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詩 屋上で彼が歌う

作者: WAIai
掲載日:2026/05/20

「ラララ」


屋上で彼が歌い出した。

私は思わず聞いてみる。


「何の曲?」

「さあ?」

「さあって…」


目をぱちくりさせて戸惑っていると、彼が言ってくる。


「何でもいいから口にすると、気持ちいいんだよね」

「そうなの?」


彼は手すりに腕を乗せ、遠くを眺めている。


一緒の景色が見たいと、私も手すりに触れ、眺めてみるが、青空が広がる下、色んな屋根の色が見える。


まるでクレヨンの並び方みたいだと感想を持つと、また彼が歌い出す。


「ラララ」


その声は高くも低くもなく、聞いていてうっとりするものだった。


思わず耳を傾けていると、身体が彼のほうに倒れそうになる。


「危ない!!」


慌てて、彼が止めてくれ、一難去ったことになる。


「ありがとう」

「どういたしまして」


逞しい腕に抱かれて、頬を赤らめる。

男の人の身体って、女と違って力強いんだよなと頭の片隅で思う。


「あの、もういいから」

「あ、悪い」


彼がゆっくり離してくれ、身体が淋しくなる。

もう少し浸っていれば良かったかと後悔したが、沈黙が訪れる。


彼は両手を上へ伸ばし、まるで雲を掴もうとしているようだった。


「カラオケでも行く?」

「うーん、どうだろう?」


彼の気のない返事に、それ以上、言うのはやめる。

彼がまた歌い出す。


「ラララ」


この歌声、私だけのものにしたい。

神様も自然の皆も、聞いちゃ駄目!!


私だけの歌い手。

彼に気づかれないように、うっすらと笑う。

最高の彼氏だ!!

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― 新着の感想 ―
『何でもいいから口にすると、気持ちいいんだよね』 何故か、この言葉がすごく印象に残ります。 初々しい感じが微笑ましいです。
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