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Tiny Story  作者: 夏蜜柑
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終わりとはじまり

あれから1ヶ月が経った。

今、私は駅のホームにいる。


千草町に帰ることにした。

恵ちゃんのそばにいると決めた。


恵ちゃんは少しずつ良くなっているらしい。

この1ヶ月間、どたばたし過ぎていて

1回くらい、千草町に帰れるかなと

思ってたのに、帰れなかったから

お母さんから聞いただけだけど。

話もできるようになって

もうすぐリハビリも始まるみたい。

恵ちゃんの止まってた時が動き出した。

素直に嬉しく思える。




………三枝くんのこと。

一度だけメールをいれた。

「引っ越します。今までありがとう」って。

でも、ついに返ってこなかった。

だから、分からない。

怖い想像は消えないまま。


でも、決めたから。

忘れられないかもだけど、吹っ切らなきゃ。


電車が騒がしい音をたててやってきた。

おぉ、誰もいない。私だけの車両だ。

田舎だったんだなぁ。

でも、結構好きだった。

そして、あの人に会えた。

来て良かった。


数学と眠気に悩まされた藤無も

通い詰めた図書館も、三枝くんも

全部締め出すように扉は閉まり

電車が発車しようとしたとき。


携帯が震えた。

わ、タイミングぴったし。びっくり。

揺られながら携帯を起動する。

メール着信1件。

そう、そっけなく表示されていた。


メールの画面を立ち上げる。

開いて、心臓が止まるかと思った。


差出人 三枝 圭。件名 なし。

本文はとても短かった。


生きてた!

涙が溢れそうになる。慌ててこらえる。


携帯を握りしめて泣き声が漏れるのを

必死にこらえつつ、小さく呟く。



三枝くん。

ちっぽけな何もない私に

本の中でしか知らなかった気持ちを

教えてくれて本当にありがとう。


こちらも短い返信をして

目をそっとつむる。


私は歩いて行こう。

いっぱい泣きながら

その先であの人がいればいいなと

祈りながら。

あの人のこの言葉を胸に持ち続けて。


「好きだった、またな」


「私もだよ、またね」







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