初雪Part5
性格最悪の長峰くんと
公園の出口付近の自動販売機で
飲みものを選ぶ。
うぅ、だってもう逃げらんないし…
どうせなら奢ってもらっても……はぁ
私はあったかいミルクティー
長峰くんはコーヒーを選んで
ベンチに戻る。
しばし無言
黙り込んでそれぞれの飲みものを飲む。
ミルクティーがなくなりかけたところで
今度こそ先回りして
「ありがとう。おいしかったです」
と言い、少し迷ったあと
「倭谷 和。人偏に委員の委、谷で、わや。
和風の和でなごむ」
と付け加えるように言った。
長峰くんはあっさり頷くと
「三枝 圭[さえぐさ けい]。三本の枝で、さえぐさ。土を二つ重ねて、けい」
と名乗った。
……当たり前だけど長峰くんではない…か。
間違えるかもしんない……
じゃ、これでと帰ろうとする。
長峰くん、じゃない、三枝くんは
「じゃな、倭谷。
雪やんだけど滑んなよ。
倭谷、ドジっぽいしさ」
と、やっぱりちょっと意地の悪そうに笑い
だけど、今度はちゃんと帰してくれた。
図書館へ向かうときよりも
しっかりとした足取りで家に帰る。
帰る道々、さっきの会話を思い出して
くすぐったいようなおかしい気分だった。
……あれ?
何か最後失礼なこと言われてたような気が?