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なぐさめ

「大丈夫ですよ、姫様」

不意に、背後から温かな腕が女の肩を包んだ。

「アヴェリウス……」

いつの間に入ったのか、アヴェリウスが女を抱き寄せていた。

「そんなに怖がらないで。国王様は、姫様のお父上でしょう?」

耳元で囁かれる甘い声。

女の耳朶が、静かに震える。

「怖がってなんていないわ」

目を閉じ、温もりに身を委ねながら、女は強がった。

くすりと、アヴェリウスが小さく笑う。

「俺には、嘘つかないでください」

振り向いた瞬間、頬に冷たく柔らかなものが触れた。

「……っ、アヴェリウス?」

それが唇だと理解した途端、女の顔は一気に熱を帯びる。

「可愛いですね、姫様」

眩しさを通り越した美貌が、悪夢のように微笑んだ。

アヴェリウスは女の頬を両手で包み、今度は誰も直視しない瞳の横に、そっと口づける。

「あ……」

自分でも信じられないほど甘い声が漏れた。

吐息は暖かいのに、唇だけが氷のように冷たい。

銀の瞳も、同じ温度をしている。

その冷たさに、女は一瞬だけ胸騒ぎを覚えた。

「姫様。僕にだけは、心を開いて」

「……本当は、怖いの」

言葉が、堰を切ったように溢れ出す。

「今さら私を呼ぶなんて、きっと理由がある。それは、私にとって恐ろしい理由よ」

両手で顔を覆う女を、アヴェリウスは宥めるように抱き寄せた。

「どうして嫌なことだと決めつけるんです? 嬉しいことかもしれない」

「そんなふうに考えられないわ。だって……父は私を可愛いと思っていない」

「子を可愛く思わない親なんて、いませんよ」

「いるわ!」

女は顔を上げ、叫んだ。

「私みたいな醜い女、誰も愛さない!」

アヴェリウスは女の目線まで身を屈め、まっすぐに見つめた。

「姫様は、美しい」

黒と銀の瞳が重なる。

「そして俺は、美しい姫様を愛しています」

女の頬を、初めての涙が伝った。

悲しみではない。――信じたいという、渇望の涙だった。


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