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ずれ  作者: 詠孤
2/9

色鉛筆

しばらく、外の席に座り人間観察をしていた私は右の方から不思議な色が目に入った。


「新カラー‼‼」私は、もっていた携帯を強く握りしめて叫んでいた。周りからの視線が痛かった。


「あの人は、ハチミツのように透き通った黄色に中には黒があるような感じがする。特殊だあ。」ぶつぶつ言いながらお気に入りのバッグから筆箱とは言えない大きな筆箱をだした。中には、たくさんの色鉛筆が入っている。長さもバラバラですごくごちゃごちゃだった。分厚いメモ張に色鉛筆でカラーを作る。新しい色が見つかるとこうして作るのだった。


「服装も面白い。お金持ちで外では大胆にお金を使うが旦那や子供にはケチとみた!」とても失礼なことを言っている自分にばちがあたるのではないかといつも思う。

だから、社会人になって友達がいなくなってしまったようにも思う。寂しいやつだなと自分で思ってしまうのだ。


「今日は、満足かな。今度はどこで観察しようか。」新しい色が増えた事に満足する私。本当に寂しいやつにしか思えない。

人と接することが少なくなったことで変な癖がついた。癖というのか、すいませんと謝るようになっていた。店員さんに袋詰めしてもらったり、自分が落としてしまったものを拾ってもらったりすると頭を深くさげすいませんと謝っているのだ。


仕事場でも、最初は話しかけてくれた人もいたが今は挨拶ぐらいになってしまった。本当にコミュニケーションが取れなくなっていた。

街中で友達と遊んでいたり、仲良くお茶したりするのを見ると羨ましくて寂しくなっている。

今の自分がとても嫌いな時もあった。友達が欲しいそれが私の本心だ。


冷えた体がまた寂しさを感じさせ、飲んでいたアイスティーも飲めずにいた。メモ張を見ながら、新しい色を必死に塗り寂しさを忘れようとした。


風が吹かなくなったのか、左側に壁ではなく人が立っていた。 「あ!やっぱり!あなた、瑞紀みずきちゃんだよね!」私の名前が聞こえた。驚いて、体が石のように固くなる。私にとって最高の色が見つかったというような出会いになっていた。

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