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カンニング・AI~Fランクの俺、カンニングで楽したい~なのにやり過ぎAIが深層ボスを倒し、自分の葬式中に英雄として帰還!ご褒美がエリートコースへの強制編入って正気ですか?俺のサボり人生を返してくれよ!  作者: とうふ
第2.5章:学年末休み編(後半)【北方リゾート、海底神殿編】

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Ep.41 第23.5話:【幕間】船長指名〜コタロウ、歴史的初の試みにハメられる〜

【第23.5話:まえがき】

いつもお読みいただきありがとうございます! 前回、第23話では「朝食の焼きカニを奪われた」という理不尽な飢えを原動力に、コタロウが異世界の技術を無視した即席潜水艦「ネモ・ウォルナット号」を完成させました。


普通ならここで「さあ冒険だ!」と意気揚々と乗り込むところですが、我らが主人公コタロウの辞書に「進んで危険に飛び込む」という文字はありません。


今回の第23.5話は、完成した潜水艦を前にコタロウが繰り出した、あまりにも見苦しい……いえ、必死な「居残り工作」の物語です。 「設計図は完璧。あとは精霊たちだけで行けるよね?」 そんな淡い希望が、美しき精霊王の正論によって無慈悲に粉砕される瞬間をお楽しみください!

【本文】

1. 完璧なバックアップ(という名のサボり)


造船所のドックに、鉄 de クルミ――「ネモ・ウォルナット号」が堂々と鎮座している。 ゲンゴロウ親方の職人の意地と、精霊たちの暴力的なまでの魔力工作によって完成した、異世界初の潜水機だ。


俺、神木コタロウは、その仕上がりを確認した後、水の精霊王セレインが待つ館へと足を運んだ。 もちろん、「準備ができた」と報告するためだが、俺の脳内にはある「完璧な計画」が描かれていた。


「(いいか、カンニング・【AI】。俺はこれから、今回の調査における『役割分担』について、戦略的かつ合理的な提案を行う。……要するに、俺だけ地上に残るための交渉だ)」


【AI】 了解。マスターの意図を解析。……「責任ある立場からの敵前逃亡」を支援するための論理構築を開始します。


よし、相棒もノリノリだ。


2. 最後のあがき


氷の館の謁見の間。セレインは相変わらず優雅に、冷徹な美しさを湛えて玉座に座っていた。


「準備ができたようね、コタロウ君」


「ええ。ネモ・ウォルナット号は今、出航の時を待っています。……そこでセレイン様、一つ専門的な見地から提案があるのですが」


俺はあえて、有能な技術顧問を装って一歩前に出た。


「あの潜水艦は、【カンニング・AI】の設計に基づき、人族の操作を必要とせず『精霊の魔力のみ』で全機能を稼働できるように調整してあります。つまり、精霊調査団だけで十分に海底神殿の調査は可能なのです」


セレインが眉を動かす。俺は畳み掛けた。


「不測の事態に備え、俺は地上側で通信のサポートと、万が一の際の引き上げ準備に回るのが、最もリスクの低い運用だと思われます。……邪魔な人間が乗らない方が、精霊たちも動きやすいでしょう?」


俺は内心でガッツポーズをした。完璧だ。 「自分が行かない方が効率的である」という論理。これなら精霊王も頷かざるを得ないはずだ。


3. 歴史の重みと、一刀両断


しかし、セレインは氷のような瞳で俺をじっと見つめると、フッと鼻で笑った。


「面白いことを言うわね。……でも、却下よ」


「……なっ、なぜですか? 合理的でしょう?」


セレインは玉座から立ち上がり、俺の目の前まで歩み寄ると、その長い指先で俺の胸を突いた。


「今回の海底ダンジョン調査。それは、人族の叡智(貴方の設計)と、精霊の力(私の部下)が手を取り合う、歴史上初めての『共闘』なのよ」


彼女の瞳に、逃げ場を許さない光が宿る。


「その歴史的プロジェクトの中心人物であり、船の生みの親である貴方がいないなんて、話にならないわ。精霊たちを率いるのは精霊王の使いではない。……この船を動かせる唯一の『船長キャプテン』である、貴方だけなのよ」


「いや、俺はただのFランクで……」


「問答無用よ。アヤネちゃんも貴方を信じて待っているわ。……さあ、立派な背中を見せてあげなさい? 船長さん」


セレインの笑顔は、この極寒の地で最も美しく、および最も恐ろしかった。


4. 諦めの船出


結局、俺の「地上バックアップ作戦(引きこもり計画)」は、セレインの正論という名の氷壁に激突して木っ端微塵に砕け散った。


「(……おい、カンニング・AI。論破されてるぞ)」


【AI】 解析:水の精霊王による「精神的逃げ道の完全封鎖」を確認。マスター、今回の交渉は完敗です。……諦めて、鉄のクルミに乗り込んでください。


「……ちくしょう。どいつもこいつも、俺を深海に沈めたくて仕方ないらしい」


俺は涙を流しながら、雪の積もる桟橋へと引き返した。 その先では、完全武装したリリス、やる気満々のモモ、および不安そうに、でも俺を信じ切った目で待つアヤネの姿があった。


「コタロウ様! お話終わりましたかぁ? 一緒に頑張りましょうねぇ!」


「……ああ。俺が船長だ。……行くぞ、お前ら」


俺の絞り出した声は、ブリザードにかき消された。


歴史的な共闘? 船長? そんなキラキラした名誉など、カニのハサミよりも価値がない。


ただ、俺は誓った。帰ったらセレインに、今回の危険手当として山のような海鮮丼を奢らせてやると。


(第23.5話 完)

【第23.5話:あとがき】

読んでいただきありがとうございました。


「精霊だけで行けるなら、俺は帰って寝る!」 そんなコタロウの淡いサボり計画が、精霊王の「歴史的な共闘」という綺麗事によって見事に封じ込められたエピソードでした。


今回のポイント:


• コタロウの居残り工作: 精霊だけで稼働可能な設計にしたのも、すべては「自分が行かないため」でしたが、仇となってしまいました。


• セレインの辣腕: 持ち上げることで逃げ道を塞ぐ、精霊王の高度な管理職テクニック。


• 確定した運命: 船長として、もう乗り込む以外の選択肢はありません。


さて、往生際の悪さも底をつき、いよいよ一行は「ネモ・ウォルナット号」に乗り込みます。


次回、第24話。 「ダンジョンボスが地面に固定されている理由」。 光の届かない水深500メートル。そこで待ち受けていたのは、深海の恐怖の象徴……と、その意外すぎる「おしおき」の光景でした。 次回もよろしくお願いします!


---


【作者よりお願い】


「セレイン様の圧が強すぎるw」「コタロウのサボり根性が不憫……」など、少しでも楽しんでいただけたら、ぜひブックマーク登録をお願いします!


また、下にある【☆☆☆☆☆】を**【★★★★★】**にして評価いただけると、コタロウの船長手当(海鮮丼)にイクラが追加され、彼のやる気が0.2%くらい回復するかもしれません。応援よろしくお願いいたします!

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