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カンニング・AI~Fランクの俺、カンニングで楽したい~なのにやり過ぎAIが深層ボスを倒し、自分の葬式中に英雄として帰還!ご褒美がエリートコースへの強制編入って正気ですか?俺のサボり人生を返してくれよ!  作者: とうふ
【第2.5章:学年末休み編(前半)【試験結果、従者選定・公爵家へお邪魔編・装備開発編】

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Ep.34 第19.5話:【幕間】氷の策士と影の公爵~Fランクのサボり魔、国家転覆を狙う黒幕と勘違いされる~

【第19.5話:まえがき】

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回、第19話では、公爵家のダンジョンにて**「物理的説得(ビートによる恫喝)」と「AIによる構造解析」**を駆使し、見事に高純度ミスリルをゲットしたコタロウ。 最後にネロからの重すぎる愛(殺意)を受け取りつつも、彼はホクホク顔で帰路につきました。

しかし、彼のその「常識外れな解決能力」は、ある人物の目には全く別の意味を持って映っていたようです。

今回の第19.5話は、視点を変えた幕間インターミッション。 コタロウの行動を深読みしすぎた「賢すぎる次女」クラウディアと、王国の闇を統べる「影の公爵」による、シリアスな会議の様子をお届けします。

本人はただ楽をしたいだけなのに、周囲の評価が勝手に「国家転覆レベルの危険人物」へと爆上がりしていく……。 アンジャッシュ的なすれ違いが生む、勘違いコメディ(当人たちは至って真面目)をどうぞ!

【本文】

1. 父の「感謝」と、娘の「疑念」


第19話での「公爵家ダンジョン・ピクニック(強制労働)」騒動から数日後。

ルミナス公爵家の領地にある本邸、その最も豪華な執務室では、あまりにも平和ボケした光景が繰り広げられていた。


「おお、そうだ! コタロウ君は採掘が好きだと言っていたな。あの『土魔法(恫喝)』の見事な手際……まさに職人芸だった! では、次のお礼にはドワーフの国宝級アイテム『オリハルコン製のツルハシ』を取り寄せて贈ろうか!」


上機嫌でカタログをめくり、ニコニコと独り言を呟いているのは、この屋敷の主であり、クラウディアの父である**ルミナス公爵(現当主)**だ。

彼は、娘と領地を「暴風」から救われ、さらに「放置されていた鉱山」を再稼働させてくれたコタロウに対し、完全に心を許していた。

彼の中でのコタロウ像は、「無欲で謙虚、かつ働き者の英雄」として神格化されつつある。


「……お父様。少し、落ち着いていただけますか」


その様子を、部屋の隅にある影の中から、氷のような冷ややかな目で見つめる少女がいた。

公爵家の次女、クラウディア・ルミナスだ。

銀色の美しい縦ロールの長い髪に、理知的な銀縁眼鏡。王立精霊学園の生徒会副会長を務める彼女は、ため息交じりに父を諌めた。


「彼にこれ以上の報酬は不要です。すでに『ミスリル』という破格の富を持ち帰っているのですから」


「何を言うんだクラウディア。彼は命の恩人だよ? それに見てごらん、この報告書を。彼が去った後、鉱山の精霊ノームたちが『働きます! 死ぬ気で働きますから燃やさないで!』と叫んで、生産性が3倍になったんだ。これは彼の人徳だよ」


「……人徳、ですか」


クラウディアは眼鏡の位置を直しながら、冷徹に内心で吐き捨てた。

(……駄目ね。お父様は完全に『籠絡』されているわ)


父は人が好すぎる。

根が善人であるがゆえに、コタロウが見せた異常な現象――「暴風の中での精密投擲」や「精霊を恫喝しての高速掘削」を、すべて「聖女アヤネ様の奇跡」や「彼独特のユーモア」として、好意的なフィルターを通して解釈してしまっている。


だが、クラウディアの「策士」としての直感と知性は、警鐘を鳴らし続けていた。

――あれは、そんな生温かいものではない、と。


(Fランクの生徒が、物理法則を無視して事態を解決する? ありえない。彼はもっと底知れぬ『何か』を隠している。お父様のような善人には、あの男の『本性(闇)』は見抜けない)


もしコタロウが、善人の仮面を被った国家転覆レベルの工作員だとしたら?

もし彼が、無能なFランクを演じながら、公爵家ルミナスの資産と権力を内部から乗っ取るために近づいてきたとしたら?


このまま父が彼を重用すれば、ルミナス家は彼に食い荒らされる。

姉(長女・生徒会長)も、父も、誰も気づいていない。私だけが、あの男の危険性に気づいている。


(あの男の化けの皮を剥ぐには、お父様では話にならない。……毒を以て毒を制す。あの男と同じくらい『冷徹』で『権謀術数』に長けた人間に、協力を仰ぐしかない)


クラウディアは決意を固め、きびすを返した。


「……失礼します、お父様。少し、王都へ戻りますわ」

「おや、そうかい? 気をつけてな」


父の能天気な声に背を向け、彼女は歩き出した。

向かう先は、光溢れる父の部屋ではない。

王都の影に潜む、もう一人の「ルミナス公爵」――冷酷なる叔父の元へ。


2. 影の支配者


王都の中心、王城のさらに奥深くに位置する、地図にない区画。

鬱蒼とした森に囲まれたその場所には、「黒の離宮」と呼ばれる古びた洋館が佇んでいる。


表向きは王族の別荘だが、その実態は、この国の「闇」と「諜報」、そして「暗殺」までも統括する影の宰相――ヴァルド公爵の根城である。


ヴァルドは、クラウディアの父(現当主)の実弟であり、第1話で自身の保身しか考えていなかった愚王レジナルドの弟でもある。

しかし、兄二人とは異なり、彼は冷徹な知性と、王座すら狙える野心を秘めた、真の実力者だった。


深夜の執務室。

重厚なマホガニーの机には、数多の密偵から寄せられた報告書が山積みにされている。


「……兄上(国王)も、私の兄(当主)も、揃いも揃って耄碌もうろくしたか。どいつもこいつも、Fランクのゴミを『英雄』と崇めおって」


ヴァルドは、手にした報告書をロウソクの火にかざし、燃え落ちる灰を眺めながら低い声で呟いた。

その目の前に、クラウディアが静かに佇んでいる。


「お久しぶりです、叔父様」

「……クラウディアか。何の用だ? 父(当主)への告げ口なら聞かんぞ。私はあの甘い男が大嫌いなのでな」


ヴァルドは琥珀色の酒をグラスに注ぎながら、姪を一瞥もせずに言った。

だが、クラウディアは動じない。むしろ、その冷徹な態度こそが、今の彼女には必要だった。


「叔父様。感情的になるのは時間の無駄です。私は告げ口に来たのではありません。『危機管理』の提案に来たのです」


クラウディアは冷淡に告げた。

「お父様はコタロウに恩義を感じて、目が曇っています。ですが、私は違います。あの男……神木コタロウは、我々の想定したシナリオをことごとく破壊し、王国のパワーバランスすら崩しかねない『特異点』です」


「ほう? たかがFランクの生徒一人がか?」

「ええ。侮れば、我々ごと飲み込まれます」


3. 賢すぎる次女の「深読み(誤読)」


クラウディアは指を鳴らし、空中に極秘に入手した魔法映像ホログラムを展開した。

そこには、第18話でコタロウが暴風の中へ魔石を投擲したシーンや、第19話で岩盤をくり抜いた痕跡データ、そして第15話の深層ボス討伐の断片的な映像が映し出されている。


「叔父様、この男の動きを見てください」

彼女が映像を拡大し、熱っぽく解説を始める。彼女の知性が、皮肉にも事態をより複雑な陰謀論へと昇華させていく。


「一見、無茶苦茶で、運任せの行動に見えます。ですが……ここです」


クラウディアが指差したのは、コタロウが魔石を投げる直前、一瞬だけ目を細めたシーンだ。


「風速80メートルの乱気流。視界ゼロの暴風圏。その中で彼は、風の裂け目が生じる瞬間を0.01秒単位で視認し、針の穴を通す精度で魔石を投じました。風魔法による補正はありません。純粋な『読み』と『投擲技術』だけで、自然現象をねじ伏せています。……これは、弓聖クラスの『未来予知』に近い演算能力がなければ不可能です」


ヴァルドが興味深そうに眉を上げる。

「肉体強化魔法か? あるいは、魔眼の類か?」


「いいえ。魔力痕跡が『異質』なのです」

クラウディアの眼鏡が怪しく光る。

「第19話の採掘現場も同様です。彼は土の精霊ノームを使役しましたが、その命令権限の強制力は、通常の契約魔法を遥かに凌駕しています。精霊が『死の恐怖』を感じて働くなど、精霊魔法のことわりに反します」


もちろん、事実は「AIによる物理演算」と「ヤンキー精霊ビートによる物理的な恫喝」なのだが、深読みしすぎる策士の目には、コタロウが「未知の力を行使する怪物」に見えていた。


「結論を言います。この男はFランクではありません。Fランクという『無害な皮』を被った、国家級の戦略魔導師……あるいは、他国が送り込んだ『潜入工作員スリーパー・エージェント』です」


「……なるほど」

ヴァルドはグラスを揺らし、氷の音を鳴らした。

「兄(当主)は、まんまと騙されているわけか。平和ボケしたルミナス家を、内側から食い破るために送り込まれた寄生虫……面白い」


「ええ。このままでは、ルミナス家だけでなく、叔父様の『計画』にも支障が出るでしょう。奴は、こちらの意図を察知した上で、あえて道化を演じて我々を嘲笑っているのです」

(※注:コタロウは何も考えていません。ただ楽をしたいだけです)


4. 取引成立と、政経占星術学部への道


ヴァルドは立ち上がり、窓の外の月を見上げた。その背中には、冷酷な支配者のオーラが立ち上っている。


「で、どうするつもりだ? 暗殺するか? 私の手駒を使えば、今夜にでも首を持ってこれるぞ」


「いいえ、それは下策です」

クラウディアは首を横に振った。

「奴の実力は未知数。中途半端な手出しは、逆にこちらの手の内を晒すことになります。それに、お父様や聖女アヤネが彼を擁護している以上、明確な『証拠』なしに排除すれば、私が悪者になります」


クラウディアは一歩前に進み出る。その瞳には、獲物を狩る捕食者の光が宿っていた。


「叔父様。取引をお願いします」

「言ってみろ」


「第2学年進学後に行われる、各国合同の『学園対抗祭(魔法オリンピア)』。この運営権限および、対戦カードの編成権を、すべて私に委任してください。そして――」


彼女は妖艶に微笑んだ。

「王家の宝物庫に眠る**『Sランク指定魔道具アーティファクト』**の使用許可を」


ヴァルドが振り向く。

「禁忌の魔道具を使うつもりか? たかが学生の試合で」


「ええ。通常の試験では、彼も警戒して手を抜き、のらりくらりと躱すでしょう。ですが、他国のエリート校も参加する『対抗戦』という大舞台……そこで想定外の『事故』が起き、仲間の聖女に危機が迫れば、彼は本気を出さざるを得なくなる」


「奴の本性を、衆人環視の中で暴き出すつもりか」


「はい。その時こそ、彼を断罪し、あるいは……」


ヴァルドはしばらく沈黙した後、机の引き出しから、古びた一本の黒い鍵を取り出し、テーブルに滑らせた。

チャリ、と重い金属音が響く。


「よかろう。好きに使え。ただし、条件がある」

ヴァルドの声が低く、重くなる。


「その男の『力』が本物なら……殺すな。化けの皮を剥ぎ、心を折り、首輪をつけて……私の飼い犬にしろ」


「……飼い犬、ですか?」


「そうだ。兄上(国王)は無能だ。いずれ私がこの国を正しく導かねばならん。そのためには、聖女を手懐け、裏の汚れ仕事を完璧にこなす『最強の駒』が必要だ。……神木コタロウ、奴を私の手足として作り替えろ」


「……御意に」


クラウディアは鍵を手に取り、恍惚とした表情を浮かべた。

だが、ヴァルドの話はそれで終わりではなかった。


「それともう一つ。クラウディア、お前の進級についてだ」

「はい?」


ヴァルドは冷ややかな瞳で姪を見下ろした。


「2年生からは、精霊学部(Sクラス)を離れろ。あそこは聖女だの精霊だの、感情と直感で動く愚か者の巣窟だ。お前の知性を腐らせる」


彼は一枚の辞令書を提示した。


「**『政経・占星術学部』**へ進学しろ。 政治経済によって人心と金を支配し、占星術によって未来と戦局を予測する。 支配者に必要なのは、精霊の加護ではない。『統率』と『先見』だ」


クラウディアは一瞬目を見開いたが、すぐに深く頭を下げた。


「……仰る通りですわ、叔父様。 コタロウという不確定要素、そして聖教会や他国の思惑が絡むであろう『対抗戦』……。 この盤面を支配するには、精霊使いとしてではなく、**『支配者ルーラー』**としての力が必要ですものね」


「理解が早くて助かる。お前には次期公爵として、私の覇道を支えてもらうぞ」

「光栄ですわ。……フフフ、占星術でコタロウの全ての行動パターンを読み切って差し上げます」


彼女は不敵に笑った。

こうして、クラウディア・フォン・アウステリスは、2年生にして**「政経・占星術学部」**の首席となり、学園の支配権を握る準備を整えたのだった。


5. 嵐の前のくしゃみ


一方その頃、王立精霊学園の男子寮。


「……ハックション!!」


盛大なくしゃみが、静かな部屋に響いた。

「うわっ、コタロウくん大丈夫? 鼻水出てるよ」

遊びに来ていた聖女アヤネが、ティッシュを差し出す。


「……いや、なんかまた寒気が。……誰か俺のこと、過大評価してないか? それに、なんだか嫌な予感がする。……もっとこう、国とか宗教とか、面倒くさい連中が絡んでくるような……」


コタロウは鼻をかみながら、カンニング・AIが自動作成した「ミスリル加工ペン設計図」のホログラムを操作していた。

第19話で手に入れた大量のミスリル。これを使えば、究極の「全自動・宿題片付けマシーン」が作れるはずだ。


「ま、気のせいか。夏休みも終わったし、対抗戦までは地味に過ごそうぜ」

「うん! 私も応援団の練習、頑張るね!」


彼はまだ知らない。

自分が「ただのサボり魔」から「国家転覆を狙う闇のフィクサー」へと、評価が勝手にジョブチェンジしていることを。

そして来るべき第4章の大イベントが、**「聖教会」の介入や、賢すぎる次女による「禁忌アーティファクト」の投入によって、単なる学生の試合を超えた「魔法オリンピア(代理戦争)」**へと変貌しようとしていることを。


机の上に置かれたミスリルの原石が、不吉な月明かりを浴びて、鈍く光っていた。


(第20話へ続く)

【第19.5話:あとがき】

読んでいただきありがとうございました! 今回は視点を変えた幕間劇、いかがでしたでしょうか。

「奴はFランクの皮を被った怪物です」 ……いいえ、ただの重度のサボり魔です。

クラウディア様の「曇りなきまなこ」が、見事なまでに節穴……もとい、超高性能なフィルターを通したことで、コタロウの評価が勝手に「SSSランク指定工作員」にまで爆上がりしてしまいました。 彼女の知性が高すぎるゆえに、「ただのペン回し」を「未来予知演算」と定義してしまうあたり、もう手遅れ感があって素晴らしいですね。

今回の注目ポイント:

• ルミナス公爵(父): 完全にコタロウを「働き者の英雄」として崇拝。

• クラウディア: 政治経済と占星術でコタロウを「ハメる」ために、ガチ勢へと転科。

• ヴァルド公爵: クラウディアの叔父であり、王国の影の宰相。物語の黒幕の一人であるヴァルド・フォン・ルミナス公爵。 王国の闇を統べるラスボス候補が、学生一人に「首輪」をつけようと画策。


本人は「睡眠学習で単位を取りたい」だけなのに、周囲では「Sランク魔道具」や「国家のパワーバランス」といった不穏な単語が飛び交っています。次回、第4章の『魔法オリンピア』は、コタロウが知らないうちにハードモード確定の予感です。

さて、そんな陰謀など露知らず、コタロウはいよいよ「夢のサボりアイテム」の製作に着手します!


【次回予告】

第20話『早速、ドワーフ従者の実家に突撃して、スタイラス(重力核埋込式)を発注した』

手に入れた最高級ミスリルと、深層ボスの心臓「重力核」。 これらをリュックに詰め込み、ドワーフのマリーの実家「鉄血工房」へ!

「剣などいらん。俺が欲しいのは、最強のペンだ」

頑固職人の魂と、カンニング・AIの変態的設計図が交差する時、世界を揺るがす(かもしれない)究極の筆記具が爆誕します。 ……果たして、本当に「寝ながら勉強」は成功するのか!?

次回もよろしくお願いします!

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