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Re:FILE1-1 三つ編みとポニーテール

 二人は歩く。『兄弟』に懺悔するために。誰に言われたわけでもなく、ただ彼女たちには、謝らないといけない事があるから。


 ある二月の初めの寒くなる空下村。いつものように学園の二学年の教室には全員がいた。


「ねぇ、瑠衣瑠亜。妙なこと聞いて悪いんだけど、二人はどうしてこの村に……?」


 愛歌が珍しく自分から問いかけた。その問いかけに教室内の空気が凍りつく。

 この『問い』は人によっては地雷だったりする。

 が、何時か打ち明け無ければならない。その時が早かっただけだ。


「……仕方ないよね。言わないとね。」


 瑠衣は苦笑いしていた。

 それを見て、飛夜理は「愛歌……」と何か言いたげに呟いた。


死姫(わたし)は知りたくない事も知らなきゃならない日が来るの。」


 声に気づいた愛歌はそうだけ言葉を返した。


「ちょっと、長くなるよ。」


「全然構わないわ」


「俺たちは……毎日は変わらず生きてるのが普通だと思っていた。……あの日までは。」


 瑠亜も瑠衣も険しい顔をして話し始めた。

 下界(そと)でも村がある地域よりずーっと遠くに離れた場所。いわゆる『都会』で彼女らは育った。

 もっと深くいえば今は瑠衣、瑠亜と『双子』であるが昔、都会にいた頃は二人の間にもう一人女の子がいた。

 つまり、『三つ子』だったのだ。

 瑠衣、真ん中の女の子、瑠亜。その三つ子だった。


「姉さん姉さん。どう?似合う?」


 部屋にあるドレッサーの鏡を見て自分の出来上がった姿を見て嬉しそうに目を輝かす少女と今とは全く違う髪型……三つ編みはなく長いそのままの髪の瑠衣がいた。


「うん。よく似合ってるよ。瑠兎。」


 瑠衣が話していた左に三つ編みを結い後ろの髪は束ねている少女こそ、三つ子の1人、瑠兎(るう)である。

 これは、小学校5年生の終わりになった頃……つまり、連続事件との同時期であった。


瑠兎姉(るうねえ)ー!瑠衣姉(るいねえ)ー!学校遅れるぞー!」


 小学生の割に高級そうな制服を身にまとい鞄を背負った首元までありそうな長い髪の瑠亜が待っていた。


「はいはーい!今行くよー!」


「って、遅刻じゃん!!やば!」


 3人は慌ただしく家を後にした。

 彼らが通うのは普通の区立小学校ではなく私立小学校。そして、学校外で噂される校内の『いじめ』の実態や『教育の悪さ』が実に有名であった。

 そんないじめの実態は瑠衣や瑠亜も聞いたことがあった。だが、その『実態』は自分たちの身近にあるものもあるのだ。


 とある春の終わりの昼休み。

 瑠衣が手を洗いにトイレへ寄った時の話である。

 手洗い場に入ると突然、個室の並ぶ方から高い声の叫び声がした。


「……?」


 そっと入口から見える範囲を見渡す。個室のドアは人がいないからか全て空いていた。が、そのドアの先に見える限り二人はいた。


「え……っ?」


 見えた二人は同学年でも有名な、言わばいじめリーダーであった。

 関わるとめんどくさそうだと瑠衣は思ってその叫び声は確認せず去っていった。


 放課後。廊下を歩いているとクラスの違う瑠兎と出会い瑠衣が声をかけた。


「瑠兎ー!帰ろー!」


 後ろから声をかけたからか瑠兎はびくりと肩を震わせた。


「あ………姉さん。うん。帰ろ」


「そうそう、瑠兎今日私ねー……」


 瑠兎は振り向いた時、少し怖い顔をしていたなと思いながらも、瑠衣は他愛もない、普通に今日あった話をしていた。


「ただいまー!」


「おかえり〜、手洗ってきなさいよ」


 家に着くと母親が笑顔で出迎えてくれた。

 そして、後ろを着いて歩いていた瑠兎に気づくと母は「ねぇ、瑠兎ちょっと……いいかしら?」と苦笑いながら瑠兎を呼んだ。


「……はい。……姉さんは先に行ってて」


「うん?」


 瑠兎は三兄弟の中でもなかなかの優等生で学年トップであった。またそれの表彰とかの事だろうと瑠衣は考え手洗い場へと向かった。

 それからしばらく、母が瑠兎を呼び止め二人で話をすることが増えていった。その時々に瑠衣は瑠衣に話を聞こうとするが大抵ははぐらかされた。

 学年が上がった秋の終わりの頃の話だ。瑠亜は本当に小さな事だが気にかかることが多々続いた日があった。

 その日も三人は一緒に登校して別々のクラスの教室へ入ってた。

 妙な話になったのは、放課後である。


 普通に下校するために瑠兎の教室の前を通ると教室内で一人ぽつんと日誌を書いている瑠兎がいた。


「あれ?瑠兎姉、日直だったっけ?」


 朝一緒に登校したのだ。違うはずと思いながら瑠兎に声をかけた。が、瑠兎は苦笑いをしながら、「いや、色々あってね」と答えた。

 すぐ帰るからと付け足して瑠兎は瑠亜に帰るよう促した。


「じゃあ、先帰るよ……」


「うん!また後で」


 瑠亜は少し不思議な顔をして帰っていった。

 その時、瑠兎は「ごめん、瑠亜」と静かに口を動かした。

 それからというもの、瑠兎はまた瑠衣達と帰るようになり瑠亜はそんなに気にはしていなかった。

 だが、そんな平和な日々は長く続きはしなかった。

 それは、三人がまた一緒に帰り始めた数日、約2週間後の話だった。

 その日、瑠兎は友達と遊ぶからと言って、放課後家にはいなかった。家には瑠衣、瑠亜、両親しかいない。

 静かな家庭に電話の電子音が響く。


「……はい、若尾です」


 どうやら、電話は一番傍にいた父が取ったらしい。普通に煙草を蒸しながら電話に「はい」と受け答えしていた。

 反応から見てセールスか何かかと思っている時、父が煙草を蒸すのを辞め「何かの間違いでは……?」と父が電話の相手に話している。


「はい……はい……それではそちらに向かいます……」


 と言い、父は突然電話を切り、「出掛けるぞ」とだけ三人に伝えた。

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