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カンニング・AI~Fランクの俺、カンニングで楽したい~なのにやり過ぎAIが深層ボスを倒し、自分の葬式中に英雄として帰還!ご褒美がエリートコースへの強制編入って正気ですか?俺のサボり人生を返してくれよ!  作者: とうふ
【第2.5章:学年末休み編(前半)【試験結果、従者選定・公爵家へお邪魔編・装備開発編】

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36/90

Ep.36 第20.5話:【幕間】~伝説の鍛冶屋、Fランクの「怠惰」を「革命」と勘違いして技術顧問にスカウトする~

【第20.5話 まえがき:職人の狂熱と新たな契約】

伝説の鍛冶師ガントに、俺専用の杖――いや、究極のペン回し用筆記具**【自律回転式魔導ペン(スタイラス・ワンド)】**を打たせてから数日が経った。

俺としては、第13話でネロが食い殺したボスの遺産**【重力核グラビティ・コア】と、公爵家のダンジョンでくすねた【高純度ミスリル銀】**を、一番効率的な形で消化したつもりだった。 おまけに、ガント爺さんがミスリルの欠片を一生遊んで暮らせるだけの大金に変えてくれたおかげで、俺の「サボりライフ」の基盤は盤石になった。

「(これで新学期からは、ペンを回しながら夢の中で単位が取れる……完璧だ)」

だが、俺は甘かった。 一級の素材と、AIによる異次元の設計図をぶつけられた職人が、それで満足して終わるはずがなかったのだ。 俺が寮の自室で「サボり」のシミュレーション(昼寝)に励んでいる間、職人街では、俺が投げ捨てた「理論」という名の爆弾が、とんでもない火を噴き始めていた。

【本文】

1. 孫バカ親方の再来(物理)

第20話から数日後の休日。

王立精霊学園の敷地内にある従者用宿舎の一室で、ドワーフの少女マリーは、コタロウから預かった部屋の掃除道具を丁寧に手入れしていた。


「ふふっ、ご主人様ったら。あんな凄いペンを作ったのに、やることは『枕元で回して寝るだけ』なんだから」


マリーは微笑みながら、ミスリルの粉が付着した雑巾を絞った。

その時だった。


ドォォォォン!!


部屋のドアが、ノックもなしに蝶番ごと吹き飛んだ。

爆音と共に土煙が舞い上がり、部屋の中にサウナのような熱気が流れ込んでくる。


「マリー! 我が天使マリーよ! おるか! 緊急事態じゃ!!」


土煙の中から現れたのは、岩石のような筋肉の塊。

マリーの祖父、伝説の鍛冶屋ガントだ。

彼は血走った目で仁王立ちし、両手には抱えきれないほどの巻物(図面)と、手土産の「ドワーフ産・火酒(アルコール度数90%)」、そして「マリーへのお菓子」を抱えていた。


「お、お祖父ちゃん!? どうしたの? また私を連れ戻しに……?」

マリーが身構える。

先日、工房での一件でコタロウの実力を認めたはずだが、やはり孫娘が人間に仕えるのが許せなくなったのか。


しかし、ガントはマリーを見るなりデレデレに頬を緩ませた。

「バカ言え! ワシの可愛いマリーが選んだ道じゃ、応援するに決まっておろう! ……だがな、今日来たのは別の用件じゃ。あのお方、コタロウ殿はいらっしゃるか!?」


2. 「怠惰」が生んだ「革命」


ガントはマリーの机に図面を広げ、熱弁を振るい始めた。

「あの日、あの『スタイラス・ワンド』を作ってから、ワシは興奮で一睡もできんかった! あの設計図……あれはただのペンじゃない。**魔道具製作の歴史を100年進める『革命』**じゃ!」


ガントは震える手で、コタロウ(の脳内AI)が作成し、ガントに渡した設計図の写しを指差す。


「見てみろ、この**『薄肉円筒形中空ボディ』の構造美を! 紙より薄いミスリルの多層構造……これほどの精密加工、ワシの腕があっても、コタロウ殿のあの的確な『計算指示』**がなければ不可能じゃった!」


ガントの目には、コタロウがAIを使って指示を出していた姿が、**「脳内で億単位のシミュレーションを瞬時に行い、最適解を導き出す天才」**として映っていた。


「さらに、この**『重力核グラビティ・コア』**の制御術式じゃ! 深層のボス『クリスタル・イーター』の心臓部を、あのように極小サイズに削り出し、姿勢制御に使うなど……狂気の沙汰じゃ! だが、それにより『寝転がろうが逆立ちしようが書ける』という究極の利便性が生まれておる!」


コタロウにとっては「寝ながら勉強したい」「ペン回しがしやすい」という、怠惰極まる理由で設計されたものだ。

しかし、ガントのような超一流の技術者の目には、それが**「一切の無駄を削ぎ落とした、機能美の極致」**として崇拝の対象になっていた。


「ワシは思い上がっておった……。人間になどドワーフの技は分からんと。だが違った! あのお方は、マナの流れを数値化し、論理で組み上げる**『構造解析の神』**じゃ!」


3. 鉄血工房へのスカウト


ガントはマリーの両肩を優しく、しかし力強く掴んだ。


「マリー! 頼む! 孫のよしみじゃ、ワシの仲介をしてくれ!」

「ちゅ、仲介?」


「コタロウ殿に……我が『鉄血工房』の**【最高技術顧問テクニカル・コンサルタント】**に就任していただきたいんじゃ!」


ガントは真剣そのものだった。

「ワシの工房は歴史がある。だが、それゆえに技術が凝り固まっておる。コタロウ殿の『常識に囚われない合理的思考』と、あの神がかった『計算能力』があれば、ワシらはもっと凄いものが作れる!」


「契約金は言い値で払う! 工房の利益の半分を渡してもいい! だから頼む、あのお方の『知恵』をワシらに貸してくれぇぇ!」


4. 孫娘の困惑と、最強の「供物」


マリーは冷や汗をかいた。

彼女は知っている。主人は「構造解析の神」などではなく、ただの「サボり魔」であることを。

そして何より――


(ご主人様……こないだお祖父ちゃんがミスリルの欠片を高く買い取ってくれたおかげで、一生遊んで暮らせるだけの大金を持ってるんだよね……)


マリーは言いにくそうに口を開いた。

「あのね、お祖父ちゃん。ご主人様はすごく忙しいの(主にお昼寝とか、プリンの食べ比べとか)。それに、先日お祖父ちゃんが大金を払ってくれたから、もうお金には困ってないの。だから、お仕事は引き受けないと思うよ?」


「なんと! ……そうか、金では動かぬか。さすがは神の領域に達したお方じゃ」


ガントは一瞬感心し、すぐにニヤリと職人の笑みを浮かべた。

「ふふふ、そう言うと思ってな。ワシもただの手ぶらでは来んわ! コタロウ殿の『欲望』を満たすための試作品を持ってきた!」


ガントは背負っていた巨大な風呂敷包みを、ドサリと床に下ろした。


- 『装着するだけで筋肉がつく・微弱電流インナー(EMSスーツ)』

「動くのが面倒? ならば着るだけでいい! 寝ている間にマナ電流が筋肉を刺激し、朝起きたらムキムキじゃ!」

- 『全自動追尾型・草刈り鎌(ルンバ機能付き)』

「庭の草むしりが嫌い? こいつを放っておけば、勝手に雑草だけを刈り取って戻ってくる!」


そして、ガントが最も自信満々に取り出したのがこれだ。


- 『思考連動型・寝たままレポート執筆枕(自動筆記アーム付き)』

「これぞ傑作! 枕に頭を乗せて寝るだけで、微弱なマナ波形(思考)を読み取り、横にある機械式アームが勝手にレポートを書き上げる! 机に向かう必要などない、夢の中で論文が完成するんじゃ!」


「コタロウ殿が『レポート書くの面倒くせぇ』と呟いていたのをヒントに作った。金で動かぬなら、この『快適さ』でどうじゃ!」


マリーはそれらのアイテムを見て、遠い目をした。

そして、確信した。


(……あ、これ。ご主人様が見たら、嬉し泣きして即契約しちゃうやつだ)


5. 結末:技術革新の足音


結局、ガントは「コタロウ殿に会うまでは帰らん!」と座り込みを始めたが、寮監に見つかりそうになったため、マリーが必死に追い返した。

しかし、彼は諦めずに「技術提携の提案書」と「怠惰グッズの山」を、コタロウの部屋の前に置いていった。


翌朝。

部屋から出てきたコタロウは、ドアの前に積まれた『謎の供物』を発見した。


「……なんだこれ? 『自動草刈り機』? ……えっ、**『寝たままレポート執筆枕』**だと!?」


コタロウが震える手でその枕を抱きしめる。

「金があっても課題は減らない……俺が一番欲しかったのはこれだ……! これさえあれば、地獄の課題地獄から解放される……!」


コタロウが恐る恐る提案書を読む。

『これらを献上する代わりに、技術顧問としてアイデアをください。面倒な会議は不要。設計図をたまに見せてくれるだけで結構です。――鉄血工房 親方ガント』


コタロウの目が、ミスリルを見つけた時以上に輝いた。


「神か……? 俺の求めていた『怠惰な生活』を支える技術力が、向こうからやってきたぞ!」


コタロウは即座に、提案書の「承諾」欄にサインをした。

「よし、契約だ。これで面倒なレポートも筋トレも、全部アウトソーシングできる!」


こうして、王都最高の鍛冶屋が率いる工房が、コタロウの(AIによる)技術提供を受ける未来が確定した。

それは後に、王国の魔導技術が飛躍的に進化し、**「王都産業革命」**と呼ばれる歴史的転換点となるのだが、当のコタロウ本人は「これで便利グッズが作り放題だ!」としか思っていなかった。


技術顧問料として毎月振り込まれる莫大な契約金(とマリーへのお小遣い)が、さらに彼の「平穏な生活(目立たない)」を困難にしていくことに、彼はまだ気づいていなかった。


(第20.5話 完)

お読みいただきありがとうございます!


「怠惰を極めれば、世界が回る」。 コタロウのサボりへの執念が、ついに王都に「産業革命」の足音を響かせ始めました。


今回のポイントを振り返ると:


最高技術顧問就任: 本人は「アイデアを横流しするだけ」のつもりですが、周囲は「構造解析の神」と崇めています。この認識のズレがたまりません。


究極の怠惰グッズ: 『寝たままレポート執筆枕』。これこそ現代社会、そして学園都市アストルム・ルミナの全学生が最も必要としているアーティファクトではないでしょうか。


資本主義の勝者: ミスリルの欠片一つで一生遊んで暮らせる財力を得たコタロウ。


金、技術、そして自由。すべてを手にしたコタロウが次に求めるのは、当然**「最高のバカンス」**です。


燦々と太陽が照りつける夏まっただ中の学園都市アストルム・ルミナ。その暑さから逃れるべく、コタロウは南国の太陽とビキニの美女を夢見て「アズール・オーシャン・リゾート」へと旅立ちますが……。 残念ながら、ここは「勘違い」が加速する世界。 彼が馬車の扉を開けた瞬間に待ち受けているのは、期待した「熱風」ではなく、魂まで凍てつかせる「極寒の現実」でした。


次回より、いよいよ**【北方リゾート、海底神殿編】**が開幕します!


【次回予告】

第21話:勘違いのバカンス出発:ハワイだと思ったらシベリアだった


「ハロー、サマーバカンス!!」 意気揚々と馬車を飛び出したコタロウを襲う、マイナス15度の殺人的ブリザード。 そこはヤシの木どころか、流氷がひしめく絶望の銀世界でした。


震えるコタロウ、サングラスが寒さで爆散。


学園長の密命「水の精霊王セレインへの挨拶」。


そして、氷の下に眠る「海底神殿」の不穏な影。


コタロウのバカンスは、初手から「生存戦略」へと強制変更されます。 次回もよろしくお願いします!


【作者からのお願い】 第2.5章(前半)を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました! 学園都市アストルム・ルミナを離れ、極寒の地へと突き進むコタロウの受難を応援してくださる方は、ぜひブックマークや、下の評価欄から**【★★★★★】**をいただけると嬉しいです。 皆様の星の数だけ、コタロウの防寒着の厚みが増し、AIのヒーター出力が上がります!

【第2.5章 学年末休み編(後半)【北方リゾート、海底神殿編】へ続く(第21話へ)

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