FILE33 冬の始まり、一年の終わり
もうすぐ本格的な冬を迎える。つまり、この賑やかな一年も終わろうとしていた。
「あーあ。一年長かったなぁ」
「そう………だね。」
しみじみとした飛夜理と悠志の会話が今に響いた。
今日は大晦日ということで、きずなの神社に二人は掃除に来ていた。
「でもまァ。一年、楽しかったよなぁ。」
にしし、と笑う飛夜理に悠志は「舞菜みたい……」と呟いた。
「うげっ。舞菜と一緒にされたーちょっとショック。」
飛夜理は苦笑いをした。
「飛夜理ー。これ、持ってって。」
愛歌がお重の用意が終えたと付け足し、飛夜理を呼んだ。
悠志はその光景を見て少し微笑んだ。息が合う二人だね、と口元を動かした。
「………待って。二人とも。元旦ってことは、何か忘れてない……?」
悠志が進み出す二人を呼び止めた。すると振り返ると、「あっ」と声を零した。
「安心して~。舞菜ねぇ、用意してたんだよ~♪」
ぴょっこりと現れた舞菜がニコニコ笑ってそういった。
事前に用意してた割に忘れるのがこの二人だが、舞菜のセリフに驚いてもいた。
「まぁ、いいか。あとは舞菜が用意したみたいだし………。」
飛夜理がいうと愛歌はそうね………とだけ返した。そんな話をしながら歩いていると瑠衣の「出来た!!」という、悲鳴に近い、喜びの声が聞こえた。
「何ができ……………うおっ!?」
声と同時に扉が開き、瑠衣が「やべっ」と小さく声を漏らしたと思うとケーキが飛夜理の顔面に直撃した。
「………」
「あはは。……………ケーキ買ってくる~」
「あいつら、なんてもん作ってんだよ。きずな死ぬぞ」
飛夜理の哀れな声に愛歌は「死なないわよ」と返した。
でも二人が共通して思ったことは、「来年の始まりは楽しくなりそう」ということだった。
「さて、久々に住み着き日記…………飛夜理の…………ブツブツ。」
「まぁ。確かにねぇ?」
菜城さんとたぴさんに貸した部屋からそんな会話が聞こえてきた。……………というより、なんでこの二人、俺の家に住み着いてんだろう。
「あの、お2方、なんで、俺んち何ですか………?」
「決まってるじゃない。ねぇ、たぴ。」
「そうだよ〜。ね!なぎ!」
全く意味わからない。この二人は変なところで気が合うから少々俺としては困る。喧嘩されても面倒ではある。
「で、なんでですか。」
「「私生活が一番なぞだから」」
「そんな理由で…………」
俺は少し嘆いた。私生活が謎………もう一回声にして繰り返した。そうだ、ほかの奴らの私生活は大体予想がつく。
「なんでだろう、賛成しそうです。」
二人はその台詞にいえーい、とハイタッチをした。
「さ、まァ、そんな話はともかくだ。」
「なんでしょう。」
「飛夜理と愛歌どうなったの」
「いやいやいや!!アンタ原作者ですよね!?!?把握してくれませんか!?!」
「無理。私恋愛無理ぃ~」
むかつく………なんて言ったら締め倒されるから黙っておこう。この人はぶっちゃけ、苦手の部類に入れる自信があるけど、悪い人ではないことはわかってる。
「飛夜理、もうすぐ、何の日かわかるかい?」
「へ?あぁ、…………秋祭りですよね。」
「せいかーい。今年もみんなは一緒かいな?」
「え、はい。なんですか、突然」
菜城愛さんは唐突に変なこと言い出す。何がいいたいのか細かく尋ねるとなんでもないとはぐらかされた。
「…………」
「な、なんですか。」
「………………………別に。」
滑りそうになる。全く、よく菜城愛さんに付き合ってられますね…………たぴさん………なんて言いたくなる。正午前の会話だった。




