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■ Ep.69 第42話:水中戦の支配者~精密操作のマリオネット~

【第42話:まえがき】

いつもお読みいただきありがとうございます!


前回、第41話(Ep.67-68)では、鉄壁を誇るドワーフの重装歩兵団を、錬金術と物理ハックの合わせ技で「お掃除(分解)」してしまったコタロウたち。

最強の装甲をパンツ一丁に変えてしまうという、ある意味で最悪のトラウマを植え付けて一回戦を突破しました。


続く第42話は、魔法オリンピア本戦・第2回戦。

用意されたフィールドは、水深30メートルの巨大な**「深水プール」**です。


カナヅチで、そもそも水に濡れることすら面倒くさがるコタロウが選んだのは、自分はプールサイドで高みの見物を決め込み、メンバーを「ラジコン」にするという非情な遠隔操作マリオネット戦術。


アイザック特製の「際どすぎる秘密兵器」を身に纏わされたアヤネたちが、水中の覇者・人魚族を相手に、陸の理屈で大暴れします!


聖女による「巨大イカ調教」と、コタロウの「現地給油システム(身内搾取)」の全貌をどうぞ!

【第42話:本文】

1. フィールド消失、現れたるは青き地獄


『さあ、魔法オリンピア・バトルトーナメント、第2回戦の始まりです!!』


実況のハイテンションな声と共に、グランド・コロシアムに地響きが鳴り響く。


魔導装置によってフィールドの床が沈下し、そこへ大量の海水が奔流となって流れ込んでくる。


ものの数分で、闘技場は巨大な**「深水プール(水深30メートル・障害物あり)」**へと変貌した。


『本日のフィールドは「海洋エリア」! そして対戦相手は、海の支配者! 南方諸島連合・海洋都市国家群代表、**チーム『セイレーン』**です!!』


ザパァァァンッ!!


水面から華麗に飛び出したのは、5人の美しき人魚マーメイドたちだった。


上半身は美しい人間の女性、下半身は鮮やかな鱗に覆われた魚の尾。


濡れた肌が太陽の光を浴びて輝き、観客席からはため息と歓声が漏れる。


「ふふふ……おかの魔法使いさんたち。溺れる準備はできていて?」


リーダーの人魚姫・マリーナが、竪琴ハープを奏でながら挑発的なウィンクを投げかける。


一方、プールサイドに立つ俺、神木コタロウは、隣に立つアイザックと共に不敵な笑みを浮かべていた。


昨夜のスイートルームでの作戦会議(Ep.66)にて、この水中戦のシミュレーションは既に完了している。


「(【AI】、予定通り海洋エリアだ。出場メンバーのステータスに異常はないか?)」


【AI:問題ありません、マスター。出場者4名、およびプールサイドのバックアップ2名のリンクは安定しています】


今回の出場枠は4名。俺が選んだのは、アヤネ、モモ、ソフィア、そしてリーダー役のクラウディアだ。


「水中戦なんて聞いていない」というていで絶望してみせる観客席の空気など知ったことか。俺たちは、この瞬間のために「狂気の発明品」を準備してきたのだから。


---


2. 計画された狂気:ハイドロ・ブースター水着


「ヒヒッ! いよいよ僕の最高傑作、**【反重力・ハイドロブースター水着】**のお披露目だネ!」


アイザックが【デジタル端末】を叩くと、既に水着を着用し、その上にローブを羽織っていたアヤネたち4名が、一斉に準備に入る。


彼女たちの水着には、腰や背中に怪しく光る「魔導推進器スラスター」が取り付けられている。


「……本当に行くのですわね。この破廉恥な格好で」


クラウディアが、昨夜の屈辱を思い出したように俺を睨みつける。


「言っただろ、アヤネを一人で戦わせるわけにはいかないって。さあ、練習通りに頼むぞ」


『試合開始!!』


ドボンッ! ドボンッ!


4名がプールに飛び込んだ直後、人魚姫マリーナが即座に**【大渦メイルストロム】**を発動した。


しかし、彼女たちはパニックを起こさない。


アイザック特製の水着にマナが供給され、蒼い炎のような推進力が噴射される。


「わわわ! やっぱり凄まじい加速ですぅ!」


「へへっ、面白い! 水の中でも風を感じるぞ!」


「……不潔な水が顔にかかりますが、スピードで切り裂けば問題ありません」


昨夜の会議で「副作用のG」についても共有済みだ。彼女たちは歯を食いしばり、暴走気味の推進力を制御下に置こうとする。


---


3. スタイラス・ワンドと「現地給油システム」


俺はプールサイドでワンドを構えた。


水中での戦闘を完全に支配するため、俺は自身の乏しいマナではなく、昨夜共有した「非情なエネルギー供給案」を実行する。


「(【AI】、遠隔操作リモートハックモード起動。精霊たちを接続しろ)」


【AI:了解。動力源を装着者本人に接続。魔力強制徴収ライン、オープン】


俺がワンドを指先で弾き、高速回転させる。


「出てこい、エレキ、アクア、シンク! 昨日の打ち合わせ通り、4人のマナを根こそぎ吸って、彼女たちを『マリオネット』に変えろ!」


『ビリリッ!(エネルギー、いただきまーす!)』


『うっひょー! 激流下りスタートっす!(アクア)』


『キィン!(同期、完了!)』


3体の精霊が水中に飛び込み、4人の水着の回路に侵入する。


「ひゃうっ!? やっぱり……やっぱり吸われますぅ!」


アヤネが驚きの声を上げる。


「くっ、本当に私の魔力をバッテリーにするなんて……! 酷い男ですわ、コタロウ!」


クラウディアが顔をしかめる。


そう、俺のマナでは4人を同時に維持するのは不可能だ。


だからこそ、潤沢な魔力を持つ彼女たち自身を「電池」として利用し、俺がワンド一本で彼女たちの動きを精密操作する。これが、水中戦における俺たちの「必勝の方程式」だ。


---


4. 精密動作マリオネット


「全員、俺の指揮リズムに合わせろ!」


俺がワンドを右へ一閃する。


シンクが共鳴信号を伝え、エレキがクラウディアの魔力を吸って右スラスターを極限噴射させる。


ギュイィィィィン!


「なっ……!? 体が、勝手に加速を!」


クラウディアの意志を無視し、彼女の体は水中で鋭いカーブを描き、人魚たちの魔法を紙一重で回避する。


続いて俺がワンドを回すと、アヤネとモモが連動し、二重螺旋ダブル・スパイラルの突撃を開始した。


「えっ? なにあの動き!? 意思疎通なしで、どうしてあんなに完璧な編隊が組めるの!?」


マリーナが驚愕に目を見開く。


ズババババババッ!!!


水深30メートルの暗闇の中、蒼い閃光を引いて爆走する4つの影。


それはもはや「泳ぎ」ではない。俺というオペレーターによって操作される、水中魚雷そのものだ。


---


5. ソフィアの「絶対無菌領域」


「……昨夜の打ち合わせ通り、不潔な不純物をすべて排除します」


水中に留まるソフィアの周囲に、エレキが魔力を集中させる。


彼女の膨大な魔力が水着を通じて吸い出され、ソフィアは鬼の形相で杖を突き出した。


「【聖域浄化サンクチュアリ・クリーン絶対無菌領域ステライル・ゾーン】!!」


ジュワァァァァァァァ……!!


アクアがソフィアの浄化魔力を水流に乗せてフィールド全域に拡散させる。


シンクが振動波を送り、水の分子一つ一つに浄化を浸透させた。


「な、なによこれ!? 目が……目が痛い! 肌がピリピリする!?」


人魚たちが悲鳴を上げる。


プランクトン、微生物、藻類、および人魚の粘膜……。


生命活動に必要なあらゆる不純物が「殺菌」され、プールの水が「純度100%のH2O」へと変質した。


生物にとって、それはもはや「死の液体」に近い。


---


6. アヤネと深海の王、およびワンドの解析


フィールドが浄化の嵐に包まれる中、アヤネは俺の誘導に従い、プールの最深部へと到達していた。


そこには、人魚チームの切り札である巨大クラーケンが、強固な拘束具によって眠らされていた。


「(【AI】、昨夜特定しておいた解除コードを打ち込め。シンク、共振開始)」


【AI:了解。アヤネ様のマナ、30%をバイパス。回路ハッキング開始】


エレキがアヤネのマナを「現地調達」し、拘束具のロック機構に飛び込む。


シンクが金属疲労を誘発させ、カシャンッ! と重厚な音が響いた。


「あら? 鎖が外れちゃいましたぁ。……もう大丈夫ですよ、イカさん」


アヤネが優しく触手に触れる。


クラーケンは、自らを解放し、痛みを取り除いてくれた聖女アヤネを、瞬時に「真の主」と認めた。


ズゴゴゴゴゴゴ……!


『――マイ・マスター(我が主よ)』


---


7. 決着、そして夕食の約束


ザパァァァンッ!!!


アヤネを頭上に乗せた巨大クラーケンが水面に浮上した。


その頭上では、アヤネが笑顔で【Vサイン】を作っている。


その周囲では、クラウディアとモモが、マリオネットのごとき精密な動きで、残った人魚たちを追い詰めている。


「降参! 降参よ! 水が綺麗すぎて息ができないわ!」


「あんな高速の物体、目で追えないもの!」


人魚姫マリーナが涙目で白旗を上げた。


『し、試合終了ォォォォッ!! 勝者、ルミナス王国・王立精霊学園!! 徹底的な事前準備と、無慈悲な環境浄化、そして魔獣調教! 海の支配者を、完膚なきまでにねじ伏せましたーーッ!!』


ワァァァァァァァッ!!


歓声が上がる中、プールサイドに上がったメンバーたちはゲッソリとしていた。


魔力を強制的にバッテリーとして吸い取られた疲労は、想像を絶するものだった。


「……ひ、酷い目に遭いましたぁ。コタロウくん、お腹がぺこぺこですぅ……」


アヤネがその場に座り込む。


「……昨夜の会議で承諾したとはいえ、これほどまでとは。私のプライドも魔力もボロボロですわ」


クラウディアが俺を睨むが、その目は「約束通り、肉を食べさせなさい」と言っていた。


俺は熱を持ったスタイラス・ワンドをタオルで包みながら、満足げに頷いた。


「ああ、分かってる。今日の夕飯は最高級のステーキだ。もちろん、お嬢様の奢り……じゃなくて、俺の奢りだ」


「当然ですわ! 3キロは食べさせていただきますことよ!」


俺はワンドの振動(精霊たちの「ごちそうさま」という声)を聞きながら、第2回戦の完全勝利を噛み締めるのだった。


(第42話 完)

【第42話(Ep.69):あとがき】

お読みいただきありがとうございました!


「水が綺麗すぎて息ができない」なんて敗者の弁、初めて書きました。陸の理屈(物理ハックと過剰浄化)を水中に持ち込むと、環境破壊レベルの蹂躙が始まってしまうようです。


今回のハイライトを振り返ると:

• ハイドロブースター水着:アイザックの趣味全開の露出度と、意識が飛ぶほどの加速。

• 人間バッテリー:仲間の魔力を勝手に吸い取って動力源にする、コタロウの安定の外道采配。

• アヤネとクラーケン:もはや精霊だけでなく、巨大な魔獣まで笑顔一つで寝取る天然の魔性。


多重結界を揺らすほどの浄化魔法でプールを「純度100%のH2O」に変えてしまったソフィアさんも含め、王立学園チームの暴走はとどまるところを知りません。

しかし、これだけ派手に暴れれば、当然「周囲の目」も黙ってはいないわけで……。


【次回予告】 第42.5話(Ep.70)幕間:『学園記事:水着回! 我らが聖女と氷の令嬢の秘蔵ショット!』


次はお祭り騒ぎの舞台裏。このカオスな水中戦を、王都の新聞部がどう報じたのか? 激写されたアヤネとクラウディアの勇姿(?)、そして戦場を密かに支配していた「銀色の幽霊」の正体に迫ります!


次回もよろしくお願いします!


【作者からのお願い】

物語を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークや、下の評価欄から**【★★★★★】**で応援いただけると嬉しいです。

皆様の応援が、新聞部への新しいカメラ機材代と、コタロウのアイマスクの遮光性能に直結します!

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