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アポロ神殿

アポロ神殿の三脚台についてですが、実際にガスに炭化水素系ガス(石油ガス)が含まれていたとする説もあります。

となると、ヘラクレスとアポロの三脚台の引っ張り合いって史上初の石油利権の争い?になるのかな。

あとこの時代の商人は、通常は商品の注文を受けて買いに行く行商人が多かったと思われます。

その合間に少量の自分の荷を売買する形だろうと推測してます。

スキップしそうなほど上機嫌なコリーダに連れられてクニドスの館を出る。


「コリーダ、何かいいことあったの?」

「ありましたけど、まだいわないように言われています。」

「ふーん?」

奴隷のコリーダに言わないように命令した・・・所有者の命令なんだろうけど・・・あれ誰なんだろう?


巫女長だとは思うんだけど確認はしていなかったな。


挿絵(By みてみん)


聖域と神殿の境でコリーダは立ち止まると、こちらを向き腰を折りながら、上目遣いで尋ねてきた。


「アーシア様、どちらから参ります?まっすぐ進んで、アカイア人の宝物庫の横の細い階段を上ると円形劇場に行けます。」


そういいながら石造りの建物や階段を指さす。


「ここから左に曲がって路地に沿って進めば塀の向こうのアポロ神殿に行けます。」


この時点で異臭が風に紛れて鼻を刺した。


ちょっと刺すような、硫黄臭、温泉の臭いだ?


「じゃあ、アポロ神殿から行こうか。」


「かしこまりました。こちらです」

そういうと再びコリーダが先導する。


左に曲がってすぐに右に曲がる。


塀がL字に突き出していたりするが、もう右側はアポロ神殿との境の塀だ。

この辺りは糞尿の臭いのほうが強い。すぐ鼻が慣れたが、ちょっともの悲しい。


左側には壁画や蜂らしい彫像が並んでいる。

「これらはテッサリア寄贈の記念碑です。」

「テッサリア?」

「ここからまだ北のほうですね。ラリッサが中心的なポリスになります。」

「その奥にはネオプトレムスの聖廟があるのですが、神殿はここから道沿いに右に行きます。」


右手の壁が迫ってきて道幅が狭くなったところを抜けた、右手の奥にイオニア式の円柱が見えるあれが神殿だろう。


「左手の奥にタラスの市場があります。右手の柱がアポロ神殿になります。


やはりあれで間違いはないようだ。


神殿に近づくと思ったより大きい。奥行き60m×幅20mの長方形で高さも10mを超えている。


「まず三脚台からご案内します。」


コリーダが連れて行ってくれたのは、天井から御簾がおりている場所だった。


シルクの御簾をめくると、その奥には巫女が神託を受けるために座る椅子(円盤に三つの脚がついた形)が置いてある。


その脚元の石板は割れて、黒いものが染み出している。臭いの原因はこれっぽいが?


「ここはアポロンの生まれた黄泉の世界と繋がっているといわれます。今日は神気が少ないので平気ですが、巫女様方が予言を受ける際には白い霧となって噴き出すこともあります。」


・・・説明だけ聞くと温泉みたいな感じだが・・・


温泉そのものは他の場所でも見つかってるし珍しいほどではないだろう。

なにか違う点は・・・あの黒いもんか。


そのまま三脚台に近づいていく。コリーダは御簾の向こうで見ている。巫女以外はダメとかあるんだろう。

三脚台の下の割れ目に顔を近づけ、臭いを確認する。

・・・うっすらとゴムとシンナーを足したような臭い。わずかに硫黄の臭いもする。

んー予想外の臭い。


黒い物質を木の枝を拾ってつついてみる。

ビローンという感じで枝にくっついてきた。


これって石油ピッチだ。ということは、この下に油田?


・・・


・・・やなことを想像してしまった。


油田から出てくるガスを吸い込んで喉の粘膜や声帯、肺が焼けたら、声って変わるかな?

たぶん腫れて大きく固くなるから低音になるよね。

神の声になるってそういうこと?

そりゃ死ぬわ。

巫女達がかわいそう過ぎる。


そのまま三脚台からはなれコリーダに確認する。


「コリーダは、そこから近くに来てはいけないのか?」


「はい、これより先は巫女様方以外は近寄ってもいけないと決まっています。」

予想通りの答えが返ってきた。


巫女たちの運命に気が重くなる。

だが助ける方法も思いつかない。

次の場所に行こう。


すぐ横には見事なアポロンの像があった.

雪花大理石アラバスターを削り出した一品だ。

いまにも動き出しそうな躍動感に溢れている。


コリーダが呟くようにいった。

「やっぱり、アーシア様、そっくりですね。」

え?・・・そうなの・・・かな?

もうすこし大人になれば、そうかもしれない。

贔屓目が過ぎる気もするが?


「こちらがヘスティアの竈です。」

コリーダは次の紹介に移った。


「今まで薪を入れたことがないのに、火が絶えたことがありません。デルフォイの秘宝です。」


うん、今なら信じられる。石油か、天然ガスでも噴き出してるんだよね。

うまく調整した人がいるのはすごいと思うでもこれと三脚台の神気を関連付けた人はいないんだろうか?

いないんだろうな・・・

案外関連づけても神気だからの一言で終わる気もするし・・・



そのあと、オンファロス、ディオニソスの墓、ポセイドンの祭壇と紹介され、神殿の紹介は一回り終了となった。


結構精神的にヘビーな内容でした。


神殿をでるとコリーダから


「下町と円形劇場、どちらを先に見ますか?」


とふられたので足元の影を見たが時間がわからない。このあたり修練が必要らしい。


俺の行動を見たコリーダが午前九時ムジカから午前十時ジムナジアの中間と教えてくれた。

まだお昼には時間がありそうなので、下町を見に行くことにした。


参道を下る形で下町に向かった。


「あそこにアテナイ人の店がありますよ。」


指さした方向には石造りの柱の間で、フリマのように商品を売っている一角がみえた。

商品を並べて売る店というのはこの時代では少ない。

あるのは大都市といってもいい。


その中の一間で二人の男性が何かもめているらしい。


あんまりかかわりたくないが、よくあることらしく周りの人はスルーしてるんで大丈夫だろう。


何が売っているのか、興味があったので覗いてみることにした。

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