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カンニング・AI~Fランクの俺、カンニングで楽したい~なのにやり過ぎAIが深層ボスを倒し、自分の葬式中に英雄として帰還!ご褒美がエリートコースへの強制編入って正気ですか?俺のサボり人生を返してくれよ!  作者: とうふ
【第2.5章:学年末休み編(前半)【試験結果、従者選定・公爵家へお邪魔編・装備開発編】

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Ep.33 第19話:お礼は「公爵家専用ダンジョン」の入場券。ツルハシを持って採掘(ピクニック)へ

【第19話:まえがき】

いつもお読みいただきありがとうございます!


前回、第18話では、暴風吹き荒れる公爵邸の危機を、まさかの「ゴミ箱シュート(廃棄投擲)」スキルで解決してしまったコタロウ。 魔法世界の常識を物理とAI演算で粉砕するその姿は、周囲の目には「未知の力を行使する英雄」として焼き付いてしまいました。


さて、今回の第19話は、待ちに待った**「報酬タイム」**です! 公爵から「金貨でも別荘でも好きなものを」と言われたコタロウが選んだのは、誰も欲しがらない「閉鎖された岩山ダンジョン」への入場券でした。


目的はもちろん、愛用のペンを復活させるための「ミスリル」入手。 ツルハシ片手にピクニック気分で挑むコタロウですが、そこで待ち受けていたのは「鋼鉄の岩盤」と「ひねくれ者の土精霊」。

そして、鉱脈の奥深くに眠っていた「新たな相棒」との出会い――。


コタロウ流の交渉術(という名の恫喝)と、新たな精霊の登場でさらに騒がしくなる採掘回をお楽しみください!

【本文】

1. 公爵家のティータイムと、異例の報酬


暴風騒動が解決した直後の、ルミナス公爵邸・応接室。

最高級の紅茶の香りが漂う中、俺たちは優雅なティータイムを過ごしていた。


「――改めまして。コタロウ様、そして皆様。この度は我が家の危機を救っていただき、本当にありがとうございました」


クラウディアが深々と頭を下げる。

その横では、公爵(クラウディアの父)も涙ながらに感謝を述べていたが、今は「娘の命の恩人」というフィルターがかかっているため、俺を見る目がやたらと熱い。


「それで、お礼の話なのだが……。金貨1万枚でも、王都の一等地にある別荘でも、好きなものを言ってくれ。君たちの功績にはそれだけの価値がある」


公爵の太っ腹な提案に、モモが「金貨!? 肉が死ぬほど買えるぞ!」と目を輝かせ、アヤネが「そ、そんな大金……」と恐縮している。

だが、俺の目的は最初から決まっている。


「いえ、お金も地位もいりません。俺が欲しいのは一つだけ」


俺はテーブルに置かれたクッキーをつまみながら、窓の外に見える裏山――公爵領の敷地内にある岩山を指差した。


「あの裏山にある**『公爵家専用ダンジョン』**への、一度きりの入場許可。それだけでいいです」


「は……?」

クラウディアと公爵が同時に固まった。


「ダンジョン……って、あそこの『未開の岩窟』のこと? いや、確かに入場制限はかけているけれど……」


クラウディアが困惑したように説明する。

あそこはダンジョンといっても、モンスターが出るような場所ではない。ただひたすらに硬い岩盤が続く、天然の地下迷宮だ。かつては希少金属が出ると噂されたが、あまりの岩盤の硬さに採掘コストが見合わず、今では放置されている「閉鎖鉱山」なのだという。


「あそこの岩盤は『鋼鉄岩アダマンタイト・ロック』と呼ばれる特殊な地層よ。。「鋼鉄岩」のモース硬度は 9.0〜9.5 前後 って、熟練のドワーフが専用のツルハシを使っても、1日掘り続けて数センチ進むのがやっとだわ。学生が遊びに行くような場所じゃないわよ?」


「構いません。ちょっとピクニック気分で洞窟探検がしたいだけなんで」


俺が涼しい顔で言い切ると、クラウディアは「……相変わらず、何を考えているか分からない人ね」と溜息をつき、許可証にサインをしてくれた。


「好きにするといいわ。でも、怪我だけはしないでね」


2. ドワーフの誇りと、絶望的な岩盤


翌朝。

俺たちは動きやすい服装に着替え、裏山のダンジョン入口に立っていた。

メンバーは俺、モモ、アヤネ。そして、案内役兼荷物持ちとして、ドワーフのマリー。

さらに、モモの従者ニーナが作ってくれた大量のお弁当を持っている。完全にピクニックだ。


「ここが『鋼鉄岩』の鉱脈……。噂には聞いていましたが、見るのは初めてです」

マリーが緊張した面持ちで、愛用のツルハシ(マイ・ツルハシ)を握りしめている。

「ご主人様、本当にここを掘るんですか? ドワーフ族の間でも、ここは『職人泣かせの墓場』と呼ばれていて……もし本気で掘るなら、発破用の爆薬と1ヶ月分の食料が必要です」


「1ヶ月もかけたら夏休みが終わっちまうよ。今日中に終わらせる」


俺は予備の安物鉛筆(HB)をポケットから取り出し、指先でクルクルと回した。


「(カンニング・AI、スキャン開始)」


【AI】 『未開の岩窟』の地質データベースへのアクセスを実行中...


- 地形: 深度500mまで続く高密度岩盤。

- ターゲット: 地下30m地点に、純度99.9%の**【ミスリル鉱脈】**反応あり。

- 障害: 岩盤硬度A+。物理攻撃・通常魔法による掘削は極めて非効率。


「地下30メートルか。マリーの言う通り、まともに掘ったら年が明けるな」


「ですよね!? なので、今日は入り口付近で水晶でも拾って帰りませんか?」


マリーが安堵の表情を見せるが、俺は首を横に振った。


「いや、ここからは俺のやり方(Fクラス流)でいく」


俺はダンジョンの壁に手を当てた。

ひんやりとした岩肌からは、拒絶するような硬さが伝わってくる。


「出てこい、そこに隠れてるんだろ?」


俺が鉛筆でコンコンと壁を叩くと、岩の隙間からモゾモゾと何かが現れた。

頭にツルハシのような角を生やし、薄汚れた作業着のような姿をした、岩石の精霊だ。


【土の精霊ノーム:ディグ】

日当たりが悪いダンジョンで育ったため、性格がねじ曲がっている野生種だ。


『ケケッ! なんだ人間。ここは俺様、ディグ様の縄張りだぞ。通行止めだ。俺様の許可なく土は動かせな――』


ディグが偉そうに腕を組んだ瞬間。

俺の脳内でカンニング・AIが冷徹な指令を出した。


【AI】 交渉モード:恫喝(インテリヤクザ風)


- 提示条件: 「協力すれば、モモのリュックに入っている『最高級腐葉土(学園の実験農場製)』をやる」

- 脅迫: 「拒否すれば、モモの相棒ビートに頼んで、この巣穴をマグマでサウナ状態にする」


俺はAIの指示通り、鉛筆を回しながらディグにニッコリと微笑みかけた。

「なぁディグ君。学園の実験農場で、精霊たちの協力のもと作られた『極上の腐葉土』があるんだが……協力するか? それとも……熱いのがお好きか?」


「ん? 姐さん、コイツ焼いていいのか?」


モモの肩から、真っ赤なトカゲが飛び出した。**パリピ精霊【ビート】**だ。

『Hyahhaaa! 湿気た野郎だなぁおい! 俺のパッション(業火)でBBQにしてやるよ! Say Fire!!』

ビートがサングラスを光らせて威嚇する。


『ヒ、ヒィィッ!! サラマンダー!? しかも一番ヤバいパリピ種!?』


ディグは炎の熱気とビートの陽キャオーラに怯え、一瞬で土下座した。

『勘弁してほしいッス! 協力するッス! なんでも仰ってくださいッス、アニキ!』


交渉成立だ。


3. 物理法則を無視した「地獄の強制労働」


「よし、アヤネは後ろで見ててくれ。モモ、ビートは現場監督を頼む」


「おう! 任せろ!」


『All right! 監督なら任せるッス! サボったら即キャンプファイヤーっすよ!』


俺は鉛筆を構え、空間に魔術式を描き始めた。

といっても、複雑な詠唱などしない。俺がやるのは**【フリック入力】**によるコマンド記述だ。


「(ターゲット、前方直径2メートルの岩盤。ディグの権限を強制上書き……)」

Execute Command:

Subject: Earth (Soil/Rock)

Assistant: Gnome "Dig"

Attribute: Softness = 100% (Tofu Level)

Gravity: Reverse (Upward)


「いっけぇ! ディグ, そこをほぐせ! 【土壌軟化アース・ソフナー・極】!」


俺が鉛筆を振ると、ディグが岩盤に取り付いた。

『は、はいッス! 柔らかくするッス……うおおお!』

カチンコチンだった鋼鉄岩が、見る見るうちに湿り気を帯び、プルプルと震え始めた。


「よし、そのまま掘り進め!」


『りょ、了解ッス! でもこの岩, めちゃくちゃ硬くてマナ消費が……休憩を……』


ディグが弱音を吐いた瞬間。

ゴォォッ!

背後からビートが猛烈な炎を放ち、ディグの尻を炙った。


『Atsuuuuu!! 熱いッス! 焦げるッス!』


『Hey Hey Heeeey! テンポ落ちてるぜ兄弟ブラザー!』

ビートがディグの周りを高速で旋回し、煽り立てる。

『休むとかありえねぇ! ここはダンスフロアだぞ! 止まる奴は灰になるだけだ! Move your body!!』


『ヒィィィ! やるッス! やるから燃やさないでぇぇ!』


ディグは泣きながら、猛烈な勢いで岩盤を掘り返し始めた。生存本能が限界を超えた作業速度を生み出している。


ズズズズズ……!

柔らかくなった岩盤(もはや泥)が、重力操作によって天井へ剥がれ、トンネルが爆速で開通していく。


「な、な、なんですかこの光景はぁぁぁ!?」


マリーが絶叫した。

「精霊が……脅されて働いている……!? これは契約じゃありません! ただのブラック労働です!」


「人聞きが悪いな。これは『熱血指導』だよ」


俺は涼しい顔で鉛筆を回し続ける。

予備の鉛筆なので負荷をかけすぎないよう慎重だが、マナ消費の9割はディグに押し付けているので俺は楽ちんだ。


4. ミスリルの核と、錆びついた立方体


地下30メートル地点。

ディグが最後の岩盤を涙ながらに粉砕した先に、青白く、神々しい輝きを放つ鉱脈が現れた。


『つ、着いたッス……! 生きてる……俺、生きてるッス……』


ディグが地面に崩れ落ち、灰のように真っ白になっている。

その鉱脈の中央、最も純度が高い結晶の中に、不自然に四角い「何か」が埋まっていた。


「……なんだ、これ?」


俺が拾い上げたのは、手のひらサイズの、複雑な歯車が噛み合った**「ルービックキューブのような金属塊」**だった。

表面はひどく錆びつき、動きが止まっている。


【AI】 鑑定結果

- 付喪神つくもがみ種の精霊を検知。

- 状態: 重度の「整備不良」。物理的駆動がロックされています。


「マリー、これ直せるか?」


「え、あ、はい! 任せてください! 職人の血が騒ぎますぅ!」


マリーが鞄から**「錆取りスプレー」**とオイルを取り出し、慣れた手つきで磨き上げた。

シュッ! 磨くこと数分。

カチッ、カチカチッ……!


「……ふぁ~あ。どこのどいつじゃ、ワシの安眠を妨げるのは」


金属塊がひとりでに回転を始め、不機嫌そうな声を発した。


【機巧の精霊:ギア(ギア爺)】

『おぬしか、若造。……ほほう、魔力はゼロ、筋肉は整備不良のポンコツボディ。だが……頭の中には面白いOS(AI)を積んどるようじゃな』


ギアは一瞬で俺の脳内のAIを検知し、ニヤリと歯車を鳴らした。

『いいじゃろう。そのOSの演算、ワシの「筋肉」で形にしてやろう。契約じゃ!』


ガシャン! ガガガッ!

ギアの体が複雑に展開し、俺の腕や脚に絡みついた。

それは、スチームパンク風の無骨な**「パワードスーツの骨組み(外骨格)」**へと変形し、俺の肉体を外側からガッチリと固定した。


「うお!? なんだ、勝手に体が……!」


『【強制駆動パワー・アシスト】開始じゃ! 若造、そのミスリル原石を全部担げ! 効率よく運ぶぞい!』


「わあああ! 重い! でも勝手に足が動くぅぅぅ!」


俺はギア爺に操られる操り人形のように、猛烈な速さでミスリルを回収し、地上への階段を駆け上がっていった。


5. 影からの視線と、不思議な許容


地上へ戻ってきたのは夕暮れ時だった。

俺はギア爺の強制労働(時速60kmでの往復運搬)のせいで、全身がミシミシと悲鳴を上げている。


「……ハァ、ハァ……死ぬかと思った……」


『カッカッカ! いい運動じゃったな! メンテナンスさえ怠らねば、次はこの1.5倍は出せるぞい』


ギアが立方体に戻り、俺の肩の横でプカプカと浮いている。

そこへ、地面にへたり込んでいるディグの前にしゃがみ込んだ。


「ありがとな、ディグ。約束の報酬と……これは詫びだ」


俺はディグに腐葉土を渡し、さらに**【高純度魔力結晶マナ・キャンディ】**を投げ渡した。

ディグがそれを受け取ろうとした、その瞬間だった。


ゾクッ。


気温が下がったわけではない。

物理的な寒さではない悪寒が走り、影が泥のように蠢いた。


『……コタロウ?』


影の中から、**闇の精霊【ネロ】**が現れた。

『なんで……そんな虫ケラに、ボクのごマナをあげてるの? 浮気? 死んで?』


影が牙を剥き、ディグを飲み込もうとした時。

ネロの金色の瞳が、俺の隣で浮いている**「ギア」**を捉えた。


ディグは「ひぎぃぃ!」と泡を吹いて気絶したが、ネロはギアの前で動きを止めた。

ギアは平然と歯車を鳴らし、「なんじゃ、お嬢ちゃん。ワシの歯車に油でもさしてくれるのか?」と不遜に言い放つ。


ネロはギアをじっと見つめ、クンクンと匂いを嗅ぐような仕草を見せた後――。

ふいっ、と興味を失ったように顔を背けた。


『……ふん。いいよ、その「ガラクタ」は』


「(えっ、許された!?)」


『それはただの「骨組み」。コタロウを支えるための「台座」でしかない。……ボクの場所を奪わないなら、置いておいてあげてもいいよ』


どうやらネロの中で、ギアは「生き物」や「女性」としてのカウントではなく、ただの**「便利な道具」**として処理されたらしい。


『でも、今夜は覚悟してね? 虫ケラに浮気した分、たっぷり「お仕置き」してあげるから……うふふ』


影は静まり返った。

俺はその場に立ち尽くし、深いため息をついた。


「……ミスリルより重いもん背負っちまったな」


公爵邸を後にする俺の背中には、リュックの重みとは別に、ギアという名の「外骨格」と、ネロという名の「重い愛」が張り付いていた。素材は揃った。次は「究極のペン」の製作だ。


(第19話 完)

【第19話:あとがき】

読んでいただきありがとうございました。


「死んで?」 ……怖すぎます、ネロさん。

採掘シーンが「ビートによるパワハラ現場」で笑っていたら、最後にとんでもないホラーが待っていました。

マナ・キャンディをあげただけで「浮気」認定され、あわやディグ(土精霊)が消滅しかける修羅場。


しかし、新相棒の「ギア爺」だけは、その無機質さゆえにネロの検閲をすり抜けるという不思議な展開に。

コタロウにとっては頼もしい「筋肉」ですが、ギア爺のスパルタ強制駆動のせいで、コタロウの平穏は物理的に削られています。


ともあれ、ついに念願の**「高純度ミスリル」**をゲットしました! これで最強のサボりアイテム「睡眠学習ペン」が作れますね。


しかし、コタロウが呑気に工作の計画を立てている裏で、事態は思わぬ方向へ転がっていました。

次回、第19.5話。幕間エピソード。

「Fランクのサボり魔」が、いつの間にか「国家転覆を狙う闇のフィクサー」に!?


【次回予告】

第19.5話『【幕間】氷の策士と影の公爵 ~Fランクのサボり魔、国家転覆を狙う黒幕と勘違いされる~』

コタロウを危険視するクラウディア。

彼女が頼ったのは、王国の闇を牛耳る「影の公爵」だった。

「あの男は、Fランクの皮を被った怪物です」

……いや、ただのサボり魔です。


次回もよろしくお願いします!


【作者からのお願い】 物語を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークと、下の評価欄から**【★★★★★】**で応援いただけると励みになります! ギア爺の歯車に油をさす感覚で、ポチッと応援よろしくお願いします!

次回の「壮大な勘違い劇」もお楽しみに!

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