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FILE42 外、行きませんか

 春の風になったある日。桜は妙に美しかった。


「愛歌!!あの!!今度下界そと行きませんか!!」


「なんで敬語なの。」


 飛夜理の声に割と冷静に突っ込む愛歌に皆は「いやそこじゃないだろ」と揃って突っ込んだ。

 あわわあわわと飛夜理は表情を1人コロコロ変えていく。


「も、もう!!そんなことより!!」


「女子かお前」


 なんだか今日は妙に愛歌が切れている。よくわからないこともあるもんだ、と舞菜は呟いた。

 大人しく話を聞いてやれ、という夢の言葉に愛歌は何となく耳を傾ける事にした。


「希月が下界のスーパーにたまたま行った日、くじ引きで下界の遊園地のチケット当ててきたんだよ。それで、愛歌が良ければ一緒に行かないかって話で……どう?」


「いいけど?いつがいい?」


 愛歌のサラッとした返答に「あっさりしてんなぁ」と当事者である飛夜理までもが声にしてしまった。


「おいおい、愛歌。お前もすっかり警戒心なくしちまったなぁ?」


 いうが愛歌に声をかける。妙にニヤニヤと笑っている。「まぁ、飛夜理が遠回しなのか?」と憂が呟くと悠志にハリセンで殴られた。


「あ、悠志が憂に手を出すなんて珍しい。」


 瑠衣がくっくっくっと笑いながら言う。すっかり憂の存在にも慣れたのか、皆の空気に馴染んでいた。


「何はともあれ、来週、愛歌連れて買い物行くかぁ。ね、愛歌。」


「は?」


 麗華の言葉に愛歌は少し面倒そうに、でもなんだか楽しそうに「仕方ないから行ったげる」とぼやいた。


「じゃあ、再来週……。いいかな?」


 飛夜理のおどおどした口調に愛歌は笑顔で「うん」と答えた。珍しい、愛歌がうん、と返事をするなんて…。と皆が思ったが、それを言ってしまえば多分全員刀で斬られるに違いない。


「さて、まぁ、皆さん授業ですよ。」


 憂は気が付けば優に戻っていた。その言葉に「はぁい」と皆は席に戻っていった。

 村の端で希は胸元にある、長い髪の触覚センサーをふわふわさせて、


「あら、春が来たわね♡」


と呟く。誰にも届かなかったその言葉は的中した。

 さて、所変わって学園の昼休み。舞菜がケタケタと笑いながら、麗華と話をしている。


「なんでああも2人は鈍い………いえ。愛歌が鈍いのかしら……。」


「ははは、飛夜理が遠回しなんじゃないの~?あははは。」


 これが文芸作品なら、とてもじゃないが面倒くさい話である。

 悠志は毎回毎回というくらい、飛夜理の話を聞いてやることが日課に近い。


「んで………?飛夜理はどーしたいわけ……?」


「どーもこーもないけでなぁ……」


「噛んだね。」


 そんなことより!と飛夜理は言ったがすぐしょげた。


「もーなんか色々悩み出すと愛歌がなに考えてるかわかんなくなってくというか……。」


「そんなのいつもの話だよ」


「……………俺、悠志のそゆとこ好きだわ」


 さて、そんな中、残酷に時が進む。


「久々に愛歌連れてきたな。」


 瑠衣のセリフに、舞菜は「しょっちゅう連れ出してるけど?」と首をかしげた。


「あんたわね。 」


 瑠衣のため息に、舞菜は首をかしげた。

 今日は皆で買い物をする約束の日である。

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