紀元前のギリシアにタイムスリップしたので元祖キリストを名乗ってみた（旧題 東征）

爽やかな朝

この時代、スパルタ女性に裸は恥ずかしいという概念はありません。むしろ立派に成長させた体を男に見せつけるのは重要な権利です。

この辺はあとで本編で触れますが。

それとなぜかギリシアのみトイレ文化が消えています。

ミケーネもローマもトイレはあるのに、謎です？

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朝日が瞼を突き抜けて瞳に突き刺さった。

「・・・おはよう・・」

いつもの習慣で日本語であいさつを呟く。

まだ微妙に眠い。いったい何時間寝れたんだろう？

困ったことに、一晩寝たら、どっちが本当の自分かわからなくなっていた。

「異世界の知識を持つ美少年」・・・他者の認識

「２０世紀生まれの普通面男子の意識」・・・自意識

どっちがかっこいいといったら誰もが前者と認めるだろう。

問題はこの状態が安定するかだが・・・まさに神のみぞ知る、である。

「古代ギリシャの知識を持つ普通面男子」よりはかなりいい条件だと思う。

そんな能天気な考えで自分を鼓舞していると、

「アーシア様、起きられましたか？」

コリーダが声をかけてきた。

「ああ、起きる。」

そういいいながら目を開くと、服を脱ぎかけのコリーダが目に入ってきた。

「おうっぷ！」

「どうなされました？」

変な声に反応したのか。コリーダが心配そうに覗き込んできた。

「にゃ・なんでもにゃい。」

・・・噛んだ。

「それならばよろしいのですが。」

そういうとコリーダは肩の止めピンをはずす作業に戻る。

ここの服はキトンと呼ばれる亜麻製の服だ。

服というより筒なのだが、布を縫い合わせ筒にして、上端を表に折り返して襟みたいにして 、スポンとかぶり肩で、女は両方、男は片方をポルパイという安全ピンで止める。

最後に腰の部分に革のベルトか帯をして、襞を美しく作る、以上である。

で何がいいたいかというと、俺は下着を着けていない。

・・・あとは言わなくてもいいと思う。

彼女がピンをはずすと、ストンとキトンが床に落ちた。

思わず目が釘付けになった。

・・・スポーツブラに補正ショーツだとーーー

胸帯（アポディスム）と腰帯（ゾーナ）というらしい、やるな古代ギリシャ！！

ちょっとほっとしたが・・・

「アーシア様はミントとスミレどっちが好きですか？」

下着姿のままコリーダが聞いてきた。

「その二つならミントだけど？」

「かしこまりました。」

そういうとコリーダは部屋を出て行った。

ちょっとボーとしてると、すぐにコリーダは水の張った桶と手拭いらしき布を持って帰ってきた。

桶の中からはミントの香りがする。

「体を拭きますので服(キトン）を脱いでください。」

コリーダの言葉は当たり前のことを告げている声だった。

「え？」

わざとわからない振りをする。

「朝のお清めですので服を脱いでください。」

コリーダの声が説明口調になった。

「・・・自分でやれるよ？」

彼女に目で拒否される。

「巫女の務めですので受けてください。」

「はい。」

潔く服を脱ぐ、といってもピン一本はずすだけなんだが。

ストンとキトンが足元に落ちる。

コリーダは全裸の僕を部屋の外に引っ張り出し、石畳の上で全身を拭かれる。

人によってはご褒美かも知れないけど只の羞恥プレーにしか感じない。

聖域は漂う風もスミレやミントの香りを纏っているようだ。

ふと視線を感じたので綴じていた眼を開いて、周りを見渡すと・・・同じように体を拭かれている白い裸体が十数名、彫像のように並んでいる。・・・さすが・・・女の園・・・

皆、こっちをじろじろ見てる、なんかアウェー感がハンパない・・・

日本だったら悲鳴が上がったりしそうな雰囲気なんだけど・・・彼女らの方が堂々として、思わず恥ずかしくてこっちが目線を逸らして手で隠してしまいました。

前は自分で拭いて背中だけ頼んだ。

羞恥プレーのせいか、ふと尿意が

「コリーダ、トイレはどこ？」

その言葉をきいたコリーダの不思議そうな顔が・・・

「toiletaってなんですか？トロイアの関係物でしょうか？」

・・・　まさか・・・

なんとなく、いやーな予感がする。

「おしっこがしたい。どこですればいい？」

「屋内ですか？」

「そう。」

「こっちです。」

そういって手を引いて元の部屋に戻る。

ちょっとだけ、ほっとした。でもトイレついてたっけ？

そうするとコリーダは木箱を開けると中から壷のようなものを取り出した。

「女性用オマルですが、おいやでしたら外でお願いします。」

オマルでしたか。

「ウンチはどうするの？」

もうストレートな質問だが、もはや見栄を張っている余裕がない。

「普通は外でします。」

完璧だ・・・トイレがない・・・水洗どころか汲み取りタイプもない。・・・予想外すぎる。

「注意点としては、聖域内では地面に穴を掘ってその中にお願いします。終わったら土をかぶせてください。」

コリーダの説明が無慈悲に響く。

「ちょっと待て、聖域内では？」

「聖域内はスパルタ式になっていますので、痕跡が残らないようにしてください。他の場所はアテナイと同じで、道の中央を避ければ大丈夫です。」

アテナイと同じって出しっぱなし？

そのまま？

あのアテナイってそんなとこ？

「道端にたまってくれば、街角に汚水桶がありますので、住民がそこに捨てます。」

・・・

下着姿のコリーダとか裸の巫女とかいろいろあったけど、全部、ぶっ飛ばされた説明ありがとうございます。

民主主義でリッチなアテナイと習ったけど、埋めるだけスパルタのほうがマシだったのか。

いろいろ考えさせられるが・・・うん・・・まずトイレから作ろう。