ターニングポイントPart2
タクシーが病院の前で停車すると
転がるように出て走った。
走って入ってきた私を咎めることもなく
看護婦さんが慌ただしく
病室に案内してくれた。
足がすくむ暇もなく
恵ちゃんの部屋に連れて行かれる。
迷ってる暇なんかなかった。
未祝さんがベッドの脇にいる。
私や遅れてきたお母さんに気づくこともなく
ただ、恵ちゃんの手を握っていた。
それをただ呆然と見ることしかできない。
未祝さんに急に呼ばれて我に返った。
「恵を見てあげて」
未祝さんは、涙声で言った。
はっとする。
涙で濡れてはいるけれど、まっすぐな目で
未祝さんは私を見ていた。
「お願い…」
震える足を懸命に動かして
恵ちゃんのベッドまで行く。
もうすぐ恵ちゃんの顔が見えるというとき。
恵ちゃんの細すぎる身体が大きく跳ねた。
「発作だ!」
お医者さんが叫ぶ。
未祝さんも、恵っ!と叫ぶ。
私はさっきの震えが嘘みたいになって
恵ちゃんに駆け寄った。
私も恵ちゃんの名を呼ぶ。
全く色のない肌。
元々細かったけど、余計細くなった手足。
真っ黒い髪。
その全てが跳ねる。
どこかに行こうとするように跳ねる。
どれくらい時間が経ったのか分からない。
2分かもしれないし、1時間かもしれない。
いつのまにか、夕暮れの光が
病室を染めていたから
時間は結構経ってたのかな……
何とか恵ちゃんの身体は落ち着いて
みんながホッとしていた。
未祝さんも大きく息を吐いて
手近な椅子にもたれるように座っている。
私は変わり果てているのに
どうしてか優しく見える恵ちゃんを
見続けていた。
ぎゅっと恵ちゃんの手を握る。
ぴくっ
ふいに、恵ちゃんの手を握っている右手が
少しだけ動いたような気がして
恵ちゃんの顔を見る。
恵ちゃんは目をうっすらと開けていた。
虚ろで、何も写してないような
とても綺麗な目が、私を捉えた気がした。
そのあとはよく覚えていない。
甲高い自分のじゃないみたいな私の声を聞き
みんなが振り向いて
恵ちゃんを取り囲んだんだと思う。
奇跡だとか、よかったとか
未祝さんのだと思われる泣き声とか
色んなものが無機質な病室に満ちていた。
そろそろ佳境というか
クライマックスです笑
ぜひぜひよろしくお願いしますm(._.)m




