鼻曲がりのレオン視点①
「貴族とは名ばかりの準男爵無勢が!」
「思い知ったか!その肥臭い匂いでサロンに入るな!」
「私は湯浴みをしているぞ!」
私はレオン・バイカー。父はデルタ王国の準男爵だ。
準男爵と言っても田舎の豪農だ。
父は貴族になるために巨額な寄付を繰り返し。我家は貧窮した・・
伯爵の息子たちと決闘をした。理由は貴族のサロンに入るな。そんな理由だ。
「まだ、負けていない!負けていない」
「うわ。こいつ、鼻まで曲がっている!」
「行こうぜ!」
家に帰る。母上と妹たちはお針子仕事をしている。
「レオン・・・」
「お兄様!すぐにお医者様へ」
「よい。金はないのだろう」
私は金がないので、王都の軍学校に入った。授業料と食事、寮は無料だ。入学式であの伯爵家の息子と出会う。
「ギャハハハハ、こいつ、レオンだ。ほら、鼻が曲がっている。準男爵の息子だ」
「貴族とは名ばかりだぜ!」
聞けば素行不良で貴族学院に入れなかったそうだ。
だが・・・
「そこの者!同級生に対する罵詈雑言は禁止されている!学徒同士は互いに和して励まなくてはならない!規則違反だ」
上級生・・だ。
「はあ?俺たち伯爵家なんですけど?」
「先輩、家門は?」
「コトフ男爵家だ。制裁!」
名乗りをあげた瞬間。
バチン!と二人をビンタした。
「何故!父上に言いつけるぞ!」
「ああ、言いつけろ!上級生に対する敬意不十分でもう一回だ!」
そうか・・・ここは階級が全てだ。
貴族の位は関係ない・・・
私はここで励むことにした。
訓練はもちろん。本を読みまくった。
「父上から戦術要綱を買ってもらったぜ!」
「これでテストは満点だな!」
高価な本を買う余裕はない。
教科書、図書室で本を読みまくった・・・・
学友達との遊びも談笑にも参加しなかった。
そして卒業だ。
「レオン・バイカー、魔道師団に配置!」
「了解です」
あの伯爵子息たちは・・・参謀付の補給担当か・・後方勤務だ。
魔道師団、魔法の才があるが高等な教育を受けられない平民が多く入る。
宮廷魔道師団に比べれば格が落ちる。
私は本で得た知識を試して見ることにした。心理に関する本が好きだった。
「小隊長殿!・・・」
「良い。諸君と同じ飯を食い。行軍する」
行軍中、脱落した兵を自分の馬に乗せ。私は歩く。
兵が負傷したら、すぐに看病をする。
「ひどい膿だな。仕方ない」
「ヒィ、小隊長殿!」
「我慢しろ。私だって嫌だ」
口で膿を吸い出した。
そうだ。統率7割作戦3割。いかに素晴らしい作戦でも兵が動かなければ失敗する。
私は兵と同じ物を食べ。歩き。苦労を分かち合った。
それから王都で政変が起きた。
王太子殿下が、婚約破棄をして平民の娘を愛した。
結果、王太子殿下は処刑までされたが・・・
公爵家と王党派閥で争いが起きた。
「魔道師団は待機!」
「へへへへ、行くぞ。俺の立てた作戦で王都を奪還する!」
「手柄だぜ!」
貴族出身の将校達は喜び勇み部隊を率い出征をした。
だが、失敗した。
城壁、建物が密集する王都では分が悪いそうだ。
私だったら、私だったら・・・・機会が訪れた。将校達がいなくなった部隊が合流を求めて来た。数百人か・・・
「レオン中尉殿、貴方がこの地域の再先任です!合流させて下さい」
「そうか、王都を取りに行くぞ」
「はあ?」
王都は混迷し。誰が味方か敵かも分からない。
だから、私は修道院にいった。
王太子の真の愛の相手、平民の娘がいる所だ。
「単刀直入に言う。その赤子を寄越して欲しい。王に推戴する。ここを出られて生活も保障してやる」
「断ります。坊やを立身出世のために利用する気ですね!」
なっ!?その通りだ・・・
目をキリッと見つめて言い返した。
面白い。軽薄な噂は微塵もない。噂はあてにならない。目の前にいるのは王を産んだ女だ。
「それは失礼をした。だが、必ず迎えに行く!」
・・・・・・・・・・・・・
それから私は立場を鮮明にした。王党派の中の旧王太子派だ。弱小勢力だ。あくまでも王太子殿下の子を擁立する。
およそ一個大隊規模、800人の兵で連勝を重ねた。
「魔道師団!放て!」
爆裂魔法は高度だ。詠唱の時間が長い。しかし、兵でガッチリ固めて守り放つ。
公爵派、民衆派の軍を打ち砕いた。
乱立する勢力の中で頭角を現した。ある日あの伯爵家の息子達が訪ねて来た。
「レオン、俺だよ。俺。力を貸してやるぞ」
「そうだ。俺たちも参加させろ。役に立つぞ!」
だが、罪状は鮮明だ。
「・・・・物資の横流しをした証拠はある。故に死刑である!」
「何だって、鼻をやったことは謝る。回復魔法師に診させてやる」
「これも私の個性、故に不要である」
そう言えば、こいつらの名は何だっけ?
二人を処刑しあの二人の執務室に兵を伴い入った。彼らが軍学校当時、買い求めた高価な本には興味があった。
「な・・・何だ。この本棚は・・・現場にでたことのない者が興味を持つ本だ」
兵器の解説、末尾些細なことに注視されている戦史・・・これは私の必要とする知識ではない。
そして、私は正装して修道院に陛下をお迎えに上がった。
「小官、陛下の偉光をお借りしたく参上しました。是非、王国の安定のために即位をお願いします」
膝をつき礼をして、お迎えにあがった。
「そう・・・坊やとお別れね・・」
この女、分かっている・・・平民の母がついてはまとまらない。
「臣、謹んで最高の教師、学友をつけることをお約束します!」
「いいえ。友に囲まれるような養育をお願いしますわ」
私には友だいない。耳がいたい。
この頃には兵は数千になっていた。
王国には自称王が乱立していた。外国の支援を受けている者もいる。
王都にも王がいた。
前から思っていた。王都を攻略するには爆裂魔法だ。
小競り合いで演習はすんだ。
城壁を壊し。抵抗する者がいる建物は外から壊す。
宮廷には、老王族が即位していた。
「レオンよ。宰相にする。是非、余を支えてくれ」
・・・周りを見ると若い女性が大勢いる。ハーレムか。
「推戴するにあたわず!王詐称の罪で連行せよ」
「「「了解!」」」
「オギャー!オギャー!」
「はい、はい、坊や、怖いわね」
実を言うと王母にもきてもらった。乳母としてだ・・・
母と名乗らない条件で来てもらった。業を背負ったな。いや、政局が安定すれば、母と名乗れるのではないか?
なら、私は突き進むのみ。
「治安を回復する!!盗むな。犯すな!殺すな!を徹底せよ。なお、これは我が兵にも適用される!」
各地で王を詐称する輩を討伐し。
王国を再編したが・・・外国が黙っている道理がない。
「コトフ少将、国内を任せる」
「了解だ」
軍学校の先輩だったな。
我は出陣をした。外国の軍はいかほどか?
「レオン閣下!挟まれました。南東からノース王国軍、騎士団クラス!」
「前はダール王国です!撤退を進言します」
「うむ・・・好機だ!」
後ろから来ているのはノース王国、騎士団五千・・・前方はダール王国一万か。
我が方は騎士と兵、魔道士団を入れて七千名。
「まず。数の少ない後ろから来るネズミを退治する。故に反転攻勢だ!」
戦いは心だ。案の上、助攻と信じて疑わないノース王国軍は面食らったようだ。
撃破をした。
近場の都市に逃げ込んだな。
そこで奇妙な報告があがる。
「レオン閣下、城門が開いております!」
「敵は城門をあけ。凧をあけ合図を送っています。見張所は、我らの反対、西北を見ております!」
「城門の中にはおそらく落とし穴の恐れあり」
「戦争目的は西北の敵、ダール王国軍の粉砕だ。この都市は一応、叩いた方が良いに過ぎない。城門を開けたのは、誘い込んでワナにかける可能性大、それに攻城兵器は持っていない・・・故に、殿を残し速やかに転進である!」
・・・小難しいワナがあるに違いない。合図を送っている?ダール王国軍は近いのか?各個撃破は時間が重要だ。士気の高いうちにダール王国軍を撃破する。
1日も経たない距離にいた。ダール王国軍はここからでも分かるぐらい狼狽している。
「・・・!」
「何故、ノース王国の軍旗がデルタ王国軍が持っているのか?」
研究をした。兵に対して10対2の割合で騎兵を配置しておく。
騎兵は別働隊として、側面、背後まで回れるのだ。
このとき、後に知る。城壁を開ける処置を執ったのは、軍人ではなく官吏、ヨゼフ・テイラーで、台頭してくるとは思いもしなかった。
最後までお読み頂き有難うございました。




