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カンニング・AI~Fランクの俺、カンニングで楽したい~なのにやり過ぎAIが深層ボスを倒し、自分の葬式中に英雄として帰還!ご褒美がエリートコースへの強制編入って正気ですか?俺のサボり人生を返してくれよ!  作者: とうふ
第2.5章:学年末休み編(後半)【北方リゾート、海底神殿編】

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48/90

Ep.48 第26.9話:【幕間】精霊界の役員会議~北方支部の劇的V字回復~

【第26.9話:まえがき】

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回、第26.5話では、人間界の苦労人・フランツ宰相が、コタロウの「無自覚なテラフォーミング」の報告書を読んで胃を焼く様子をお届けしました。

今回の第26.9話は、さらに視点を高く、この世界の理を管理する「高次元のブラック企業」こと、精霊界ホールディングスの役員会議を再びお届けします。

北限の海底神殿を「常夏の楽園」に作り変えてしまったコタロウの暴挙。 それが、経営難に喘いでいた精霊界に、まさかの「空前の黒字」をもたらすことに!?

光の精霊王セレスティアを加え、さらに輝き(物理)を増した役員たちの、欲望と計算にまみれた経営戦略。 そして、地上の学園で胃を痛めながら働く中間管理職・セフィラ先生に下された、非情かつ「輝かしい」辞令とは……。

コタロウが知らないところで「神のコンサルタント」へと格上げされていく、世知辛い幕間劇をお楽しみください!

【本文】

1. 精霊界ホールディングス、定例役員会議


次元の彼方、虹色のオーロラが揺らめく空にそびえ立つ、クリスタル製の摩天楼。 世界の元素とことわりを管理する超巨大企業体、「精霊界ホールディングス(S.W.H.D)」の本社ビルである。


その最上階、雲を見下ろすガラス張りの大会議室に、この世界の幹部たちが集結していた。 円卓を囲むのは、各属性を司る執行役員(四大精霊王)と、光を統べる副社長、および彼らを統べるCEO、大精霊王エーテリウスだ。


「……ふぁ~。今日の議題なに~? ネイル乾いてないんだけど~」 風の精霊王シルフ(人事・広報本部長)が、あくびを噛み殺しながら最新型の魔道スマホをいじっている。緑髪のツインテールに、派手なデコネイル。若者言葉を使う彼女だが、その情報収集能力は神速だ。


「こらシルフ! 会議中はスマホをしまえ! だから最近の若者は……気合が足りんのだ、気合が!」 火の精霊王ヴォルカン(営業・エネルギー事業本部長)が、バン! と机を叩いて怒鳴る。赤髪のマッチョで、常に袖をまくっている彼は、典型的な体育会系上司だ。


「まあまあ、落ち着かれよヴォルカン殿。血圧が上がるぞ。……ズズッ」 土の精霊王ノーム(総務・法務・資源本部長)が、分厚い六法全書を枕代わりに、湯呑みでお茶を啜る。彼は最も古参の役員であり、社内の生き字引だ。


「……ちょっとセレスティア。会議中くらいその発光量(輝度)を落としてくださらない? 画面が見づらいのだけれど」

シルフが眩しそうに目を細めて文句を言うと、その隣に座る絶世の美女が、天然のレンズフレアを撒き散らしながら優雅に微笑んだ。


「あら、失礼いたしましたわ。ですがこの輝きこそが、我が社の透明性コンプライアンスの象徴。光こそが至高のブランドですのよ?」

副社長 兼 CSO(最高戦略責任者):セレスティア・“オーラ”・ルミナス。 光の王である彼女は、眩い金髪をなびかせ、純白のシルク製ビジネススーツに身を包んでいる。彼女が動くたびに周囲に光の輪が発生するため、会議室は常に異常なほど明るい。


円卓の上座、長い白髭を蓄えたCEOのエーテリウスが、頭上の天使の輪を点滅させながら木槌を叩いた。


「静粛に。……それでは、第4289期・第4四半期の定例役員会議を始める。本日のメインアジェンダは、水属性部門より提出された『北方第8エリア・海底神殿支部の収支報告および業務改善レポート』についてじゃ」


CEOの視線を受け、一人の女性が立ち上がった。 水の精霊王セレイン(生活インフラ・観光事業本部長 兼 経理部長)。 青い髪をタイトにまとめ、ブルーライトカットの知的な眼鏡をかけた彼女は、手元のタブレットを操作し、空中に巨大なホログラム・スクリーンを展開した。


「お疲れ様です、セレインです。ご報告いたします」


2. 決算報告:奇跡のV字回復


「結論から申し上げます。……我が水属性部門の長年の懸案事項であった『北方・海底神殿エリア』ですが、今期、劇的な黒字転換(V字回復)を達成しました」


セレインの言葉に、会議室がざわついた。


「なっ!? 黒字だと!?」 ヴォルカンが目を丸くする。 「待て待て、あのエリアは管理人の職場放棄で機能不全に陥っていたはずだぞ! 寒波による周辺住民の信仰心(MP)低下も著しく、今期は『損切り(閉鎖)』予定の不良債権だっただろう!」


「ええ、その通りです。前期までは、維持管理費マナコストのみを垂れ流す、完全なお荷物物件でした。ですが……こちらのデータをご覧ください」


セレインが指を弾くと、スクリーンに折れ線グラフが表示された。 それは地を這うような低空飛行から、直角に近い角度で天を突くような上昇カーブを描いていた。


• Before(改変前):

• 顧客満足度:Eランク(極寒、魔物被害)

• MP収支:大赤字

• 資産価値:ほぼゼロ(廃墟寸前)

• After(改変後):

• 顧客満足度:SSSランク(常夏の楽園)

• MP収支:前年比3000%アップ(過去最高益)

• 資産価値:暴騰(リゾート地として最高値)


「嘘だろ……!? なんだこのデタラメな数字は! 粉飾決算か!?」 「いいえ、全て監査済みの事実です。現地は今、空前のリゾートブーム。人間たちが落とす『感謝のチップ』と、バカンスによる『快楽の良質なマナ』で、貯蔵タンクが溢れかえるほどです」


「マジ~? ウケるんだけど」 シルフが画面の一部を拡大する。 「てかさ、ここ北の海よね? なんでハイビスカス咲き乱れてんの? 気候バグってない? 自然の摂理どこ行った?」


「なんてダイヤモンド・グレードな煌めきなのかしら……!」

副社長セレスティアが、椅子から立ち上がってスクリーンを凝視した。

「極寒の吹雪を、これほどまでに『光り輝く』南国へと作り変えるなんて。我が社のブランドイメージを飛躍的に高める、素晴らしいCSR活動と言えますわね!」


「そこが今回のポイントです」 セレインは得意げに眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。 「これは、ある『外部コンサルタント』による、革新的な再開発事業の結果です」


3. 「外部コンサルタントK」の功績


「コンサルタントだと?」 ノームが眉をひそめる。 「どこの大手じゃ? ドワーフ工務店か? それともエルフ造園か? 報酬はいくら払った?」


「いいえ。……以前の会議(第10.2話)でも話題に上がった、あの少年です」


セレインがスクリーンに写真を映し出す。 そこには、南国のビーチでデッキチェアに寝そべり、サングラス姿でけだるげに「ペンを回す少年コタロウ」の姿があった。手にはココナッツジュースを持っている。


「あーっ! あの時の『太客ふときゃく』じゃん!」 シルフが声を上げる。 「名前なんだっけ……そうそう、コタロウ君! 相変わらずイイ男(極上のマナ供給源)ね~♡」


セレインは指示棒ポインターでコタロウの写真を指し示した。 「彼は今回、聖女アヤネの【聖域】と【ダンジョンコア】を直結させるという、禁断の技術的介入を行いました。それにより、エリア限定で気候を『真夏』に書き換え、集客力を爆発的に向上させたのです」


「……コアの直結だと!? セキュリティはどうした!」 ヴォルカンが叫ぶ。

「それが……彼(の背後にいる【AI】)にいとも簡単に突破されました。本来なら重罪ですが、結果としてコアのマナ循環効率は最適化され、老朽化していたOSも最新版にアップデートされています。……悔しいですが、我々のシステム部より優秀です」


「法務・コンプライアンス的には極めてアウトですが……」

セレスティアが扇子で口元を隠しながら、瞳を輝かせた。

「古代神のコードすら『最適化』してしまう彼の輝きは、もはや『ゴッド・クラス』。この実績の美しさの前では、些細な手続き漏れなど些事ですわ」


「うーむ……。無許可での改築は法務的にアウトじゃが……これだけの利益が出ているなら、事後承諾という形で黙認もやむなしか」 ノームが複雑な顔で頷く。


「さらに、彼の人事改革も見事でした」 セレインは続ける。 「後任の管理人として、我が社の窓際社員だった下級精霊アクアを抜擢。報酬を『常夏でのバカンス付き勤務』としたことで、彼女のモチベーションは最高潮。現在、彼女は24時間体制で完璧な業務とサーフィンをこなしています」


「ホワイト企業じゃん……!」 シルフが感心する。 「ウチの人事部でも採用したいわ、その福利厚生システム。『働き方改革』の最先端ね」


「窓際社員をここまでの『ブランド・パーソン』に仕立て上げるなんて。彼の人材開発能力、わたくしの部署に欲しいくらいですわ」 セレスティアがうっとりと呟く。


「極めつけは、暴走していたダンジョンボス『海皇水竜リヴァイアサン・ロード』の活用法です」 セレインが最後のスライドを表示する。


そこには、地面に首まで埋められ、チンアナゴのようにゆらゆらと揺れながら、観光客に愛想を振りまく水竜の姿があった。 背景には『記念撮影 500ゴールド』の看板。


「殺処分予定だったボスを、あえて無力化して『マスコットキャラクター』に転用。これにより、討伐コストゼロで集客コンテンツ化に成功しました。今では『キモかわいい』と大人気です」


「ぶはっ! なんだその間抜けな姿は!」 ヴォルカンが腹を抱えて笑った。 「あのアホ竜を客寄せパンダにするとは……! 威厳もへったくれもないが、悔しいが合理的すぎる!」


4. ホールディングスへの影響と評価


一通りの報告を終え、セレインは胸を張った。


「以上が、今回の『北方エリア再開発プロジェクト』の全容です。 彼への報酬は、高級旅館でのタダ飯と、少しの『安眠』を提供したのみ。 対して我々が得た利益は、莫大な信仰心と、管理コストの大幅削減。 ……ROI(投資対効果)は測定不能レベルの黒字です」


会議室は静まり返った後、どよめきに包まれた。


「素晴らしい……! まさか人間の中に、これほど経営センスのある者がいるとは」 CEOのエーテリウスも満足げに頷き、髭を撫でる。 「うむ。彼とのコネクションは、我が社にとって『S級の戦略的資産』と言えるじゃろう」


「よし。結論を出す」

エーテリウスが木槌を叩いた。


【 決定事項 】


1. 北方支部の事例を「成功モデル」として全社共有する。

2. 外部コンサルタント「神木コタロウ」の評価ランクを、『要監視対象』から『最重要取引先(スーパーVIP)』へ格上げする。

3. 今後、彼からのアクセスがあった場合、各属性の王は全力でサポート(接待)を行うこと。


「異議なし!」 全員が声を揃えた。セレスティアも「当然ですわ。彼こそが我が社のブランドを支える真のダイヤモンドですもの」と誇らしげに頷く。 彼らはコタロウを、もはやただの人間ではなく「話のわかるビジネスパートナー(兼・太客)」として認めたのだ。


5. 人事異動:不憫な中間管理職


「……さて。VIP待遇に伴い、現地の人事体制も見直す必要がありますね」 セレインは冷徹な業務モードに戻り、手元のコンソールを操作した。 「現地駐在員、セフィラを呼び出します」


ブォン、と会議室の空中に立体映像ホログラムが浮かび上がる。 映し出されたのは、地上の王立精霊学園。 その職員室のデスクで、書類の山に埋もれて死にかけている、真面目そうな女性教師――精霊教師セフィラの姿だった。


『は、はいっ! 王立精霊学園駐在、セフィラです! ……あわわ、精霊王の皆様!? お、お疲れ様です!』 突然の重役呼び出しに、セフィラは慌てて眼鏡を直し、直立不動の姿勢をとった。顔色は悪く、目の下には隈がある。


「業務ご苦労、セフィラ. 単刀直入に言います」 セレインは冷徹に告げた. 「貴女に, 本社より『辞令』が出ました」


『えっ……じ、辞令、ですか?』 セフィラの顔がサァーッと青ざめる。 『もしかして、コタロウ君のダンジョンハッキングを止められなかった件での懲戒処分……でしょうか? す、すみません! 始末書なら今書いていて……! クビだけはご勘弁を……!』


「いいえ、逆よ。『昇格プロモーション』です」


『え?』 セフィラがキョトンとする。


「貴女の任務はこれまで、危険因子である神木コタロウの『監視(看守役)』でしたね?」 「は、はい。彼が暴走しないよう、胃薬を飲みながら見張っております」


「本日よりその任務を解き、新たに『神木コタロウ専属・渉外担当官コンシェルジュ』に任命します」


『こ、コンシェルジュ……ですか?』


「ええ。平たく言えば『御用聞き』兼『クレーム処理係』です」 セレインは美しい笑顔で、地獄のような業務内容を告げた。


「彼は我が社のスーパーVIPになりました。今後、彼が『ダンジョンのここが不便だ』と言えば即座に改修し、『カニが食べたい』と言えば最高級のカニを手配しなさい。 彼を不快にさせず、かつ彼の無茶振りから学園(と世界)のバランスを守る……それが貴女の新しい仕事です」


『え……あ、あの……それって、事実上のパシリでは……?』


「あら、なんて光栄なことかしら!」

セレスティアが画面に割り込み、眩い後光をセフィラに浴びせた。

「最高級の太客を独占的にプロデュースできるなんて、精霊としてのキャリアにおいてこれ以上『輝かしい』役職はありませんわ。コンプライアンスを守りつつ、彼を最高に輝かせなさい。期待していますわよ?」


「『名誉ある専属担当』です。おめでとう、セフィラ. なお、給料(マナ支給量)は特別手当として1.5倍にしておきます。……期待していますよ?」


『ちょ、待っ……!』


ブツン。 セレインは有無を言わさず通信を切った。


6. 結び


通信が切れた後の会議室で、シルフがクスクスと笑った。 「あーあ。セフィラちゃん、可哀想~。あのコタロウ君の専属とか、絶対過労死するわよ。胃に穴が空きそう」


「だが見返りは大きいぞ。あの太客の近くにいれば、彼から漏れ出るおこぼれのマナだけでも相当なものだ。ハイリスク・ハイリターンだな」 ヴォルカンが腕を組み、ニヤリと笑う。


「ふふっ。……さあ、新学期が楽しみね」 セレインは不敵に微笑み、タブレットを閉じて会議を締めくくった。


一方、地上の職員室。 通信が切れた暗い画面の前で、セフィラは呆然としていた。


「う、嘘よ……。私が、あの問題児の御用聞き……? 昇格って、仕事が増えただけじゃない……」


セフィラは辞令が表示された石板を抱え、机に突っ伏して泣いた。 Sクラス入りしたコタロウが巻き起こすであろうトラブルの山。 そして、「カニ食いたい」「ダンジョン改造したい」という無茶振りに振り回される日々。 彼女の胃は、未来を予知して既にキリキリと悲鳴を上げていた。


こうして、コタロウの「最強のサボり環境」を支える(犠牲になる)、世界一不憫な専属担当が誕生したのだった。


(第26.9話 完)

【第26.9話:あとがき】

お読みいただきありがとうございました! 精霊界ホールディングス、今回も安定の「利益至上主義」でしたね。


今回のハイライトを振り返ると:


V字回復: 赤字垂れ流しの北限支部が、バカンス効果で前年比3000%の黒字へ。


窓際族の逆転: アクアちゃん、サーフィン三昧のホワイト(?)勤務へ。


ボスの再利用: リヴァイアサンが「キモかわいい」客寄せパンダ(チンアナゴモード)に。


セフィラの悲劇: 「昇格」という名の「パシリ担当コンシェルジュ」任命。


ついに精霊界の役員たちから「スーパーVIP」として認められてしまったコタロウ。 本人はサボるために環境をハックしただけなのですが、その「輝き」が強すぎて、周囲の人生(主にセフィラ先生)をどんどん狂わせていきます。


【次回予告】 第27話『新学期と理不尽な伝統:Sクラスの洗礼は突然に』 学年末休みが明け、ついに憧れの「エリート生活」がスタート! 低反発魔導ソファにマカロン食べ放題……。まさに天国のようなSクラス教室で、コタロウを待っていたのは「名門貴族の逆恨み」と「パッション溢れる学部長の蹴り」だった!?


次回、第3章【波乱の学園編】開幕! お楽しみに!


【作者からのお願い】 物語を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークや、下の評価欄から**【★★★★★】**で応援いただけると嬉しいです。 皆様の応援が、セフィラ先生の給料マナの上乗せと、コタロウの「二度寝の質」に直結します!

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