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円形劇場

アーシアの改革との分岐が近づいてきています。

魔術がないので整合性が思ったよりシビアです。

デルフォイ編後半は殆ど書き下ろしになりそうな勢いになりました。

もめてる現場のすぐ横を抜けて、売ってるものをと見よう思ったがもめてる当事者を見て、考えが変わった。

プトレキスだ。

たぶんこの世界の父親・・・しかたがないのでもめ事に首を突っ込むことにした。


近づく間に二人の会話が聞こえてくる。


「だから、正使の具合が悪いんだ。帰国後にお礼はする。頼むから薬を売ってくれ。」


「そうは言われても・・・6ドラクマですよ。まあ安くはないですが、一国の正使なら払えない額ではないでしょう?」


胡散臭そうな目でプトレキスを見ている商人。


「鉄貨ならあるんだが?」


「使えるわけないでしょう。」


鉄貨はスパルタのみで流通する貨幣。

最小単位が1オボロスで360gの鉄の棒、6オボロスで1ドラクマになる。

さっき言っていた6ドラクマだと約12kgの鉄貨になる。


当然持ち運びに難があるので商人は受け取らない。


でも旅費に予備はあるだろうとは思うのだが?


「・・・銀貨は息子を神殿に預けるのに寄付してしまったんだ。」


ボクが原因で困ってるのか!手を貸さないわけにはいかないな。


「父さん、どうしました。」にこやかに話かける。


「ビオス!もとに戻ったのか。」


満面の笑みで答えるプトレキス。


「残念ですが、アーシアのままです。とりあえず・・・」


商人のほうを向くとサービススマイルを作り、話しかける。


「神殿で巫女をしているアーシアです。父が困っているようですので、とりあえず鉄貨で売っていただけませんか。あとで・・・」


「わかりました。そういうことならどうぞ。」


「銀貨に、え?」


交渉の余地なく売ってくれることになった・・・


あとで銀貨を巫女長に都合してもらうつもりだったんだけど?



「なんか、売ってもらえました?父さん。」


「・・・あいかわらず、すごいな、ビオス。いやアーシアか。」


あいかわらず?ちょっと気になるフレーズだが?


「まあいい、正使が待っている。急いで薬を届けなくてはならない。元に戻ったらスパルタに戻れ、待っているぞビオス。」


プトレオスが走り去ると、あとには12kgの鉄棒を持たされた商人が立っていた。



頬はほんのり赤く染まっているし、あきらかにボクをうっとりと見ている。


あ!巫女といったから、美少女と勘違いしたか。


まあ神殿内だし、身の危険はないだろう。


「商人さま、お名前は?」

「パウロスです!」

「ではパウロス様、父の苦境を助けていただいてありがとうございます。感謝いたします。」

「いえいえ、そんな、もったいない。」

「では。」


そういって、その場を立ち去る。

 

商人なのに色呆けたのが良くない。うん、悪女の論理だね。

後ろからトコトコとコリーダがついてきた。


「アーシア様、恰好良かったです。」

コリーダが何かつぶやいているが、好感度稼いだらしい。


「コリーダ、とりあえず円形劇場へ、神託を受けた場所を見ておきたい。」

「わかりました。では来た道を引き返します。」

そういうと今まで降りてきた石段を登りはじめた。

それに、ついていく。


石段を登り始めると青空を背景にしたクニドスの館が正面に見える。さすがに一番高い場所に作ってあるだけのことはある。

左手は石柱や彫刻の刻まれた壁面をもつアポロ神殿。重厚感がハンパない。



今、ボクは古代ギリシャにいる・・・なんかこのことを痛感してしまった。



神殿を過ぎたところで左に曲がり100m程で円形劇場につく。


「アーシア様がご神託を受けたのはステージですので一番下になります。」


巨大なすり鉢状の石造りの劇場、圧迫感ものすごい。人がいないのが、かえって怖い。


「こちらです。」


「・・・なにこれ」


そういいたくなるだろう。

観客席とは反対側の演舞台の近くに直径60cmぐらいの黄金の鏡が石壁にはめ込まれ鎮座していた。

壁の部分は彫刻してあるし、すごく高そうなのはいいけど・・・どうやって作ったこの鏡面。


「御神鏡です。」

「どうやって作ったの?」

「申し訳ございません。誰も知りません。」


え?


コリーダの説明では、ここは最初ガイア次いでポセイドンの神殿だったが、この鏡が地面の中から出てきて、アポロンの聖地であることが分かり、それにともない、円形劇場・運動場・神殿が整備されたとのこと。


どうもギリシア人が作ったものではないらしい。


よくよく見れば全体的にわずかな歪みを感じるが、水鏡でなく鏡面で風景を映している平滑性はかなり手間をかけていると思う。


最初の時も全身が見えていたんだし、これくらいの大きさはあったんだろうな。


あの時はそれ以外でパニックになってたから細部までは気づかなかった。


円形劇場のベンチや演劇台を調べるが、特に気になるものも見つからず時間だけが過ぎた。


「聖域に戻る。コリーダ」


「はい、戻りましたら、水浴びの準備をしますので、汗を流してください。」


こういうところは清潔好きなのに、なんでトイレがないか不思議だ?






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