侵入者と親友
清水千夏の横に並ぶと同い年には見えない大人なオーラが漂う。
色でいうと清水千夏は、白色に少し紫色の薄いような綺麗な色。花で例えるなら、雨にうたれても綺麗な紫陽花だ。私のくすんだ色まで綺麗にしてくれるように思えた。あんな過去があったとはいえ寂しかった自分は、清水千夏になついている。
「瑞紀ちゃん寒くない?」清水千夏に名前を呼ばれると恥ずかしくなった。たしかに寒いが自分より清水千夏のほうが寒いのではないかと思う。
コートは着ていても、短くてタイツだけなのはさすがに私は無理だ。上は、ダウンに中にはヒートテック、下はタイツの上からジーパンを履いてる私はまだ暖かい。
「清水さんのほうが寒いでしょ…?自分は、ヒートテック着てるしまだ平気かな。」昔のように、千夏ちゃんとは呼べなかった。清水千夏に嫌われるのではないかと不安になった。
冷たい柔らかなものが頬に触れた。
「瑞紀ちゃん。千夏って呼んで。」頬に触れたのは、清水千夏の手だった。回りなど見えなかった。清水千夏の顔がとても可愛らしく真っ直ぐ私を見ていたからだ。何度清水千夏を嫌いにならなきゃと思ったか、何度も何度も清水千夏に言われた言葉で泣いたかわからない。だが、清水千夏が一番仲良くなりたいと思える存在だった。
「ち…なつ」真っ直ぐな瞳がにこりと微笑んだ。清水千夏の笑顔に何故か同性なのに可愛いいと強く思った。
「瑞紀ちゃん。私瑞紀ちゃんとずっと一緒にいたかった。なんであんな脅されたぐらいで瑞紀ちゃんにひどいこと言ったんだろう。本当にごめんなさい。」深々と頭を下げる清水千夏。私はもう昔のことはどうでも良くなっていた。
清水千夏の頭を撫でてしまった。
「瑞紀ちゃん。」清水千夏は、わかってしまったのだろうか私の心をよんだのかもしれない。清水千夏に抱きつかれた。
「ねぇ、瑞紀ちゃん。私は、瑞紀ちゃんが好き。友達だけどそれ以上の存在になりたい。変な意味じゃなく一緒にいたい。」私が言うべき言葉を清水千夏は先に言ってしまった。
「瑞紀でいい。今度離れたら、千夏って呼ばない。」清水千夏の手を掴みぎゅっと握りしめた。
「瑞紀。あのときもぎゅっと手を握りしめてくれたよね。離れないずっと一緒。」すごく恥ずかしくなったが周りからは、どう見えても構わない。私と清水千夏だけの空間いつの間にかが出来ていた。
二人の空間に、どす黒いピンク色が見えた。私は、清水千夏の後ろから歩いてくる一人の女性に驚き足が震えた。
「あ、瑞紀ちゃん‼やっぱり瑞紀ちゃん‼会いたかったょ。」大声で清水千夏の後ろから近寄ってきた侵入者。清水千夏の手が震え、顔色が真っ青になっていた。
「あれ、清水さんだったの。なんで瑞紀ちゃんと一緒にいるの。」
私と清水千夏は、この侵入者によって過去に戻ることになる。
私の生活ががらりと変わっていくのだった。