表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/88

■Ep.62 第37.6話(幕間):結成! 学園最凶のドリームチーム

【第37.6話:まえがき】

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回(第37.5話)では、ヴォルコット学部長に弱みを握られ、逃げ場を失ったコタロウ。アヤネを教会の「家畜」にさせないため、そして自分自身の「禁忌スキル」を隠し通すため、ついに学園代表チームの専任マネージャー(兼、共犯者)としての契約書にサインをしてしまいました。

今回の第37.6話は、いよいよ**「学園代表ドリームチーム」**の結成回です!

アヤネとモモに加え、他学部から召集されたのは、コタロウをゴミのように見下す「氷の令嬢」、人体改造も辞さない「マッドサイエンティスト」、そして笑顔で漂白(消去)を口にする「殺菌消毒の天使」。

「これ、本当に味方チームだよな?」とコタロウが天を仰ぎたくなるような、最高にクセが強すぎる精鋭(変人)たちの顔合わせをお楽しみください!

【本文】

1. 円卓の騎士(変人)たち


「……帰りてぇ」


学園本館の最上階、「特別会議室」。 豪奢なシャンデリアの下、円卓を囲む5人のメンバーを見渡して、俺、神木コタロウは心の底から呟いた。


ヴォルコット学部長との「悪魔の契約」から数日。 今日は、来たる「学園対抗戦」に向け、各学部の代表者が一堂に会する結団式だった。 集められたのは、全校生徒数千名の中から選ばれた、たった5名の精鋭たち。


だが、俺の目の前に広がっているのは、エリート集団というよりは**「魔境」**だった。


「ムシャムシャ……。この会議室のクッキー、湿気ってるね。コタロウちゃん、私の隠し持ってる『極上マカロン』食べる?」


【精霊学部代表(2年):イチノセ・アヤネ】 いつものジャージ姿ではなく、学園指定の制服を着ているが、スカートのポケットからは大量のお菓子がはみ出している。学園の聖女とは思えない行儀の悪さだ。


「ガリガリ……ッ! クッキーなんぞで腹が膨れるか! おいコタロウ、肉だ! 晩飯はステーキだろうな!?」


【精霊学部代表(2年):百獣/モモ・イヌガミ】 椅子の上にしゃがみ込み、テーブルの脚を爪で研いでいる。制服のボタンは弾け飛びそうで、野生味が隠しきれていない。


この二人はいつものことだ。問題は、残りの3人だ。


---


2. 氷の令嬢と、絶対零度の侮蔑


カツーン、カツーン……。 冷ややかなヒールの音が響き、会議室の空気が一瞬で凍りついた。 現れたのは、縦ロールに巻いた豪奢な金髪を完璧に整え、扇子を手にした少女だ。 その青い瞳には、一切の感情が宿っていない。


【政経・占星術学部代表(2年):クラウディア・フォン・アウステリス】 席次:学部首席


公爵家の次女であり、2年生にして政経・占星術学部のトップに君臨する「氷の令嬢」。 彼女は部屋に入るなりコタロウを一瞥し、まるで汚物を見るかのように目を細めた。


「……空気が澱んでいると思いましたけれど。なぜ、Fクラスの『石ころ』がここにいるのですか? 清掃業者の手配など頼んでいませんけれど」


「相変わらず挨拶が手厳しいな、クラウディア」


俺はため息をついた。 こいつとは、第4.5話で「アヤネに近づくな」と一方的に通告されて以来の因縁だ。 第18話で実家の暴風騒動を解決してやった恩があるはずなんだが、態度は軟化するどころか硬化している。


「おい。まさか忘れたとは言わせないぞ。夏休みに俺が助けてやった件はどうなった? 恩人に対してその態度はどうなんだ」


俺が言うと、クラウディアは表情一つ変えず、扇子で口元を隠した。


「恩人? ……思い上がりも甚ばしいですわね。あの件に関しては、貴方の要求通り『公爵家専用ダンジョン』の採掘権をお渡ししました。つまり、取引ビジネスは完了しています。貸し借りはチャラ。貴方が私に馴れ馴れしく話しかける権利など、1ミリも残っていませんわ」


取り付く島もない。完全なビジネスライクだ。 俺は食い下がった。


「じゃあ、第10話のダンジョン実習はどうだ? お前が仕掛けた転移魔法が暴走したせいで、俺とアヤネは未踏の最下層まで落として死ぬ思いをしたんだぞ。あれは完全にお前のミスだろ」


その言葉を聞いた瞬間、クラウディアの瞳の温度がさらに下がった。 焦りも、動揺もない。ただ、絶対的な「傲慢」だけがあった。


「……ミス? この私が?」 彼女は冷然と言い放った。


「言いがかりはよして頂戴。私のアストロロジー(星読み)と魔導計算に狂いはありません。あれは、貴方という『不確定要素ノイズ』が、私の完璧な術式に混入したせいで起きた事故……いわば天災のようなもの。私の責任ではありませんし、そもそも――」


彼女は扇子を閉じ、俺の胸元に突きつけた。


「貴方ごときが生きようが死のうが、それは些末な問題です。聖女アヤネ様が生還された。その結果だけが全て。貴方が生き残ったのは、単なる運か、アヤネ様の慈悲に過ぎません。身の程を知りなさい」


「……(こいつ、マジで話が通じねぇ)」


自分の非を認めるどころか、俺の存在そのものを否定してきた。 これが「氷の令嬢」。第4.5話から続く、徹底的な拒絶。


しかし、その氷の仮面が一瞬で崩れ去った。 彼女が視線をアヤネに移した瞬間だ。


「ああ……! アヤネ様……! 本日もお美しいですわ……!」


クラウディアは俺を突き飛ばし、猛ダッシュでアヤネの元へ駆け寄り、その手を取って跪いた。 さっきまでの冷徹さはどこへやら、その瞳は狂信的な熱を帯びている。


「学園の聖女、アヤネ様! ああ、そのお口の周りのクッキーの粉すら神々しい……! 第6話で『ガトー・ド・リュンヌ』の黄金シュークリームをお届けした時の、あの笑顔……昨日のことのように思い出されますわ! あの一件以来、私は心に誓いましたの。この身の全てを、貴女様のために捧げようと!」


「あ、クラウディアちゃん! あの時のシュークリーム、美味しかったよ~! また食べたいな♡」


アヤネが無邪気に笑う。


「もちろんです! すでに王都の全店舗に手を回し、在庫を確保させております! 今回、貴女様と同じチームになれるなんて、前世で国を救ったご褒美に違いありませんわ!」


クラウディアは恍惚の表情でアヤネの手を握りしめている。 ……俺への「絶対零度の侮蔑」と、アヤネへの「狂信的な崇拝」。 第6話で俺が作った「おアヤネのために頑張っている」という言い訳が、皮肉にもクラウディアの「聖女ファースト」の精神をより強固なものにしてしまったようだ。


「いいこと? コタロウ. 貴方はマネージャーだか何だか知らないけど, アヤネ様のお世話係は私がやりますの. 貴方は私の靴磨きでもしていなさい!」


---


3. 爆発と鋼鉄の錬金術師


「ヒヒッ……! 相変わらず激しいネェ, クラウディア嬢は. 感情の振れ幅が大きすぎて, 脳波測定器が焼き切れちゃったヨ」


円卓の端で, 怪しげなゴーグルをかけた猫背の男子生徒が, 壊れた計器を放り投げた。 白衣は薬品のシミで汚れ, 指先は金属製の義手オートメイルに置換されている。


【錬金学部代表(3年):アイザック・ギアボルト】 席次:学部首席


彼は机の上に, フラスコやネジ, 怪しげな液体が入った瓶を並べている。


「光の大精霊に進化した検体Aアヤネに、精霊憑依を行う検体Bモモ……。ああ、素晴らしい素材ダ! ねえ、君たち。試合中に腕の一本くらいなら切り落としてもいいかナ? 僕の作った『対魔導義手・改』を試したいんだヨ!」


「ひっ……あの人、目が笑ってないよぉ」


アヤネがクラウディアの後ろに隠れる。


「貴様! アヤネ様に何て口を! 公爵家の権力で研究室ごと爆破しますわよ!」


クラウディアが即座に噛み付く。


アイザックは**【物質変換】と【魔導具作成】**の天才。 だが, その研究欲は常軌を逸しており, 「マッドサイエンティスト」として恐れられている危険人物だ。


---


4. 微笑みの掃除屋クリーナー


「まあまあ, アイザックさん。レディに対して失礼ですよ? それに、アヤネさんもモモさんも、制服が少し汚れていますね……」


穏やかな声と共に立ち上がったのは, 純白のローブを纏った, 慈愛に満ちた表情の女子生徒だ。 その手には, 不釣り合いなほど巨大な**「モップ」**のような杖が握られている。


【治癒・生活魔法学部代表(3年):ソフィア・ミラー】 席次:学部首席


彼女はニコニコと笑いながら, アヤネの制服についたクッキーの粉を払った。


「不潔は敵です。汚れは罪です。私は『治癒』と『生活魔法(家事)』を司る者として、チームの衛生管理を徹底させていただきます。 ……もし、私の基準ルールに従えない不潔な方がいれば」


ソフィアが優しく微笑んだまま, 持っていたモップの柄を片手でベキッと握り潰した。


「**漂白しょうきょ**させていただきますね♡」


「「……ハイ」」


全員が直立不動になった。 彼女は「回復役ヒーラー」でありながら, 潔癖症が行き過ぎて**【洗浄魔法(浄化)】**を攻撃転用する, 通称「殺菌消毒の天使」だ。


---


5. マネージャーの絶望


「……以上が, 今回の学園対抗戦の代表メンバーだ」


ヴォルコット学部長が, 満足げに頷いた。


• 学園の聖女(天然):イチノセ・アヤネ


• 音速の野獣(暴走):百獣モモ


• 聖女ガチ勢の氷の令嬢コタロウアンチ:クラウディア


• マッドサイエンティスト(解剖):アイザック


• 潔癖症の殺戮ヒーラー(消毒):ソフィア


そして、


• 「禁忌スキル持ち」のパシリ(マネージャー):コタロウ


「どうだね, 神木君. 各学部の首席トップを集めた, まさにドリームチームだろう?」


「……ナイトメア(悪夢)の間違いじゃないですか?」


俺は頭を抱えた。 個性が強すぎる。協調性という言葉が辞書にない連中ばかりだ。 特にクラウディアは, 俺を目の敵(ゴミ扱い)にしながらアヤネにへばりついている。 第4.5話から続く敵対心に, 第6話の恩義シュークリームによる聖女崇拝が加わり, もはや宗教レベルでこじらせている。


「フン! 底辺コタロウ! 足手まといになったら即刻排除して差し上げますわ! アヤネ様の栄光ある道に, 貴方のような汚点は必要ありませんの!」


クラウディアが扇子で俺を指差す。 その背後で, カンニング・【AI】が分析結果を表示した。


【AI:解析結果:クラウディア】 性格:冷徹、完璧主義、聖女狂信者 コタロウへの感情:侮蔑 80%、敵対心 15%、警戒心 5% 備考:第18話の恩義は「取引完了」として処理済み。デレ要素、現時点で皆無。


「(……マジかよ。攻略難易度SSじゃねえか)」


俺は天を仰いだ。 逃げ場はない。 聖教会の脅威に加え, 身内チームメイトからの殺意と侮蔑, そして政治的な監視。


「(やるしかない……。全員、俺の『解析カンニング』で丸裸にして, 無理やりにでもチームとして機能させてやる!)」


俺は腹を括った。 こうして, 王立学園史上, 最も協調性がなく, 最も凶悪な代表チームが結成された。 目指すは王都。決戦の地へ向けて, いよいよ出発の時が迫る。


(第37.6話 完)

【第37.6話:あとがき】

お読みいただきありがとうございます!

ドリームチーム……いえ、コタロウ曰く「ナイトメアチーム」が結成されました。


今回のハイライトを振り返ると:


クラウディアの再登場: 第4.5話、第6話、第10話、第18話……これまでの因縁を全て「ビジネス」と「聖女崇拝」に振り切った彼女。コタロウへの冷たさが、逆に清々しいレベルです。


新キャラ:アイザックとソフィア: 首席トップは能力だけでなく、性格の歪みもトップクラス。アイザックの義手や、ソフィアの握りつぶされるモップなど、一瞬で「関わっちゃいけない奴だ」とわかってもらえたかと思います。


コタロウの立ち位置: 禁忌スキル【イリーガル・アナライズ】を隠しながら、この爆弾岩のような連中を制御しなければならないという、無理ゲーに等しいノルマ。


さて、最凶の5人と1人が揃ったところで、物語の舞台はいよいよ学園を飛び出し、王都ルミナスへ!


【次回予告】

第38話:『王都行き魔導列車は、カオスと殺意を乗せて走る』

超豪華列車『シューティングスター』で優雅な旅……となるはずが、帝国のサイバーテテロにより列車が暴走!?

コタロウが懐から取り出した謎の「銀色のペン」が、時速300キロの鉄塊をハッキングする!


ついにベールを脱ぐコタロウのガジェット。そして、不敵に笑う帝国皇子ジークフリートの影……。

「魔法オリンピア」編、いよいよ本編開始です!


【作者からのお願い】

2月だけで5000PV、累計7000PVという驚異的な勢い、本当にありがとうございます!

新キャラたちも加わり、物語はさらに加速していきます。

続きが気になる!と思ってくださったら、ぜひ**【評価(★★★★★)】**やブックマークで応援いただけると、執筆の大きな力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ