カラオケの思い出
トイレにしばらくしゃがみこみ固まってしまった。清水千夏も篠宮英梨もあの時から変わってしまった。私が一番変だと思っていたのに今じゃ自分が普通に思える。
トイレの壁に寄りかかり、いい解決法を頭の中で考え続けていた。
清水千夏は、正直に言えば納得してくれるだろう。
篠宮英梨は、強敵だ。あの女王をどうすればいいか頭の中でずっと考えても見つからない。
私の変なところを見せればいいんじゃないか、そうすれば嫌われるかもしれない。
「無理あるなあ。」トイレの中でしゃがみ過ぎたことに気づき足が痺れていた。
手に持っていた携帯がぶるぶると振動していた。清水千夏の携帯にメールが届いた。相手は篠宮英梨だった。悪夢だ。
おそるおそるメールを開くと、私自身の事が書かれていた。清水千夏と私を引き離したいとのことだった。
その前に言いたい。
「私は、清水千夏と付き合ってない!」つい大声で叫んでしまった。
「瑞紀……」小さな声で私を呼ぶ声がした。清水千夏がドアの前にいるのがわかった。心の中で私は、もう駄目だと思いドアを開けた。
「瑞紀大丈夫?」
「千夏聞こえてたよね……」清水千夏は頷き、私が混乱しているのに気がついたようだった。
「瑞紀が混乱しているのわかる。私は瑞紀が好きになってた。友達としてではなく恋愛になってたの。自分でも駄目だって思ってた。そんな気持ちが篠宮英梨にばれて、弱み握られたみたい。篠宮英梨も瑞紀を異性としてみてるのわかってたから喧嘩というか一方的に攻撃された感じで今、瑞紀が知って瑞紀が困り果ててる。」清水千夏の中身が性格がわかった。私は、自分の本当の事を言えばいいと清水千夏の言葉で考えていたことを辞めた。
「私は、高校卒業してから仕事しかなくなった。友達もいなくて、喫茶店や公園とかで人を色に例えて楽しんでる変人なんだよ。周りから見れば怖い女だし、実際千夏に再会して嬉しかった。また友達が出来たみたいでだから、好きとか言われて混乱して別に駄目とかではなくまたあの時みたいに友達に親友になれないかな。」
「瑞紀が良いなら仲良くして欲しい。親友ならもっと嬉しいよ。」
「恋愛とか駄目とかではないけど、私は好きとかわからないから普通に仲良くしたいかな……」清水千夏は笑った。笑顔で笑った。
「瑞紀拒否ってるね。ふられちゃった。」
「嫌!ちがくて、恋愛とかわからないんだよ」清水千夏の笑い声がトイレで響く。こんなに笑うんだと初めて清水千夏の顔を知った。
「大丈夫大丈夫!抱きつく以上はいないから!」
「え。ななんて……」抱きつくのはするのかと恥ずかしくなり、ほっぺたが熱くなった。
「瑞紀って恥ずかしがり屋なんだね!」清水千夏の元気な声に懐かしさを感じた。またあの時の二人みたいにふざけあってるみたいで嬉しかった。
「この絡み懐かしい。」
「そうだね。瑞紀ちゃん!」清水千夏は、うまく解決できたというよりも清水千夏が私の事を考えてくれた。恋愛は、ちょっと難しいが仲良くなれて本当に嬉しかった。
「瑞紀、私とは親友だけど篠宮英梨とはどうするの?」私は、その名前の事を忘れていた。清水千夏、あなたはたぶん私の心の中が見えるのようにおもえる。
「篠宮英梨は、いい解決法を見つけないとなあ……」
「え?」
「独り言、独り言。」清水千夏と付き合ったふりをしてあきらめてもらおうかと考えたがその考えは友達として最低だなと思い汚れた気持ちを手を洗いながら消し去ることにした。
考えている事に疲れが貯まったせいか、カラオケも歌えず清水千夏の歌を聞きながら中学の思い出がよみがえった。
篠宮英梨とカラオケに来たときの思い出が頭の中に入ってきた。
篠宮英梨の家庭状況を思い出し、篠宮英梨がなんで私にくっついてくるかがやっとわかった。
「私があんなこと言ったからか。」
「瑞紀どうした?」何もかも思い出し清水千夏の言葉に反応出来なくなっていた。