目、4年目に開催されている。ポセイドンにささげられた。

3年目はピューティア大祭がデルフォイで、1年目はオリンピア大祭がオリンピアで行われていたため、毎年どこかで祭りがおこなわれていた。

イストミア大祭は100年ほど前に始まった大祭であり、今では完全にギリシアに溶け込んでいる。


最後に、街の守り神がアフロディテという変わりだねである。

イストミア祭はポセイドンで、大きな神殿はアポロンだが、街の守護神はアフロディテである。

このため小山一つ使ったアフロディテの神殿には聖娼といわれる娼婦兼巫女が1000人程滞在し春を鬻いでいる。


この結果、コリントスはギリシア中を回ってきた船乗りや商人からの、うわさ話や情報の集まる集積所にもなっている。


そこでこの聖娼達の話を集め確認し分析しているのが、目の前のマリア様を代表とするアフロディテ神官団であるそうだ。


集まった情報は、物の値動きから王の寿命にいたるまで、多岐にわたるのだが、それらをコリントスは自分たちの戦争回避に用いている。


近くのテーベやアルゴスは、スパルタとよく戦争しているおかげで、コリントスには目を向けない。

この状況を維持することがコリントスの生存戦略である。


そのために、協力しているのがデルフォイで、テーベやアルゴスがコリントスに目を向けそうになるとスパルタに神託を出し、注意を引き戻させる。あるいは紛争を仕掛けさせる。


コリントスは代わりに情報をデルフォイに流して、神託を敵中させるのに使わせ、権威を高めさせる。


お互いにウィンウィンの関係を築いている。


情報の提示は直接トップ同士が口頭で行うことで、漏洩を防止している。

そこまで言われて・・・ボクに覚えきれるか不安だったが、今の巫女長もピュロスも同席で覚えさせていたということで、奴隷は付属品扱いのようで例外らしい。


どうも早急に奴隷を手配しないといけないようだ。一人で覚えきれる自信はない。


しかし、そういうことだとデルフォイの神託の異常な命中率もわかるというものだ。

戦争の勝ち負けから植民先の相談までなんでもござれ、クロイサス王の夕飯の献立まであててしまう。間違った時もいい抜けがうまいし・・・弁論術はアリストテレスが書いてるけどデルフォイで磨かれたんじゃないかなと思う気もする。


とはいえ要約すると、コリントスは危ない時に神託で助けてもらうためにデルフォイと手を結んでいる。

その情報源はアフロディテ神殿の聖娼、ただし情報の秘匿からトップのみが教えられている。

神託はその情報を元に行われるのでめったに外れない。


「ということで、よろしくお願いしますね。アーシア殿」

「こちらこそよろしくお願いします。」


「では、次回は二月後、正午メセンブリアにコリントスのアポロン神殿で礼拝しますので見つけて声をかけてください。」


次回の繋ぎか・・・病気の時はとかは奴隷に連絡するらしい。ボクの場合はまだいないのでアレティア巫女長宛ということで頼んでおいた。


定時連絡はだいたい二三日かかるらしい・・・すごい量だな。


その間この色っぽい神官と二人きりか理性が保てるかな?

アフロディテの辞書に貞節とか純潔という言葉はないが浮気者という言語はある。


・・・やっぱり頭のいい奴隷を同席させた方がよさそうだ。

いろいろな面で・・・

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