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身支度

この時代もそうですが男色って基本OKなのが古代世界の特徴です。

日本でも戦国、江戸初期は普通でしたし。

キリスト教はユダヤ教の流れでモラルの規定がしっかりしているので、そういう面では常識の確立に役立っているようです。

あまりの衝撃に足に力が入らなかった。

トイレが消えるか、人類が消えるかを選ぶような厳しい人類史があったなんて知りたくなかった。

ソドムとゴモラも人類の淫乱に対する罰だったら良かったのに・・・

衝撃に打ちのめされたボクは巫女長の部屋から、自分の部屋までピュロスの肩を借りながら、よろよろと歩いた。

時間的には午前十一時ニンフは過ぎていたし、正午メセンブリアには神官長との会食が待っている。

その会食のあとにまたアレティア巫女長に呼び出されている・・・今日は忙しいすぎる。


そのままベッドに倒れこんで休んでいたら、ピュロスが肩のボルパイを外すと、そのままキトンの端をつかみ、足の方に向かってグイと引っ張った。


キトンは服とはいえ所詮は筒である、当然、スルーっと蛇の脱皮のように剥かれてしまった。


前述したように下着はつけてない。


「わぉ!」


呆然として動けない状態のボクをしり目に、ピュロスは水の入った桶と布をもってきて体を拭き始めた。


「神官長様との会食の前に汗の匂いを抜いておきます。」


そういわれると、桶の水には水仙のエキスでも入っているのか、花の香りがした。


「そこまで準備する必要があるんだ。」


ただの会食だと思っていただけに緊張してきた。


「身支度はちゃんとした方がいいです。まずないとは思いますが・・・交際を申し込まれるかもしれません。そのことも一応考えておいてください。」


交際って神官長・・・お爺ちゃんだよ・・・まさかピュロスって実は隠れ腐女子、BL好き?


「これだけ、お綺麗なのですから、相当ガードを固めないと、市場だとまわり中から言い寄られて大変なことになりますよ。」


手早く全身の汗を拭い取っていく。・・・いかん、目が真剣だ。


「神官長はプトレモスという十年来の恋人がいますから、言い寄っては来ないとは思いますが・・・」


ええええーーーまじ、BLですか。同性愛は磔で火あぶりなのではないかと思うのですが?


宗教上の理由でとかいってにげ・・・フギャァー!!!まだキリスト教ない・・・


やばい、なんか背筋に悪寒が走った。

俺のお尻が危険かもしれない。


「真の恋愛は男性同士の間のものにあるって、著名な詩人も言ってます。」


・・・いや、やめて、


「その詩人ってだれ?」


「テオスのアナクレオンです。」


9歌唱詩人の一人だよ。サッフォーに並ぶ有名人じゃないか。


「テーベの神聖隊ヒエロス・ロコスは恋人150組で作った300人隊ですがヘレネス最強部隊として有名ですよ。」


・・・やめて、とどめを刺さないで。


なんとなくわかってはいたんだ、あの商人といい、神官といい、やっぱりそっちの人だったんだね。


いや性差別はいけないのはわかってるけど、そっちを社会が優遇してるってどうよ!

モラル感が全く違う・・・この世界って異世界と差がないんじゃ・・・


「例外はスパルタで、スパルタはそんな暇があったら訓練しろ!そういうことは戦士を作るのに女とだけ最小限すればいいという考えが一般的です。」


ビバ、スパルタ!!スパルタ生まれでよかったぁ。

市民権は絶対スパルタでとる。


「でもアーシア様は性別問わずモテていますので、どこに行っても大変そうですね。」


クスリと笑ったピュロスは、最後に香油を頭に振るとマッサージを始めた。


あれ、いつのまにか前後拭かれている。


顔が遅れて真っ赤になる。


全く気にならなかった。

話していた内容がショッキングすぎる所為もあるけど・・・ほとんど拭かれていたという感触がない?


「ピュロスって巫女長にも同じように体拭くの?」


「ええ、いつもそうだけですが、何か?」


「いや上手だなと思って。」


「ありがとうございます。私はもともと室内向き奴隷ですのでこのような奉仕は慣れています。」


「室内向き?」


「あぁ、だいたい想像はつきましたが・・・今までつけていたコリーダは護衛向きです。彼女は護衛や戦闘を主眼に育てられた珍しい奴隷です。本来、女性の貴人向けなのですが、聖域の警護には、ちょうどよいのでアレティア様がお呼びになったのです。」


「それでか、手際が違ったのは。」


「お望みとあらば室内向けの奴隷に変えますが?」


「いや、その必要はない。」


まあ、体を拭くとかそんなことは、やってもらうと気恥ずかしいし、できれば自分でやりたい。

コリーダとはだいぶ打ち解けてきた。

それに新しい娘とうまくいくとも限らないしね。


でも体を拭いてもらったら大分すっきりした、気分を切り替えて食事ができそうだ。

キトンをかぶせてもらいボルパイで止めてもらう。

心なしか朝より小粋に着こなされている。


「昼食に向かう。案内してくれ。」


「わかりました。」


そういうとピュロスが先にたち、廊下を歩きだした。


「聖域の境でコリーダに変わります。コリーダについてタロスの市場に向かってください。本日の昼食はそこで行われます。」


タロスの市場?アテナイ人の店とか迎賓館じゃないんだ。

無言のままついていくとピュロスがその先をつづけた。


「神官長からのリクエストで、できれば夕食に市場の食材で1品作ってほしいとのことでした。」


あーなるほど、完全に料理人扱いされてるなー、まあ色気よりも食い気の方がマシか。

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